春のこわいもの の商品レビュー
何者かを目指してしまうのは、とても苦しくて楽しくて惨めだよね、思ってしまう。 「娘について」で描かれる歪んだ嫉妬が、これでもかってくらい生々しくて、少し苦しくなる。
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終始ふわふわと、うっすら怖い物語が続く短篇集。 川上未映子さんの本だってわかって読んでるのに、途中「あれ?川上弘美さんの本だっけ?」と一瞬思ったりした。(読書好きなら解ってくれそう) 超短篇に近いものから、中篇に近い短篇まで、並びの妙がよかった。 すっきり解決してお話終了、みた...
終始ふわふわと、うっすら怖い物語が続く短篇集。 川上未映子さんの本だってわかって読んでるのに、途中「あれ?川上弘美さんの本だっけ?」と一瞬思ったりした。(読書好きなら解ってくれそう) 超短篇に近いものから、中篇に近い短篇まで、並びの妙がよかった。 すっきり解決してお話終了、みたいなのを求める人はたぶん苦手な系統のお話が並ぶ。元から薄い墨がどんどんかすれていって消えていく…みたいな物語群、私はとても好きです。 「あなたの鼻がもう少し高ければ」「娘について」の2篇はわりと長めだけど、とりわけ印象的だったのはこの2篇。 言いようのない、違和感の怖さ。だけど、その答え合わせがないところが、素晴らしくいい。 結局は…?という気持ちのまま、ふっと途切れて、置いていかれる感じ。 雰囲気ものなので、詳しいレビューを書くよりは、読んで感じてもらいたい系統の小説。 現実にも転がっている「こわいもの」と繋がっていきそうなこわいものたちの世界。 表紙がまくらなのは…夢を見ているよう、ということ?
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パンデミック初期の、感染症が一番こわがられていた時期 それと関係あるようでないような個人ミクロの生活 これは全然関係ないけど、スマホのこと、一貫して"電話"って呼んでた 最後まで読んでもよくわからなかった… 大して造詣も深くないのに、かっこつけて現代美術館に...
パンデミック初期の、感染症が一番こわがられていた時期 それと関係あるようでないような個人ミクロの生活 これは全然関係ないけど、スマホのこと、一貫して"電話"って呼んでた 最後まで読んでもよくわからなかった… 大して造詣も深くないのに、かっこつけて現代美術館に行ってしまったときみたいな感じ 絵画や彫刻を目の前にしても「あー…すごい感じだねこれ」みたいな、言えば言うほど自分の感性や語彙力の乏しさがいやになるような 完敗でした
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
コロナ感染拡大期初期、まだまだ営業自粛だの外出禁止だのが本格的になる前、それでも次第に閉塞感をあらわにしつつあった世情を切り取った短編集。 それぞれの物語にコロナの雰囲気があるものの、風味付け程度。それでも各短編ともに何とも言えない不自由さ、居心地の悪さを醸し出す。好悪は別としてその居心地悪さ感は絶妙かつ巧みに不快。 正直苦手な雰囲気で、好んで読みたい作風ではないが(川上未映子全部の作品がこうではなかったはず)、文章の巧みさで読ませる。
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春を舞台にした短編集。ただし、春といっても、暖かく幸せな雰囲気は微塵もなく。ゾワゾワしたり、ゾッとしたり、どちらかといえば、気持ちが落ち込みそうな話が多い。 でも、よく考えると春って、五月病があったり、季節の変わり目で体調を崩したり、心身の調子が悪い人が多い季節だな…と思うとこの...
