タラント の商品レビュー
日本、他国の戦争のこと、難民のこと、 震災のこと 知らないこと、やってないことたくさんあるし 色々考えて行動したりやめたり 私からしたらみのり充分すごい
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前情報なしに角田さんの本だからと手に取ったら分厚さにびっくり笑。表紙から想像もつかないようなテーマの壮大さにもびっくり。 ほんといい話読んだな。過去と現代、そして祖父の時代のあれこれと、3つくらいの大きなテーマが入り乱れるんだけど、さすがだなと思うのがどれもきちんと終結されてるこ...
前情報なしに角田さんの本だからと手に取ったら分厚さにびっくり笑。表紙から想像もつかないようなテーマの壮大さにもびっくり。 ほんといい話読んだな。過去と現代、そして祖父の時代のあれこれと、3つくらいの大きなテーマが入り乱れるんだけど、さすがだなと思うのがどれもきちんと終結されてること、散らかっていない。 祖父の話のあれこれが見えた時かなり感動しちゃった。誰も知らないあの時代。 使命感とか、そういう何のために今自分は的なテーマって大学生の時くらいからふと何度も思う永遠のテーマな気がする。 使命感なんて言葉ではなく、楽しいからやりたいからで、な、ムーミンの言葉も、その後のムーミンの行く末とかも、本当にもどかしさでいっぱいになる一冊だったな。
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頑張れない時は頑張らなくてもいいのだと、当たり前のことかもしれないが、それを押し付けることもなく自然に心の中に入ってきた。
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香川出身のみのりは、東京の大学で、ボランティアのサークルに入る。そこで色々考えさせられる。卒業してから海外でボランティアし、悩む悩む。過去を語らない祖父はちょくちょく東京で誰かに会っている。そしてバラリンピック。 人のためと思ってしたことが裏目に出て悩む主人公の内面描写が絶妙に...
香川出身のみのりは、東京の大学で、ボランティアのサークルに入る。そこで色々考えさせられる。卒業してから海外でボランティアし、悩む悩む。過去を語らない祖父はちょくちょく東京で誰かに会っている。そしてバラリンピック。 人のためと思ってしたことが裏目に出て悩む主人公の内面描写が絶妙に巧い。下らないことでいつまでも悩むんじゃないよと思う人もいるかも知れないが、私自身を投影してるみたいで、分かる〜と何度もつぶやいてしまった。 何がテーマなのかはうまく説明できないけれど。
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難民のことパラリンピック、第二次世界大戦、震災、コロナ…と世界情勢について盛りだくさんに書かれています。 でも、みのりという、所謂普通の女の子の目を通して描かれるので、共感出来るところが多くありました。 難民の子どもを助けるつもりが、もしかしたら子どもを戦場に送り込んでしまったかも、と悩む…けれども、そんな可能性を教えてくれた友達を恨んだり、誰にもばれなければよし、と思ってしまう…そんな自分を恥じる。 そんなだいそれたことではなくても、その気持ち、よくわかります。 けれども、みのりは十分活動的だし、そもそも、こんなに自分のことを文章に吐露できるのなら、作家になれるよなぁ…と(笑) そして、自分を顧みると、ホントにただのおばさん、もうすぐおばあさん、何もしてこなかった…と。タラント、与えられているとも思えないし、もし与えられてるとしても自覚もないし… それでも、清美の、「なんちゃせんでも、ええ」という言葉を支えに、人にも「なんちゃせんでも、ええ」と、言える穏やかな人を目指すことは出来るかも、と…案外それが一番難しいことかも、と。
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犠牲者に対してもつ罪悪感。難民支援や被災地支援、パラアスリート等々、様々な要素を巧みに盛り込み、まとめあげた物語。善意? 正義? 重たいが、最後には明日への一歩を踏み出すことを後押ししてくれる。自分ができることをしよう。失敗したら残念会をすればいい。
