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当事者は嘘をつく の商品レビュー

4.1

20件のお客様レビュー

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2023/09/26

当事者性ってなんだろうと、非当事者だったらどこまで行っても理解することなんか無理だと思っていたけど、 それが著者の言葉でちゃんと書かれている。 私はなんの当事者でもないけど、この本を読んで良かったと、単純に思った。 著者は強い人である。

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2023/08/21

「あなたには分からない」と、その人(たち)をはね除けることは、結局のところ「私のことを分からないあなたのことが、私は分からない」と自分の心の不透明な部分をはね除けることと等しいのではないだろうか。 自分の心の中に空洞が残るのは、正にこういった所作によるものかもしれんと思われた。 ...

「あなたには分からない」と、その人(たち)をはね除けることは、結局のところ「私のことを分からないあなたのことが、私は分からない」と自分の心の不透明な部分をはね除けることと等しいのではないだろうか。 自分の心の中に空洞が残るのは、正にこういった所作によるものかもしれんと思われた。 「私のことが分からないあなたのことを私は知りたい」なぜならそれが、「私を知る」ことに繋がるからだ…という路があるような気がするな。

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2023/08/16

性被害者を名乗りでること、こうした被害者を支援する人たちとの関係性、被害者同士の支援などなど、普段考えもしないようなことを考えさせられる本であった。著者の研究者としての視点と被害者としての当事者性のバランスが見事に取れている。読んでいて、著者の当事者としての苦悩がダイレクトに伝わ...

性被害者を名乗りでること、こうした被害者を支援する人たちとの関係性、被害者同士の支援などなど、普段考えもしないようなことを考えさせられる本であった。著者の研究者としての視点と被害者としての当事者性のバランスが見事に取れている。読んでいて、著者の当事者としての苦悩がダイレクトに伝わってくる。ある意味固唾を飲んで読み進めた。当事者ならではの視点、感覚について、考えさせられることが多かった。単なる被害者の記録ではなく、第三者的な視点がうまく組み合わせられている稀有な本だと思う。

Posted byブクログ

2023/08/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読み始めたとき、一気に読まなければ今後読めなくなると思い、それを惜しんだためハイペースでの読了(1時間半くらいか)となってしまった。だからこの本の内容について、たれかに聞かれたとしても、正確には語れないことをわたしはあらかじめ断っておく。 だが、わたしはわたしにしかない読書体験をしたし、わたしにしかない共振をこの本から得たと思う。思い悩んだのち、はじめ青い芝の会から(あとには水俣の人びとから)著者がある種の啓示のようなものを受けた「支援者と当事者との関係性」について、わたしもおおきく揺さぶられたし、揺さぶられるだけの体験がわたしの中にはあった。尊重されないである「わたし」と、愛想良く振る舞わなければ支援を受けられない「わたし」がつながってあることはあってはならないと『思ってもいい』(実際の社会の冷たさは於いても)。道の先行きを前っから決められることにノーというだけの権利がある。ただ、世界はグラデーション/スペクトラムで、支援者にも世界はあるのだ、が。 いずれにしても、わたしは著者の結論(?)に頷けたし、これだと思った。引き裂かれるような葛藤とままならなさ、当事者性と支援者(あるいは研究者か。いずれにせよ一面的ではない人間)のあいだで揺れ動く『自分そのままの存在』を表現することは、決してむだではない。

Posted byブクログ

2023/07/11

「当事者は嘘をつく」というのは著者が、体験した性被害の経験について語るとき、自分は嘘をついているのではないか、という考えが拭えないということを意味したタイトルである。 性被害にあった人間が修復的司法というケアの方法を通してどのようにサバイブしていけるのか、ということを主軸に、そ...

「当事者は嘘をつく」というのは著者が、体験した性被害の経験について語るとき、自分は嘘をついているのではないか、という考えが拭えないということを意味したタイトルである。 性被害にあった人間が修復的司法というケアの方法を通してどのようにサバイブしていけるのか、ということを主軸に、そこから無限に枝分かれするさまざまな重要な事項へ触れていく。それらのことは読者自身が何らかの被害体験を持っていなかったとしても、特別に響いてくるものがある。なぜなら、それは誰もが経験する「傷つけること/傷つけられること」に結びついていて、それらをどう扱うかということをこの本は語っている。 また、自助グループでの体験やケータイ小説を書くといった、いわゆる医学的なキュアの方法に頼っていない(精神科医に裏切られた体験への記述もあるのだが…)著者のユニークな足取りは、取っ付きやすく、力強く、それでいて誠実な、彼女にしか描けないラインであると感じた。その感覚は「急に具合が悪くなる」を読んだ時の、この物語はこの人にしか書けないものなのだという共振の感覚があった。つまり魂本(ソウルブック)…… ケアとキュアは違って、前者はより回復者の主体性、当事者性を担保したものであるという記述も重要だった。そして著者は、被害者の近くで支援者として関わる人々の中に、観察的な立場から二次被害的に被害者を扱う人間がいることを厳しく指摘する。 ユマニチュードに関する記述などもあって、自分が関心を寄せるトピックに関する記述が多数出てきた。 傷ついた人々(自分も含めて)がいかにして自分のことを語り、生き直すことを始めるのか、そしてその時に放つかがやきのようなものに、自分はもしかしたら惹かれているのかも知れないと思ったりした。

Posted byブクログ

2023/05/16

この作者は性暴力被害者なのか 冒頭にレイプとあるが 私の感覚では作者はレイプなどされてはいない DVは事実であると思う 恋愛でそういう関係を持ったのではないのだろうか 同意の上でそういう行為に至ったと文中にある 読んでいると作者自身が性暴力被害者であるように感じてしまった 繰り返...