春を舞台にした短編集。ただし、春といっても、暖かく幸せな雰囲気は微塵もなく。ゾワゾワしたり、ゾッとしたり、どちらかといえば、気持ちが落ち込みそうな話が多い。 でも、よく考えると春って、五月病があったり、季節の変わり目で体調を崩したり、心身の調子が悪い人が多い季節だな…と思うとこのタイトルにも納得がいく。個人的にも春は苦手な季節。 どの話にも、自分がかつてどこかで感じたことのある気持ちが表現されていて、川上さんの想像力や表現力にすごいなぁと感心させられた。 折に触れて読み返したいと思う。 『あなたの鼻がもう少し高ければ』と『寂しくなったら電話をかけて』、『娘について』が良かった。 『娘について』は、イヤミスっぽさもあるとても怖い話。主人公の気持ちがめちゃくちゃ分かって応援するような気持ちでいたのだが、途中からもうやめてやめて!と制止したくなる展開に…。主人公の友人の見砂杏奈とその母親のネコさんの人物造形がめちゃくちゃ上手くて、こういう人たちいるいる!と思う。過保護で娘を自分のテリトリーから出さない一方で否定的な言葉で支配しようとする母親と素直な良い子なのだが絶妙に人をイライラさせるタイプの杏奈。小説家を目指す主人公と女優を目指す杏奈は東京で同居する。裕福な杏奈は親からの仕送りを貰いながらワークショップや観劇、エステなどに行き、主人公は小説家を目指しつつも生活のためアルバイトに明け暮れる。しかし、主人公はなかなか上手くいかない現状にイライラが募っていく… 今年1番怖かった物語かもしれない。すごく面白かった。
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まず、ギリギリ春のうちに読み終えれて良かった。 前半は川上未映子の鬱々としたしんどかったけど後半の ブルーインク、娘について、が良かった。 よしえに共感できたからこそ展開が気になり夢中になって読んだ。 そんなにコロナが関わってこないのも良い。
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6編の構成だが、最後の「娘について」以外はあっという間に読める短編だ.若い女性の興味がどの方面にあるのかを特化しながら読んだが、スマホへの依存が大きい日常を過ごしていると感じた.「あなたの鼻がもう少し高ければ」でオーディションに応募するものの全く歯牙にかけてもらえない状況をフィナ...
6編の構成だが、最後の「娘について」以外はあっという間に読める短編だ.若い女性の興味がどの方面にあるのかを特化しながら読んだが、スマホへの依存が大きい日常を過ごしていると感じた.「あなたの鼻がもう少し高ければ」でオーディションに応募するものの全く歯牙にかけてもらえない状況をフィナンシェで紛らわす場面が悲しい.「娘について」ではよしえちゃんと見砂杏奈の妙な関係を見砂の母 ネコさんが取り持つという妙な設定が楽しめた.女性同士の会話の奇妙さは、日頃から関心を持っているが、本書で描写された登場人物らは、事実を暈しながら類推を駆使し、その中から自分なりに納得できる結論を拾いだすという過程を楽しんでいるようだと、類推したがどうだろうか.
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世界的感染症が始まった気配を感じる時期のお話。何だか不安に満ちていたり、孤独さや、不穏さを感じるお話が多かった。個人的には『あなたの鼻がもう少し高ければ』が好き。
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なかなか面白い、一言でいえばホラー? 春という題名に惹かれて読んだけど、え?この春を書く?って驚き。 春は芽吹の季節で行楽シーズンだし楽しいけれど、そればかりじゃない。春大好きの私であっても、何やら自分だけが取り残されてる気がしてソワソワしたり、気圧か寒暖差か?気分の浮き沈みも激...
なかなか面白い、一言でいえばホラー? 春という題名に惹かれて読んだけど、え?この春を書く?って驚き。 春は芽吹の季節で行楽シーズンだし楽しいけれど、そればかりじゃない。春大好きの私であっても、何やら自分だけが取り残されてる気がしてソワソワしたり、気圧か寒暖差か?気分の浮き沈みも激しかったり。 春はフラフラーと出掛けてしまい、意味不明な行動しちゃってる人もチラホラ。 そんな自分や周りの人たちの春に起こりがちな暗部にフォーカスした短編集。 相変わらずの川上未映子の文章なので、どの短編もフンワリ柔らかい口調で始まって、高校生のかわいいラブストーリー?と思いきや、、とか、ええ?この人もそんな側面が?!めっちゃしっかりした普通の人やと思ったのに。軽くどの短編にも騙される。 でもほんま周りを見渡すと(自分も含めて)、こういうのは誰でも持ってるんよな。
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