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タイトルの意味も、内容もあらすじも、表紙、裏表紙の絵さえもちゃんと見ずに読み始める。 どんな話なのか。どこへたどり着くのか。でも不安はない。きっと私はどこかにたどり着く。大丈夫。 根拠はないけれどそういう本に出会うことがある。 読み終わったとき、自分が泣いていたことに気付く。そして思う。ああ、これは青空の下で読み終わりたかった、と。 それから初めて表紙をちゃんと眺める。帯も読む。何も知らずにここまでちゃんとたどり着いたよ、と笑顔になる。 2019年、中学に行けなくなった甥と施設に入ることになった片足の祖父の様子を見に実家に帰ってきた39歳のみのり。 1999年、東京に大学に進学、ボランティアサークルに入り、自分の「やるべきこと」を見つけ出して動いていくみのり。 交互に語られるみのりの20年間。そして挟まれる戦時中の祖父の話。 いろんなことが起こる。社会的な、国際的な、とても大きないろんなことが起こる。起こるのだけどみのりの人生はあまり揺れ動かない。頭と心は激しく揺れ動くのに、人生は広い道を揺れながらまっすぐ進むかのようには道からははみ出すことはない。淡々と粛々と人生が進んでいく。でもみのりの周りは大きく揺れ動いていく。それぞれの人生が前に横に揺れながら進んでいく。 何が違う。周りとみのりと、何が違うんだろう。 何かがやりたい、何かをやらなきゃいけない、だけど、何をしていいのかわからない、何をしたいのかもわからない。そういう焦り、よくわかる。周りがどんどん先に行くのを忸怩たる思いで見ている。 誰かのために、何かを変えるために、私は何かをやらなきゃいけない。そんな使命感もよくわかる。 わかりやすい満足を連れてくるのは「正義」と「善意」。 誰かのために、自分の何かを捧げます。そこにあるのはうっとりするほどの満足感。 でも、空回りし、進んでいるつもりが後ろに戻っていたり、良かれと思ってしたことが逆に迷惑になることもある。 目をぶつってその場足踏みをしているかのような、同じところを少しずつぐるぐる歩いているような。 わかる、その焦燥感。のどがきゅっとなる。手足がしびれたようになる、その時、祖父の清美の言葉がすっと届く。 「なんちゃせんでも、ええ」 こわばっていた頬がゆるむ。狭まっていた両肩の力がふと抜ける。一粒の麦。何もしなくても地面に落ちた麦は明日の芽となる。 物語が突然動く。あぁ、ここで動くのか。自分の人生の、その一点をちゃんとみていたい。 何もしなくていい。でもその先にある何かが見えたときには、きっと走りだそう。その準備はしておこう。 あぁ、こころがわくわくしている。読み終わった後、自分の中にとても大きな何かがたまっていることに気付く。 ありがとう、って言いたくなる。きーちゃんありがとう!って。そう言って手を振りたくなる。
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大学生のみのりが入ったボランティアサークル。難民支援や学校建設の支援をするために海外へ。そこで感じる様々なこと。価値観が変わってしまうくらいの出来事、なにかをやったつもりになること。そういうことが重なりどんどん気持ちが鈍くなっていく。そんな時に知る祖父の過去。身近なことから戦争や...
大学生のみのりが入ったボランティアサークル。難民支援や学校建設の支援をするために海外へ。そこで感じる様々なこと。価値観が変わってしまうくらいの出来事、なにかをやったつもりになること。そういうことが重なりどんどん気持ちが鈍くなっていく。そんな時に知る祖父の過去。身近なことから戦争やその時代のこと、今この瞬間。何気なく生きるのか、目的を持って生きるのか。その間で揺れてるような感情だったり、周りの人との比較だったりとどこまで読んでもとても大きな作品で圧倒されてしまった。
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2019年、みのりの姉の息子・陸が、学校に行かないということで、深刻ではないけれども、ついでという形で、実家に帰ってきた。陸は、学校に行かない代わりに祖父・清美の世話をしていた。清美は片足がなく、車椅子生活をしていた。そんな時、みのりが清美のシャツを拾い上げた時、清美宛の手紙を見...
