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人文学のレッスン の商品レビュー

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2026/03/19

言葉、芸術、歴史――三つの学問領域の専門家たちが織り成す、全12回のレッスン。 この本はまさに、「人文学の海の中へ漕ぎ出していくためのヒント」(316頁)に満ちていた。 私が特に印象に残ったのは、リンジー・モリソン氏がラプカディオ・ハーンについて言及した章や、舘葉月氏によって...

言葉、芸術、歴史――三つの学問領域の専門家たちが織り成す、全12回のレッスン。 この本はまさに、「人文学の海の中へ漕ぎ出していくためのヒント」(316頁)に満ちていた。 私が特に印象に残ったのは、リンジー・モリソン氏がラプカディオ・ハーンについて言及した章や、舘葉月氏によって紡がれた、第一次世界大戦時における北フランスの子供たちへの考察だった。 日本において、今日も高く評価されているラプカディオ・ハーン。 だが彼への評価は時代の変遷を得て二転三転した。それ自体が、“読み”が時代に依存することの一例でもある。 第一次世界大戦において、北フランスの子供たちが書いた戦争への作文。 それらが書かれた裏には、“書かれていない”多くの背景があった。 「人文学研究の試みの一つ、さらに人文学という学問分野の全体的な意義は、時代による多様な『読み』を明らかにすることです。歴史的・社会的文脈に置いて考えなければ、見えてこないことが多くあります。(……)複数の読み方が交叉し、ときには対立する、多彩で豊穣な世界の構築は人文学研究の神髄です。」(119頁) 私は、人文学を活動の柱の一つと決めたVtuberだ。 言葉であれ、芸術であれ、歴史であれ、人文学は、そのままのものを、そのまま受け取ることに留まらない。 私は、物事を単純化せずに、多面的に捉えようとするこの姿勢に惹かれたのかもしれない。 この本のあとがきにも書かれていた通り、本書に書かれている内容は、人文学という壮大なプレイリストのイントロに過ぎない。何を学ぶか、何に焦点を当てていくのかは、自分で決めていかねばならない。 だが裏を返せば、自分で決めていくことができる。 「ある意味で、学問を探求する人というのはアテネの領主よりも強いパワーを持っていると言えるかもしれません。シェイクスピア劇でよく起こることですが、領主はクーデターで引きずり下ろすことができます。お金だっていつなくなるかわかりません。人間関係には裏切りがつきものなので、友達は去っていくかもしれません。学問で得た知識と、それを得るために経験したつらくも楽しくもあるプロセスは奪うことができません。知というのは暴力で奪えないパワーです。」(307頁) 人文知の広大な海へ、これからも、私なりの航海に繰り出していきたいと思う。

Posted byブクログ