悪意 の商品レビュー
翻訳が出ているうちの1作目はあまり印象に残らなかったが、2作目からじわじわと面白くなってきた。 丁寧に事件を追っていく様子が淡々と描かれており、地味なのだが全く飽きさせないのが凄い。
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二人の女性に対する暴行・殺人・死体遺棄の罪で服役中の男が、第三の殺人を告白した。殺害した二人の女性と同時期に失踪したもう一人も自分が殺したという。 21年の禁固刑を言い渡されていたその男トム・ケルは、死体を遺棄した場所を自供する見返りに、世界一人道的だと言われるハルデン刑務所へ...
二人の女性に対する暴行・殺人・死体遺棄の罪で服役中の男が、第三の殺人を告白した。殺害した二人の女性と同時期に失踪したもう一人も自分が殺したという。 21年の禁固刑を言い渡されていたその男トム・ケルは、死体を遺棄した場所を自供する見返りに、世界一人道的だと言われるハルデン刑務所への移送を要求した。 ケルが供述した遺棄現場はラルヴィク警察の所轄区域内だった。主任警部ヴィリアム・ヴィスティングらが厳重な警備態勢を敷くなか、国際犯罪捜査局のアドリアン・スティレルや弁護士とともに、ケルが現場に到着した。 ケルには手錠と足枷がつけられていたが、二度も転んだため足枷が外された。自由を得たケルが一瞬の隙をついて走り出すと、直後手榴弾が爆発した。多数の警察官が負傷し混乱する中、ケルは姿を消す。 爆風に吹き飛ばされる直前にヴィスティングが見たのは、森へと走り去るケルだった。 過去に残虐な犯罪を繰り返してきたケルには、アザー・ワン──共犯者がいるとされていた。今回の逃亡にもその人物が関与したと確信した警察は、二人の行方を追い始めた。 今回はテンポのよいアクション編。今後も楽しみだが、まずは未翻訳分を出していただきたい。
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「警部ヴィスティング」シリーズ。冒頭から引き込まれる展開でそこから一気読みの面白さなんだけれど、なかなか捜査が進まず物語が動かないその具合がとても好みで中盤あたりまでの遅々とした感じがいい。警察小説としての魅力とヴィスティングと娘のリーネの物語でもあって色々な角度から楽しめるシリ...
「警部ヴィスティング」シリーズ。冒頭から引き込まれる展開でそこから一気読みの面白さなんだけれど、なかなか捜査が進まず物語が動かないその具合がとても好みで中盤あたりまでの遅々とした感じがいい。警察小説としての魅力とヴィスティングと娘のリーネの物語でもあって色々な角度から楽しめるシリーズ。ノルウェーではたくさん出ているらしいのでこの先もどんどん読めるようになると嬉しい。
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読むのに恐ろしく時間がかかった。 冒頭から100と数十ページ――情けない話だが、私はこういう緊張が苦手だ。 1ページごとに本を閉じて、休憩が必要になる。 「あなたが読み進めないと、事件は解決しないぞ」と、己を叱咤してページをめくりつづけた。 ようやく場面が変わって、捜査の方針が変...
読むのに恐ろしく時間がかかった。 冒頭から100と数十ページ――情けない話だが、私はこういう緊張が苦手だ。 1ページごとに本を閉じて、休憩が必要になる。 「あなたが読み進めないと、事件は解決しないぞ」と、己を叱咤してページをめくりつづけた。 ようやく場面が変わって、捜査の方針が変わって、ほっとした。 ああ、しんどかった。 「派手さがない」 警部ヴィスティング・シリーズの特長として、過去に私はこう述べた。 しかし、訂正しよう。 この『悪意』は、派手だ。大掛かりだ。 5つの部署が一つの捜査にかかわり、ヴィリアム・ヴィスティングは捜査の顔になり、立場が危うくなり、捜査はいっそう難航する。 捜査の顔というのは、これだ。マスコミ応対だ。 『だが、リーネは知っている。父が心の底では報道陣に報告することは国民に報告することだと思っていることを。そして国民には常に知る権利がある。少なくともこのような事件の場合は。』(60頁) ヴィスティング警部の姿勢は真面目だ。真摯だ。 マスコミ応対もさりながら、捜査にもそのようにあたる。 ジャーナリストである娘リーナ・ヴィスティングは、カメラを手に捜査に協力し、そんな父の姿を間近に見る。 着替えのシャツを届けるなど、仕事のサポートもする。 父と娘の関係がよいと、これも過去に書いたが、まったくそのとおりだ。 『はだけた胸の張りを失った皮膚を目にして、また父親の歳を感じた。』(95頁) ふとした時に、父親の年齢に思いがいく娘の姿がいい。 テレビに映った父の姿に、その捜査の様子や、その後を思いやるのもいい。 この親子は、日常よく会話をし、互いを気遣い、理解しあっているのだ。 そんなリーネは、父の娘である証のように、閃きや、不屈の戦いぶりを見せもする。 冒頭の読みにくさとは打って変わって、読後の印象はよかった。 読んでよかったと思わせられたのだ。 読後の印象がよいというのも、このシリーズの特長だ。 次作『 Sak 1569 』もそうに違いない。 邦訳出版を心待ちにしている。 さらに、シリーズの未訳の本も、巻末解説に紹介されていた著作も、いずれ読む機会があるとよいと願っている。
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趣きは前2作と異なるけど、余韻はいい感じ。 (1番最初のハヤカワ・ミステリのはあんまし記憶にないもんで)
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