2019年、みのりの姉の息子・陸が、学校に行かないということで、深刻ではないけれども、ついでという形で、実家に帰ってきた。陸は、学校に行かない代わりに祖父・清美の世話をしていた。清美は片足がなく、車椅子生活をしていた。そんな時、みのりが清美のシャツを拾い上げた時、清美宛の手紙を見つける。そこには「涼花」という名前が。家族に「涼花」は居ず、誰なのか?みのりは気になっていた。また、ふとスマホでネットニュースを見ていくと、ある一つの記事に目に留まった。それは、日本人ジャーナリストがメキシコを横断する中米の人達の記事だった。ジャーナリストの名は、学生時代の同級生だった。蘇る学生時代の出来事、祖父の過去など様々な出来事が交錯する。 題名の「タラント」とは、聖書にも出てくる言葉で、才能や賜物を意味します。(読売新聞の記事より) 人の善意とは何なのか?自分の価値観によって影響する周囲の反応に色々と考えさせられました。 約450ページというボリュームのある量もさることながら、慈善活動や戦争、パラアスリート、サバイバーズギルトなど考えさせられるキーワードが多くあって、こちらもボリュームがありました。 物語の構成としては、主にみのりの学生時代や社会人時代が描かれています。時折、ある青年が味わう戦争の描写が描かれているのですが、青年が誰なのか最初の段階ではわかりません。(後々、匂わす形で明らかになります。) 一つの記事から思い出される学生時代に体験した慈善活動。ネパールで訪問したのをきっかけに、みのりは積極的に行動します。現在のパートから醸し出す雰囲気とは程遠い存在なので、みのりが今に至るまで、どのような人生を歩んできたのかが読みどころかと思います。 一見、良いことをしている行動が、もしかしたら違っているのかもしれません。読み進めるたびに自分の価値観って何だろう?と突きつけられました。 それは学校に行けない東南アジアの子供達にインタビューする場面です。将来何になりたい?という質問に先生と答えます。最初は立派だなとは思ったものの、よくよく考えてみると、それぐらいしか「職業」が無いんだという事実に複雑な思いがありました。 子供達の環境と日本人との環境は大きく違います。それによて生じる価値観の違い。 それだけでなく、なぜ子供達はいつも笑顔なのか?など自分の見えなかった真実を知るたびに心がぐらつきました。 そして、みのりは善意であるが故にある過ちを犯します。そのシーンがまぁ気の毒といいましょうか、無知であるが故の悲劇に胸を締め付けられました。 その他にも、サバイバーズギルトといった事にも触れられていて、とにかく心を掻き乱されるシーンが多くありながらも、繊細に扱っているので、その辺りは角田さんの本領発揮だなと思いました。 みのりの体験記も読みどころですが、現在パートでは、パラアスリートも注目です。こちらは祖父が大きく関係するのですが、どのように絡んでいくのか。祖父の知られざる過去といったちょっとミステリアスな感じもあって、面白かったです。 人生に迷った時、なかなか一人では行動できません。でも、あるふとしたきっかけから、スタートを切れるかもしれません。この物語では、多くの登場人物が何かしらの理由で、立ち止まっています。それぞれが、どのようにしてスタートしていくのか?色んな考えが渦巻いていて、なかなか一歩踏み出しづらいのでは?とも思いましたが、人生何が起きるかわかりません。 すぐに答えを出さなくてもいいから、自分のペースで「これから」を生きようと感じました。 長々と書いてしまいましたが、まだまだ書きたいことは多くあります。それだけ色んな考えさせられる要素が詰まっていて、読み応えのある作品でした。
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片足の祖父、不登校になった甥、?正義感?で過ちを犯したみのり。諦めた人生の、その先へ――小さな手に使命が灯る慟哭の傑作長篇。
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