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少年 の商品レビュー

3.3

35件のお客様レビュー

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2023/03/04

50歳で、日記や手紙や小説で、10代後半から20代前半にかけての自身を紐解き振り返る。川端康成が幼い頃から両親や祖父母や兄弟との別離を繰り返していたことを知らなかった。美しい年下の少年が、孤独を癒しあるがままに受け入れ側にいることは、どんなに必要なことだったのだろう。どこかに別れ...

50歳で、日記や手紙や小説で、10代後半から20代前半にかけての自身を紐解き振り返る。川端康成が幼い頃から両親や祖父母や兄弟との別離を繰り返していたことを知らなかった。美しい年下の少年が、孤独を癒しあるがままに受け入れ側にいることは、どんなに必要なことだったのだろう。どこかに別れや死を感じさせる既読の小説が、腑に落ちた。

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2023/02/08

2022年は作者の没後50年だった。何作か読んだはずだが、感想を書いていなかったようで履歴がたどれず。また読み返してみようと思う。 本書では、旧制中学の寄宿舎で出会った清野少年を中心とした友人らとの交流を、50歳になった作者が当時の日記や手紙を引用しながら述懐する。 肉親に次々と...

2022年は作者の没後50年だった。何作か読んだはずだが、感想を書いていなかったようで履歴がたどれず。また読み返してみようと思う。 本書では、旧制中学の寄宿舎で出会った清野少年を中心とした友人らとの交流を、50歳になった作者が当時の日記や手紙を引用しながら述懐する。 肉親に次々と死別し、寄る辺ない思いを抱えたまま寄宿舎で過ごす少年の屈託と、それを束の間忘れさせるような清野との触れ合い。それを単なる同性愛、少年愛と呼んでいいものか。 腰巻の文言や引用部分はいささか狙い過ぎのような気もする。

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2023/01/27

神奈川近代文学館「没後50年 川端康成展 虹をつむぐ人」に足を運び、この方の人となりに強く興味を持った。 悲しいけれど今までまともに読んだことがなかったのが、 先入観なく、かえって良かったのかもしれない。 この作品も小説というよりも随想のような感じなのが好ましく、彼に抱いた印象が...

神奈川近代文学館「没後50年 川端康成展 虹をつむぐ人」に足を運び、この方の人となりに強く興味を持った。 悲しいけれど今までまともに読んだことがなかったのが、 先入観なく、かえって良かったのかもしれない。 この作品も小説というよりも随想のような感じなのが好ましく、彼に抱いた印象がますます色濃くなったように思う。 今年は川端康成を沢山読みたい。

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2022/11/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

令和四年四月一日発行 装画/遠藤竜太  五十歳に達した記念に全集刊行した折に、寮生活での様子や友人とのやりとり記した日記を題材にまとめたものと思われる。 父母が早くに亡くなり祖父母に育てられ病弱児だった頃を振り返り、思春期の多感な時期に心情を記した日記と、追記解説が交互に綴られている。 『私は自作が雑誌などで活字になった直ぐには読まない』『長い休みが近づくと、少しずつ家なき児のかなしみがにじみ出てくる』などと繊細さが表現される。 清野少年との戯れは『愛と敬いとの現れであった』『少しでも美しいものを見たときに、私の心に起るのは何だ。なぜ私はこんなにいやしいのだろう。』『私はもっともっと愛に燃えた少年たちとルウムをつくりたい。』『一番私を愛してくれて、私のなにもかもゆるしてくれるにちがいない』『愛の初めもその流れも自然で安穏であったのが、思い出をやわらかく温めている』『清野少年と暮らした一年間は、一つの救いであった』と特別な関係を悦楽よりも哀しさがこもった死に近い印象を持った。解説では川端の作品には体臭が感じられないとあり、妙に納得。 文中に、道を歩きながら谷崎さんの「人魚の嘆き」を読んだ。とあり、直前に同じ本を読んだという偶然に驚いた。

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2022/10/10

両親を早くに亡くし、 寂しさの中思春期を過ごしてきた著者の、温かな学生の頃の触れ合い。 気持ち悪さは感じない。 心の拠り所だったのかな。 手紙を最後は燃やしてしまうのだろうけど。 宗教の話も出てきます。 人間の心の居場所を考えられます。

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2022/09/28

小説というより随筆だった。川端康成が生まれ育ちから人とは異なる自分を後ろめたく思っていた頃に、寄宿舎でであった少年がその自分を受け入れてくれたことから自分を認められるようになった原点の話。心の中では性的な思いも抱えていたらしい描写もあったが、少年とのふれあいは純粋なもので、ただ乾...

小説というより随筆だった。川端康成が生まれ育ちから人とは異なる自分を後ろめたく思っていた頃に、寄宿舎でであった少年がその自分を受け入れてくれたことから自分を認められるようになった原点の話。心の中では性的な思いも抱えていたらしい描写もあったが、少年とのふれあいは純粋なもので、ただ乾いた紙に湿った手で触れるような、そういう微妙な湿度があった。書簡のやりとりが本文の大半を占めていて、少年の頃のあどけない言葉が微笑ましくて、そして少し羞恥を煽られた。あんな、世界が君だけみたいな時代、たしかに自分にもあったなぁという。

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2022/09/18

川端康成の作品に「湯ヶ島の思い出」という長編があったらしい そこから一部を抜粋し 「伊豆の踊子」というタイトルで発表して 残りは封印してしまったという なぜそんなことをする必要があったのか それは「湯ヶ島の思い出」が 同性愛のタブーに触れていたということもあろうが それ以前に、や...