この作者は性暴力被害者なのか 冒頭にレイプとあるが 私の感覚では作者はレイプなどされてはいない DVは事実であると思う 恋愛でそういう関係を持ったのではないのだろうか 同意の上でそういう行為に至ったと文中にある 読んでいると作者自身が性暴力被害者であるように感じてしまった 繰り返しになるがDV被害者は紛れもない 私の読み方が浅いのかもしれない 性暴力被害者が世の中に多数存在する事実は私自身は直接確認してはいないが事実だと思う 話は変わるが、当初受けた精神科医の診察 この医者は専門家であることを疑ってしまう 自分の価値観のもとに患者を誘導しているのではないか 哲学については、私のレベルではよくわからなかったというのが本音だ 作者が自分の経験を開示することで、被害者が前向きに生きていく道標になる これは流石であり、共感した

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2023/03/29

●目的 性被害者の心理について理解する ●内容 ・性犯罪ではなく、性暴力。 ・被害者は真実を語らない ・修復的司法という世界があり、被害者をサバイバーとして助けて行く ・犯罪被害者という観点で水俣病患者のドキュメンタリーにも触れていた ・ジャック・デリダが著者の先行研究者 ・「赦...

●目的 性被害者の心理について理解する ●内容 ・性犯罪ではなく、性暴力。 ・被害者は真実を語らない ・修復的司法という世界があり、被害者をサバイバーとして助けて行く ・犯罪被害者という観点で水俣病患者のドキュメンタリーにも触れていた ・ジャック・デリダが著者の先行研究者 ・「赦し」がサバイバーにとって重要なキーワード ●感想 性暴力被害や水俣病など、社会問題として扱われるものの被害当事者が生き延びて行くためにさまざまな葛藤との闘いがあることに重たいものを感じた。

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2023/03/08

腑に落ちるような落ちないような。たぶん、私は基本スタンスとして「真実か嘘か」ではなく「どう語ったか」を重視したいと考えているし、当事者という言葉自体学術研究上の記号であってそれが本人にとってどうあるかは別次元の話だと捉えているからだろうな。 自身の暴力性・権力性を認識するというの...

腑に落ちるような落ちないような。たぶん、私は基本スタンスとして「真実か嘘か」ではなく「どう語ったか」を重視したいと考えているし、当事者という言葉自体学術研究上の記号であってそれが本人にとってどうあるかは別次元の話だと捉えているからだろうな。 自身の暴力性・権力性を認識するというのは研究やら支援やらに関わるのであれば必要だと思うけど、そこを「おこがましさ」とか「罪悪感」とかの綺麗な言葉にしていいんだろうかという思いはある。というか昔読んだ民俗学研究の論文にそういう話あったような。 当事者であり研究者である人がカムアウトすべきかという問題はまだ自分の中で整理できてない。当事者であることを隠して研究をするのは卑怯かという問いであれば、研究者としての暴力性を認識して引き受けているならええんちゃうのとは思う。 当事者であることをカムアウトすることによるバイアスとか研究者である人格に被害者性を帯びることであれば、一研究者として書いた論文に対して「あなたは当事者だから」という側と闘うなり受け容れるなりする気力があるなら、って感じかな。正直、そういうこと言う人におもしろい研究者いないイメージなので相手せんくてもと思っているけど、そのことによって傷つくことは弱さではないので、耐えろというつもりもない。ただ、当事者であることを明かした上で論ずるなら、当事者性と研究者の暴力性を両方自覚して書かなきゃいけないからその分難しくはなるよね、と思う。どちらかだけで書くほうが、遥かに楽に書けるとは思う。 自分自身が当事者であることを明かした上で研究をするべきか、という話を昔某研究者と話した記憶をうっすら思い出した。たしか、結論は、明かすも明かさないも戦術、だった気がする。 明かす痛みも明かさない痛みもあって、それはすべて個人である本人が負うしかないというのが少なくとも今の日本の現状。それが社会構造的な問題であるということはまた別の話。

Posted byブクログ

2022/11/08

性暴力(犯罪とは言い難い)の被害者が、自助グループに関わり、精神科医師に反発し、修復的司法の研究者になった自伝。 90ページまで読んだ。

Posted byブクログ

2022/11/05

性被害サバイバーの著者がサバイバーとして自らが生きていく為に性被害についての向き合い方を学び研究者となるなかで研究者になったからこその葛藤が生まれるというエッセイ的な自伝(?)。性被害者としての自分と性被害について論文を書く研究者としての自分、それぞれが両立し得るのか?研究者であ...

性被害サバイバーの著者がサバイバーとして自らが生きていく為に性被害についての向き合い方を学び研究者となるなかで研究者になったからこその葛藤が生まれるというエッセイ的な自伝(?)。性被害者としての自分と性被害について論文を書く研究者としての自分、それぞれが両立し得るのか?研究者でありながら性被害サバイバーと公表していいのか?その悩みについて、勿論性被害サバイバーとして生きてきた苦しみについても書かれていて性被害というものが1人の人生をどれほど変化させてしまうものなのかという事を感じずにはおれなかった。上手く言えないのだが人の内面にどれ程の傷があるのかは想像するしか出来ないし、想像が当たっているかなんて誰にもわからないのだろうなと思ったりしていた。

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