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廃墟の白墨 の商品レビュー

3.7

6件のお客様レビュー

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2023/01/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

まったくもって暗い。遠田潤子が紡ぐ物語はいつも凄絶で暗い。なのに吸い寄せられるように読みはじめてしまうのです。 病床の父親宛てに届いた手紙を無視できず、指定された場所に出向く息子。そこにはかつて父親と同じビルに住んでいた男たちが集まっていて、その全員が最上階に住む艶めかしい大家と寝ていたという。 大家の惚れ込む男をクズだと言うけれど、ほかの男たちだって負けないぐらいのクズ。大家の幼かった娘の心配をしたところで罪滅ぼしにはならない。 誰も好きになれないのに読むのをやめられません。自らを赦すために死のうとする男たち。償おうにも償う相手はこの世にもういないとは。苦しい。

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2022/09/01

登場人物を襲う苛烈な運命が、遠田作品としては比較的マイルド。読むのが辛くなるような描写があまりなく、明石ビルでの日々は、本当に「王国」「楽園」のようでもある。故に、巻末解説にあるように、「入門編」としていいかも知れない。その代わり、ではないだろうが、終盤に明かされる真相が多少型ど...

登場人物を襲う苛烈な運命が、遠田作品としては比較的マイルド。読むのが辛くなるような描写があまりなく、明石ビルでの日々は、本当に「王国」「楽園」のようでもある。故に、巻末解説にあるように、「入門編」としていいかも知れない。その代わり、ではないだろうが、終盤に明かされる真相が多少型どおりな気はする。

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2022/06/28

74 最終章で全てのことがわかるお話しは好きでは無いが、この作品にはそうせざるを得ない様な重みがある。二度とやり直せない人生だから、これからどう生きるかとが問われている様な気がする。

Posted byブクログ

2022/05/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

好みではないですが、視点が入れ替わることで、間延びせずに読むことが出来ました。大人が酷くて、子どもに影響が行くのを、「しかたない」としたくないです。 これでもかというほど、悪い方の道を選んでしまうことに対して、「器用には生きられない自分を肯定する物語として読む」と解説に書いてありました。この本の登場人物の不器用を肯定するのであれば、責任をもった生き方は合わないのだから、それは一生、明石ビルからは出られない生き方なんだろう思いました。

Posted byブクログ

2022/05/08

初めて読む作家さんです。 救いがあるような、無いような。そんな物語でした。 ミモザは前向きになれたんだと思いますが。 面白かったです。

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2022/05/02

読後に感じたのは「悪い夢から醒めたよう」だった。 初手に提示された謎は程良く回収されては新たな疑問を残していく。とにかく息をつく間がなく物語に惹き込まれてしまった。 モノローグと回想で物語は進むが時系列が乱れる事がなく非常に読み易い。もし本作が推理小説であったなら3人の語り部...

読後に感じたのは「悪い夢から醒めたよう」だった。 初手に提示された謎は程良く回収されては新たな疑問を残していく。とにかく息をつく間がなく物語に惹き込まれてしまった。 モノローグと回想で物語は進むが時系列が乱れる事がなく非常に読み易い。もし本作が推理小説であったなら3人の語り部は同じ事象を違う視点から伝える役割を担ったかもしれない。が、実際は三者三様の物語があり飽きにくく謎解きの必要性も感じなかったので没入感が強かった。 登場人物の誰1人として完全に物語の真相を知らず、読者も同じ様にピース繋いでいく楽しみがあった。その際、現在と過去の対比が舞台となる廃墟と相まって物悲しい本作独自の雰囲気を作り出している。 未回収の謎が幾つか残ってしまったものの、ほぼ同じ建物内で進行する物語で中弛みせずに読み切れたのはこの雰囲気の良さに寄るところが大きいと思う。 登場人物の殆どが愚かで救いようのない話にも思える反面、どこか理想郷として憧れる部分もあった気がする。 最後のオチは好みが分かれる部分で個人的には蛇足だったがイヤミスへの中和剤だと考えれば作者の温情だと受け取れる様に思う。

Posted byブクログ