川端康成の作品に「湯ヶ島の思い出」という長編があったらしい そこから一部を抜粋し 「伊豆の踊子」というタイトルで発表して 残りは封印してしまったという なぜそんなことをする必要があったのか それは「湯ヶ島の思い出」が 同性愛のタブーに触れていたということもあろうが それ以前に、やはり小説としての冗長さを嫌ったのだと思う 大本教の家に生まれ育った少年の 世間と相容れない純粋さが 若き川端康成の「孤児根性」に共鳴したという話は まあそれだけのもので そこから広がりを見せていくことはない しかしともかく、伊豆で旅芸人の娘から受けた優しさが 川端の僻んだ心を癒やす物語には そのような出発点があった 「湯ヶ島」から「踊子」を差っ引いた残りの部分は 戦後、大幅に手を加えられ 「少年」のタイトルで発表された なぜそんなことをする必要があったのか ひょっとしたら、太宰治に読ませたい気持ちなんて あったのかもしれません 太宰は「孤児」でなかったが故に苦しんでたようなもんだし ちなみに、三島由紀夫「仮面の告白」より5年早い

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2022/09/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2022年、川端康成没後50年で新潮文庫の新装版(巻末解説やエッセイは新規)が続いている。 で本書、200ページに満たないうっすい本の、ざっくり5分の4が本文。 5分の1は、全集の解題を文庫に合わせた形で転載、年譜、そして宇能鴻一郎が谷崎潤一郎や三島由紀夫を並べて漠然と書いただけのエッセイ、という、志はやや低い文庫本。 とはいえ川端が50歳になんなんとする全集刊行時にまとめた思春期追悼が、文庫としてまとまったのは意義深いことだと思う。 先日読んだ高原英理・編「川端康成異相短篇集」の異形さに惹かれた。 しっかり再読したりまとめたりしたいと思ううち、積読にしていた(これもまた高原英理・編「少年愛文学選」で抄を読んだことのある)「少年」の全容を知りたくて読んだが、……こちらもまたなかなか。 よくもまあ書けたなと思うが、そもそも、よくもまあ大学に提出できたな、とさらに。 しかし読み終わるころには、全部ひっくるめて味わえるようになってきた。 第一に清野萌え突き抜け度合いパない。 ・「お前の指を、手を、腕を、胸を、頬を、瞼を、舌を、歯を、脚を愛着した」 ・「リリシャシャ、リリシャシャ」(勘違いしてはいけないのは、大本教に清野父が帰依したのは、後のこと) ・「こないに握ってても、目が覚めたら離れてしもてまんな」 ・「私のヘングインになってくれ」「なってあげまっせ」 ・「私はもっともっと愛に燃えた少年達とルウムをつくりたい」etc,etc……。 そして川端の、人交わりから弾かれた自意識……人に頼って生きてきたという意識……どちらも存在して初めて「魔的」が生まれたのだな、と感慨深い。 美しいものを愛玩したいというサイコすれすれな人物だとは思っていたが、フィギュアではない愛くるしさのような肉から立ち上る精神の美性にも恋着するのだな。 また作中、宮本ー清野(川端ー小笠原)がふたりだけいるのではなく、50を迎えた川端が、後に破れた婚約者や、踊り子や、といった人生における重要人物を込みで当時を振り返ってみたら、彼が初恋の相手だったと思われてくる……という経緯。 屈折した思い、折れ曲がった感情が、記述そのものから立ち上がってくるように思う。 てなことを書いてみたが、読後に発見した以下の2サイトほど「楽しんでいる」読者はなかなかいまい。 ・川端康成と「少年」、清野少年の虚像と川端の実像について https://kakuyomu.jp/works/1177354054890741013 ・川端康成関連インデックス うみなりブログ。 https://naruminarum.hatenablog.com/entry/2029/01/01/131100 特に後者、本文よりも熱中して読んだ。 仕事中にこっそり読んでいたが、ふふふ……という笑い声を抑えられる困ったくらい。

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2022/09/07

完全な創作小説かと思って読み始めたら私小説で、私小説かと思って読み進めたらやっぱり創作なのかな、と思った。 美しい少年愛と美しい日本語!

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2022/08/18

50歳時点の著者が17歳前後の同性愛的体験などを振り返るという体の小説。 当時の日記や手紙の引用が多く、小説というより随筆っぽかったが、こういう「生」感のある構成は嫌いではない。同性愛描写よりむしろ某新興宗教に関する内容が興味深かった 。正直、主題とされている同性愛経験の内容には...

50歳時点の著者が17歳前後の同性愛的体験などを振り返るという体の小説。 当時の日記や手紙の引用が多く、小説というより随筆っぽかったが、こういう「生」感のある構成は嫌いではない。同性愛描写よりむしろ某新興宗教に関する内容が興味深かった 。正直、主題とされている同性愛経験の内容には物足りなさがあった。日記の引用が主とはいえ本当の心のうちはあまり明かされていないように感じたし、本書の描写だけだと愛というより単に弄んでいるだけのようにも思えた。 流石ノーベル文学賞受賞者だけあって、端正な文章で眼福になった。

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