タゴール・ソングス の商品レビュー
同名のドキュメンタリー映画は未鑑賞だが、まるでドキュメンタリー映画を見ているような作品。 ベンガルの地が、そこで暮らす人が、目に浮かぶよう。 何となく、著者の語り口からそう感じるように思うけど…この感覚はなんだろう。これまでに読んだノンフィクション作品とは違う感覚がある。 さま...
同名のドキュメンタリー映画は未鑑賞だが、まるでドキュメンタリー映画を見ているような作品。 ベンガルの地が、そこで暮らす人が、目に浮かぶよう。 何となく、著者の語り口からそう感じるように思うけど…この感覚はなんだろう。これまでに読んだノンフィクション作品とは違う感覚がある。 さまざまなタゴール・ソングスが登場する。 お恥ずかしながら、タゴールやタゴール・ソングスを本書で知ったのだが、100年も前の詩なのに、新鮮さ(物珍しさではなくフレッシュな意味で)を持って心に届く。 “もしきみの呼び声にだれも答えなくても ひとりで進め” この言葉に続く詩が帯にあり手に取ったのだが、本書を通読して終盤で再びこの詩に出会った時、より鮮明なイメージが湧いた。 この詩は、私の道標だ。 加えて、装丁がとても良い。 表紙〜背表紙を包む一面の花、紙の手触り、綴じ方。 この空気も相まって、ベンガルの地が見える気がする。 思えば一枚も写真がなく、読み始めにどんな場所なのかインターネットで少し検索したくらいなのだけど、どうしてこんなに風景が見えるんだろう。 映画作品もぜひ鑑賞したい。
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著者が若いときに書かれたもののようで、熟しきれていない部分も感じられるけれど、そのことが却って毒や皮肉のなさを生み、タゴール・ソングスの抱擁のような拡がり、また『ベンガル』の人びとの思い思いを純粋に届けてくれているように感じた。
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現地で出会った人たちと監督とのやりとりを読んでいて、頭の中にずっと「かけがえのない」という言葉が浮かんでいた。彼らの周りにはいつもタゴールのうたがある。生きた時代も、場所も違うのに、タゴールのうたはすごく近くで語りかけてくれる。
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美しい本で思わず手に取りました。タガールのことも、インドのこともバングラデシュのことも何も知らなくても、瞼の裏に景色が浮かぶような。理不尽と苦しさと悲しさの奥に希望や優しさを知るような、旅をしたように思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
映画「タゴール・ソングス」の監督、佐々木美佳さんの タゴールソングス アナザーストーリーといったところ なぜ タゴールソングスに惹かれ、どのように映画の登場人物と知り合いになっていったのかがよくわかる。 またタゴールの生きた時代の時代背景なども映画より詳しく書かれている。 一方、映画は歌が翻訳された歌詞が表示されながらながれるので、歌の良さは映画の方がよく伝わってきた。 コルカタやバングラディッシュの貧しさのなかに文化の豊穣があり、貧困も豊穣も生活に溶け込んでいることがまざまざとわかる本であった。 ありがとう佐々木美佳さん。これからの映画も期待しています。
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ちょうど、映画「タゴール・ソングス」を鑑賞した後に購入。佐々木監督にもサインをいただいた。 映画の映像を思い浮かべながら読み進めるが、やはり「詩」は文章に落ちていると落ち着く。 一方で、タゴールの詩は、本当はベンガル語でその音感に興じるべきではないか、と思ってしまう。 日本語...
ちょうど、映画「タゴール・ソングス」を鑑賞した後に購入。佐々木監督にもサインをいただいた。 映画の映像を思い浮かべながら読み進めるが、やはり「詩」は文章に落ちていると落ち着く。 一方で、タゴールの詩は、本当はベンガル語でその音感に興じるべきではないか、と思ってしまう。 日本語にしてしまうと重みがなくなるというか。 本著に登場する詩で、自分の好きなフレーズは、これ。 「もしきみの呼び声にだれも答えなくとも、ひとりで進め」
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佐々木監督の、映画タゴールソングの、映像の継ぎ目を埋める本。この本の行間をつなぐ映画。 三輪舎さんの作る本が美しくて、持ったときの、大きさ、重さ、手触り素晴らしすぎる。本の装丁とか製本とかの次元を超える紙でできた宇宙。バウルの本の時も手触りがすごいと思った。本の扱いが下手なので無...
佐々木監督の、映画タゴールソングの、映像の継ぎ目を埋める本。この本の行間をつなぐ映画。 三輪舎さんの作る本が美しくて、持ったときの、大きさ、重さ、手触り素晴らしすぎる。本の装丁とか製本とかの次元を超える紙でできた宇宙。バウルの本の時も手触りがすごいと思った。本の扱いが下手なので無粋なカバーして読みたい派だが三輪舎さんの本は手で触って目で見て心で読む本。この本の、美しい蓮の花が、ちり、ちり、と、ざら、ざらより繊細な粒子の手触りを出してくるから、読みながら、何度も指を触ったり、美しい本を触ったり、また本文に戻ったり。 映画ではかっこよく撮られすぎているような、斜めがかった印象があった人物や瞬間も真実自分の時間生きてる人たちなんだなとこの本を手にして改めて思った。読んでから見るか見てから読むか、なんだけど、見てから読んだらまた映画見たくなる。 タゴールソング。インドベンガルの人、バングラデシュの人が、本当にたくさんの普通の人たちが、口ずさむ歌。難解な歌詞、詩、哲学だが生活の中で幼児からお年寄りまでが同じ歌を共に歌うとは、驚きだ。文化の深度。人こそが神秘。 佐々木監督の、おっとりしてそうでものおじしないけど、猛進な感じもない、そんな存在感も素晴らしい。このように人生を切り開いていく佐々木監督だからこそタゴールに、タゴールソングに出逢われたのだなと思う。 映画とミラーなのだが、映画を見ていなくても、手にしたい、美しい一冊。
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