科学リテラシーを磨くための7つの話 の商品レビュー
福島の過剰診断問題がどういうことが理解できていなかったので、この本を読んでみた。 ガンは早期に発見できればできるほど良いと思っていたし、大人になってからできるガンには早期発見が効果的だけれど、子どもに対して行われる超音波検査で発見される甲状腺ガンはその常識では測れないし、そうや...
福島の過剰診断問題がどういうことが理解できていなかったので、この本を読んでみた。 ガンは早期に発見できればできるほど良いと思っていたし、大人になってからできるガンには早期発見が効果的だけれど、子どもに対して行われる超音波検査で発見される甲状腺ガンはその常識では測れないし、そうやって見つけた甲状腺がんを手術で治療してもしなくても、死亡者数に変化はない。むしろ、「ガン患者」となって治療を受けるという経験によって失うことの方が多いということがわかってきた、だから福島で行われてきた大規模超音波検査はこれ以上行うべきではない。そういう話だそうだ。 「科学の場においては、謝った見解を表に出すことも失態ですが、ほかの人の誤った見解に同調してしまうことも同じレベルでいけないことです。「和」をもってみんなで誤った道を進んではならないはずです。」p.148 「やはり自ら現実に起こっている事実を学んでいただく必要があるでしょう。大人が勉強不足であるがゆえに、無自覚のうちに子どもたちに害を与えているとすれば悲劇でしかありません。」p.150 「もっとも大事なことは科学を畏れることだと思います。福島の甲状腺検査に関わり、科学を歪めてしまった人たちは科学に対する敬意が足りなかったのではないでしょうか。科学に基づかない医療行為は必ず対象者に被害をもたらします。科学に携わる人たちは、真理を畏れ、謙虚に真理の伝える声に耳を傾けなければなりません。それが自分にとって都合の悪いことであっても勝手に改変できるものでもないし、一時的に取り繕ったところで真理が冷徹に指し示す結論以外にはなりようがないのです。」p.151 「生物が放射能を浴びる(放射線被爆)と障害が起こりますが、それは放射線を「浴びたか・浴びないか」ではなく、「どのくらい浴びたのか」によります。」p.154 「100mSv以上を被爆するとがんは増加するが、それ以下だと放射線による影響があったとしても、統計的に検出できないほど小さい」p.158 「広島・長崎で原子爆弾から高線量を浴びた親から生まれた子どもで、親の被ばくによる次世代への影響は見出されていません。広島と長崎で遺伝的影響が見つかっていないのですから、被爆量がはるかに少ない福島県で遺伝的影響は表れません。」p.159 「欧米諸国ではスリーマイル島原発事故をふまえて、この事故のような過酷事故(シビアアクシデント)をどう防ぐかという安全研究が始まりました。ところが日本政府は、日本ではこうした事故は起きないとして欧米の動きとは一線を画しました。(中略) 日本で50基以上が稼働していた軽水炉原発には、熱の制御がきわめて難しいなどのさまざまな技術的欠陥がありましたが、日本政府は科学的根拠に基づく批判に対してすさまじい圧力をかけて発言を封じました。特に、日本原子力研究所など政府関連の研究機関などに働く研究者に対しては、「国の研究機関に属するものが国の政策を批判することは許されない」と理屈をつけて、長年にわたって弾圧してきました。」p.176‐177 「科学者は冷静な目で事実認識を行い、真理の前に謙虚でなければなりません。科学者であるならば、冷静な目で科学的に得られたと自信をもっていえるデータを基礎にして、過小でも過大でもない事実を発信していくべきです。また、科学者も限られた分野の専門家に過ぎないのであって、そうでない分野についてはあくまで素人です。専門分野外で発言する場合には、専門分野で発言するときよりもいっそう慎重でなければなりません。」p.178
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第1部 コロナ禍を飛びかう怪しい情報を見抜く パンデミックを生き抜く医療リテラシー ニセ医学の広まり 不確実な情報に翻弄される人々 新型コロナワクチンをめぐるニセ医学・陰謀論 これを食べれば「コロナを防ぐ」?―煽られる食への過剰な期待 フードファディズム 健康志向にしのびこむ機能性幻想 パンデミックとともに湧き出た便乗商法の数々―次亜塩素酸水騒ぎを中心に 国民を守る医療・消費者行政 第2部 リスクを見誤るとかえって危険になる 倫理とリスクと予防と前進と 過剰診断のメカニズム―「思い込み」と「責任回避」で歪められる科学 「あるか・ないか」ではなく「どのくらいあるか」で判断しよう 「まだ終わらない」を終わらせていくために
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