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帰れない村 福島県浪江町「DASH村」の10年 の商品レビュー

4.3

17件のお客様レビュー

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2024/04/22

ネットで連載されていた時に読んでいたが、こうして1冊の本になるとまた違う。帰れない村の人たちの思いが一塊になって突き刺さる。 東京の政治家や官僚や東電の幹部たちにはわからないのではないか。故郷に帰れなくなった人たちの気持ちが。そこで農業や酪農業で暮らし、植物や動物と共に生き、親や...

ネットで連載されていた時に読んでいたが、こうして1冊の本になるとまた違う。帰れない村の人たちの思いが一塊になって突き刺さる。 東京の政治家や官僚や東電の幹部たちにはわからないのではないか。故郷に帰れなくなった人たちの気持ちが。そこで農業や酪農業で暮らし、植物や動物と共に生き、親や子供、親戚、近所の人たちと一体となって暮らしていた人たち。 我慢強い人たちの我慢で成り立っている今の日本。 もっと怒ってもいいのではないか。悲しさや苦しさや目の前の困難で怒ることができない人の代わりに、もっと怒らなければいけないのではないか。

Posted byブクログ

2023/06/13

三浦英之(1974年~)氏は、京大大学院卒、朝日新聞社の記者・ノンフィクションライター。『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』で開高健ノンフィクション賞(2015年)、『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』で小学館ノンフィクション大賞(2018年)を受賞。 著者は、東日本...

三浦英之(1974年~)氏は、京大大学院卒、朝日新聞社の記者・ノンフィクションライター。『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』で開高健ノンフィクション賞(2015年)、『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』で小学館ノンフィクション大賞(2018年)を受賞。 著者は、東日本大震災の直後から1年間、宮城県南三陸町に駐在し、2011年6月~2012年3月に朝日新聞に連載した「南三陸日記」をもとに、2012年に『南三陸日記』を出版し(更に、一部内容を追加して2019年に文庫化)、文庫版は平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞(2019年)を受賞している。 本書は、著者が2017年秋~2021年春に、現在も全域が帰還困難区域となっている浪江町津島地区(旧津島村)と、同地区に暮らしていた人々を訪ねた記録を掲載した、2020年9月~2021年3月に朝日新聞と朝日新聞のデジタルサイト「withnews」の記事を加筆修正し、まとめたものである(オリジナル文庫)。LINEニュースでも配信されだ記事のダイジェストは、2021年の「LINEジャーナリズム賞」を受賞した。 私はこれまで、『南三陸日記』をはじめ、辺見庸『瓦礫の中から言葉を』、門田隆将『死の淵を見た男』、眞並恭介『牛と土 福島、3.11その後』、奥野修司『魂でもいいから、そばにいて』、青木美希『地図から消される街』等、東日本大震災と福島の原発事故に関わる多数の本を読んできたが、著者の作品の特徴は、エピソード毎に、それに関連する写真が載っていることであろう。文章の力はもちろん大きいが、視覚を直撃する写真の力は、また別の強さを持っている。 それにしてもだ。現在も残る帰還困難区域の面積は約300㎢(東京ドーム7,200個分)で、旧津島村は全域がその中に含まれ、凡そ1/3を占めるのだ。行政単位で語ることにどれほどの意味があるかはわからないが、あの原発事故の影響で、この日本に「人の住めない村」ができてしまったこと(大規模な除染が行われない限り、今後100年は住めないと言われている)の衝撃はやはり大きい。 東日本大震災は、地震による直接的被害、津波による被害、原発事故による被害と、幅広い被害をもたらし、この十年間で様々な対策が取られてきてはいる。しかし、忘れてはいけないことの一つは、原発事故は人災の側面が大きかったということだ。地震と津波は、この日本列島に住んでいる限り避けることはできないが、原発事故は、原発がなければ絶対に起こらない。ドイツでは、福島の原発事故後、メルケル首相(当時)が、「日本ほど技術水準が高い国も、原子力のリスクを安全に制御することはできない」として、それまでの方針を180度転換し、わずか10年で(本年4月)原発の完全停止を実現した。私は強硬な原発廃止論者ではないが、他国の災害からでも学ぶドイツに対し、自国の大惨事すら喉元過ぎれば忘れてしまう日本(の政治家や原子力ムラの人々)を、本当に情けなく思う。 著者は、旧津島村の人々の思いを代弁して、「僕たちにできることはあまり多くはない。だから、少しだけでいい。この小さな本を読み終わった後に少しだけ、福島について考えてほしい。今も自宅に戻れないでいる、「帰れない村」の人々に心の中でエールを送ってほしい。」と書いている。しかし、こと原発事故に関して重要なのは、「忘れないこと」に加えて、「二度と起こさないこと」であろう。 震災から12年を経た今、読む意味のある一冊である。 (2023年6月了)

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2023/04/13

東日本大震災から帰れなくなってしまった村の記録。原子力発電所の事故で生きている間にはもう戻れないことが分かり、村を離れざるを得なかった人々の言葉は本当に胸が苦しくなるくらい。暮らしてきた家に背の高い植物がそびえ立ち、もう戻れないという現実をより現実のものとして突き付けてくる感じが...

