Blue の商品レビュー
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貧困、虐待そして無国籍。虐待により心が傷つく。心が固くなる。身体が痛い。感覚が無いようにしたくなる。 ブルーの気持ちが、どこに有るのか? どう生きれば良かったか。どんな子供か。どうすればよかったか。どんな大人になりたかったか。悲しい。
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平成時代の社会の闇を凝縮したような内容です。 ベトナムの『運命の湖』という美しい青色をした湖の風景から始まります。 これに関しては何の予備知識も入れずに読み始めた為、完全に油断していました。 この景色が伏線なんだろうなあ、位で読み進めて行くうちに、おや?あらあら?これは… コ...
平成時代の社会の闇を凝縮したような内容です。 ベトナムの『運命の湖』という美しい青色をした湖の風景から始まります。 これに関しては何の予備知識も入れずに読み始めた為、完全に油断していました。 この景色が伏線なんだろうなあ、位で読み進めて行くうちに、おや?あらあら?これは… コレヲヨムニハ、カクゴガヒツヨウダ… と、思わず片仮名変換になってしまう位に辛い話が続きます。 これでもか、これでもかと言う程に。 圧倒的な文章力と構成、ミステリ要素も上手く取り入れられており、目を逸らしたくなる闇が続くにも関わらずページを捲る手が止まりませんでした。 この状態に既視感を覚えていたのですが、櫛木理宇さん著『世界が赫に染まる日に』での読書体験と似ていました。 そしてまたもや感情移入型読者の私は大変しんどくなったのでした。(やはり良い意味で) 平成時代の時事ネタもきちんと出てきますので、これはノンフィクションではないのだろうかと途中で錯覚を覚え空恐ろしくなったものですが、実際に今もこういった無国籍児、違法売春、児童虐待は日常のように行われているのでしょう。 久々に社会派ミステリの深みに唸りました。
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半年前くらいに読み終わってめっちゃ好きな作品なのになんで感想書いてなかったんだろう笑 貧困、虐待、無戸籍児、外国人の労働力搾取など個人的にすごく興味のある問題が扱われている。 葉真中さんの作品は重くて読んでいて辛くなるけど、すごく心に残る! 平成に生きた少年の話なので、その頃起き...
半年前くらいに読み終わってめっちゃ好きな作品なのになんで感想書いてなかったんだろう笑 貧困、虐待、無戸籍児、外国人の労働力搾取など個人的にすごく興味のある問題が扱われている。 葉真中さんの作品は重くて読んでいて辛くなるけど、すごく心に残る! 平成に生きた少年の話なので、その頃起きた事件や流行っていたエンタメが出てきて、まるでノンフィクションのような感じ。 この小説自体はフィクションだけど、こういうことって今もどこかで起きているんだろうなぁ
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真相を知りたくて読み進めていったが、そこに描かれているのは、児童虐待、無戸籍児、搾取ともいうべき外国人労働者の実態で、胸が痛かった。負の連鎖はどこでどのように断ち切られるのだろうか。 事件の真相が解決した時に、登場人物の1人が言っていた言葉にハッとさせられた。「負」は形は違えども...
真相を知りたくて読み進めていったが、そこに描かれているのは、児童虐待、無戸籍児、搾取ともいうべき外国人労働者の実態で、胸が痛かった。負の連鎖はどこでどのように断ち切られるのだろうか。 事件の真相が解決した時に、登場人物の1人が言っていた言葉にハッとさせられた。「負」は形は違えども、誰もが人知れず抱えているものだ。そこに寄り添ってくれる人が1人でもいるなら、連鎖の縄目は少しづつ解かれていくのかもしれない。
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虐待、無戸籍児、貧困、外国人労働者など、平成期に顕在化し社会問題となったであろう事柄が盛り込まれた作品。葉真中顕作品は3冊目だが、さまざまな社会問題を絡めて作品を作り上げるのが上手いなと感じる。ただこの作品は盛り込みすぎてそれぞれの印象が薄くなったようにも感じた。 平成が始ま...
虐待、無戸籍児、貧困、外国人労働者など、平成期に顕在化し社会問題となったであろう事柄が盛り込まれた作品。葉真中顕作品は3冊目だが、さまざまな社会問題を絡めて作品を作り上げるのが上手いなと感じる。ただこの作品は盛り込みすぎてそれぞれの印象が薄くなったようにも感じた。 平成が始まった日に生まれ、平成が終わる日に生涯を終えたブルー。自らの境遇に翻弄され続けたブルーは最期、救われたのであろうか。 個人的な話だが。 結婚しているが子供を持たない私。子供は欲しくないし産みたくもないと思っていて、自分には母性が欠落しているんだ、ということを最近痛感していた。そんな中読んだこの作品。立場は違うが、実子を愛せず「母性が欠落している」と感じた綾乃の苦悩が少し理解できる気がして、読むのが辛かった。
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平成の時代に生きた男の子の話。 親の暴力、虐待、貧困、情報格差、無戸籍、過酷な労働、非正規等々。斥力と引力。社会の目から、協力から逃げた親。翻弄される子供。 選んだもの、選べなかったもの、それしかなかった、選ぶ余地などなかった。 母親のその時の感情で暴力を振るわれる。 それでも母親を求める、愛情を求める。 男の子がほしかったもの。 自分を証明するものがないまま大人になる。 家族のようなものを得て生活をするようになってから、うなされるように。 無条件で愛してくれる存在。 自分が犯した罪と償い方。 ブルーのおかげで救われた者、恨む者。 もっと違う方法はなかったのかと…。 過酷な労働条件のもと働いていたリエンも逃げること、救いを求めることができなかった一人。 ブルーのおかげで最後は幸せになったけれど。 ブルーにも、誰か助けてくれる人がいれば違う人生があったはず。 ブルーと関わった人たち、いろんな人たちの証言で、事件が少しずつ少しずつわかってくる。自分の置かれた立場も語る。様々な感情が平成という時代背景と共に。 湖と沼の対比。 愛情を求めたブルーと、娘を愛せなかったという綾乃。
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平成という時代を、経済や天災・犯罪と共に、文化や流行・風俗まで作中に描いたミステリーです。 2019年初版平成が終わり、ひとつの時代を読み物とされています。 日本に戦争が無かった時代の、平和で安全でバブルは去ったといえ、経済にも恵まれた日本の闇の部分。その闇から生まれた無戸籍児“...
平成という時代を、経済や天災・犯罪と共に、文化や流行・風俗まで作中に描いたミステリーです。 2019年初版平成が終わり、ひとつの時代を読み物とされています。 日本に戦争が無かった時代の、平和で安全でバブルは去ったといえ、経済にも恵まれた日本の闇の部分。その闇から生まれた無戸籍児“ブルー”が社会機構から見放された厳しい生涯がミステリーの中心です。 機能不全家庭・児童虐待・貧困という中で育つ子供達。外国人労働者、技能実習生の諸問題。なかなか盛りだくさんの内容です。社会派小説としての詳細に時代を追った分、メインの少年の心情とか成長などは多少希薄になったような気がしています。ブルーが親を選べなかった子供達の為、過去に犯した自分の罪を償う新たな罪を犯し、彼の生涯と平成が終わりを迎えます。 ブルーの生涯は、彼を知る人の語りに終始します。 もったいないような気もしますが、そこが不憫さを際立たせるのかもしれないです。
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ロストケアが原作も映画も嗚咽が止まらなかったので、葉真中先生の最新作を手に取らせて頂きました。 私たちが『平成』という30年間を、何を知らずに生きてきたのか、またもやガツンッとたたき起こされ、嗚咽の繰り返しでした。 こちらもいずれ、令和時が進み、『平成』ってどんな時代だっけ?...
ロストケアが原作も映画も嗚咽が止まらなかったので、葉真中先生の最新作を手に取らせて頂きました。 私たちが『平成』という30年間を、何を知らずに生きてきたのか、またもやガツンッとたたき起こされ、嗚咽の繰り返しでした。 こちらもいずれ、令和時が進み、『平成』ってどんな時代だっけ?という時に、菅田将暉さんか、窪田正孝さん、あたりにBlueを演じて頂き、映画化してほしいですね。
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購入済み。 2023.03.21.読了。WBC決勝進出! 葉真中さんは、文章が上手いなぁ。すごく惹きつけるし飽きさせない。これからも読み続けたい作家のひとりだ。 子供は誰も悪いことなんかしやしない。 世の中に叩かれるべき子供なんて1人もいないのだ。大人が親が、躾という言い訳をつ...
購入済み。 2023.03.21.読了。WBC決勝進出! 葉真中さんは、文章が上手いなぁ。すごく惹きつけるし飽きさせない。これからも読み続けたい作家のひとりだ。 子供は誰も悪いことなんかしやしない。 世の中に叩かれるべき子供なんて1人もいないのだ。大人が親が、躾という言い訳をつけて子供に暴力(言葉の暴力も)を振るっているだけ。 子供が何か悪いことをしたのなら、それは周りの大人たちの責任だ。叩かれるべきは大人。子供ではない。いつも。 虐待されても暴言を吐かれても、叩かれても叩かれても、ただただ、大人たちの愛情を求める子供達。切ない。 もっと切ないのは、虐待をうけた子供達が親になった時、また同じ間違いを犯してしまうことだ。負の連鎖。なんとか食い止めなければ。
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平成が始まる日に生まれ、平成が終わる日に死んだ男の子の話。戸籍もなく、親に愛されず、人を殺し、人を救う。そして、自分を殺すことで、自分を救う。 ブルーは主人公の名前でもあり、ヴェトナムにある湖を指している。 壮絶に面白い。
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