東日本大震災から帰れなくなってしまった村の記録。原子力発電所の事故で生きている間にはもう戻れないことが分かり、村を離れざるを得なかった人々の言葉は本当に胸が苦しくなるくらい。暮らしてきた家に背の高い植物がそびえ立ち、もう戻れないという現実をより現実のものとして突き付けてくる感じが辛い。

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2023/03/13

東日本大震災から12年…未だに住民が「帰れない村」、旧津島村…。福島第一原発からは20~30km離れた山間に位置していたため、地震と津波の被害から逃れるための避難所として住民が押し寄せた…。その後福島第一原発事故が発生、放射能は風に運ばれ雪雨となり現地に降り注がれることになる…。...

東日本大震災から12年…未だに住民が「帰れない村」、旧津島村…。福島第一原発からは20~30km離れた山間に位置していたため、地震と津波の被害から逃れるための避難所として住民が押し寄せた…。その後福島第一原発事故が発生、放射能は風に運ばれ雪雨となり現地に降り注がれることになる…。避難をしていた被災者と現地の住民にその事実が知らされたのは翌日のことだった…。その日から今日まで「帰れない村」は、許可なく立ち入ることは住民でもできない…。 かつての旧津島村は、豊かな自然に囲まれご近所との顔の見える関係があったため、住民のふるさとに寄せる思いは強い…なぜ、自分たちの土地が?なぜ、自分たちが住み慣れたこの地を去らなければならないのか…せめて、もっと早く放射能汚染が迫っている情報が入ってきていれば…。住民たちの、やり場のない思い、葛藤、諦め…、そんな住民たちの今を取材と写真によってひとつずつ紡ぎ出したのが本作品です。 「白い土地」を読んだ後で本作を読めたのもよかったと思います。そして、本作の写真は表紙以外すべてモノクロなのですが、猫丸さんのレビュー中のURLをクリックするとカラーでも見られます!!猫丸さんありがとうございます。そして一部本作品に掲載されてなかった写真も見られたりもします(表紙のチヨおばあちゃん、「希望は捨てない」と自筆で書かれたボードを持って穏やかな表情をみせていました)。震災から12年経ち、地震や津波の被害を受けた地域は復興したけれど、福島第一原発事故による放射能汚染の被害地域の時は止まったままです。ここまで4冊三浦英之さんの作品を読みましたが、この4冊はいつでも手の届く場所に置き、読み返すことで忘れないでいようと強く感じました。

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2023/02/22

どこに基準を置くかで、見えてくる景色は違う。人それぞれに、見える景色は違うのだけれど、事実は一つ、現場にしかない。

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2023/02/20

 原発事故で帰還困難区域になった福島県浪江町津島地区(旧津島村)。本書は、離散した旧津島村の人々を追ったルポタージュです。  著者の三浦英之さんは、この旧津島村に線量計を持ちながら3年半(2017年秋~2021年春)通い続けました。そして、多くの元住人から丁寧に話を掬い取り、自然...

 原発事故で帰還困難区域になった福島県浪江町津島地区(旧津島村)。本書は、離散した旧津島村の人々を追ったルポタージュです。  著者の三浦英之さんは、この旧津島村に線量計を持ちながら3年半(2017年秋~2021年春)通い続けました。そして、多くの元住人から丁寧に話を掬い取り、自然豊かで美しい村が存在していた事実を記録し続けました。本書は、2020.9.16〜2021.3.31に、朝日新聞及びデジタルサイトに掲載された記事の書籍化で、元記事が「帰れない村(withnews)」でカラー写真とともに読むことができます。  基本的に、一人につき見開き2ページの記事と見開き2ページ×2枚のモノクロ写真のセットで構成されています。わずか2ページに凝縮された文章から、東電への憤り、帰還できない無念さや望郷の想いがひしひしと伝わります。また、モノクロ写真の陰影が、より深い哀しみを伝えている気がします。  震災から12年が経過し、コロナ禍もあり徐々に震災が忘れ去られようとしているのは紛れもない事実でしょうが、本書は、時間の流れに抗い、記憶の風化に立ち向かう一冊だと感じました。 
 この旧津島村は、かつて日テレ系テレビ番組でアイドルグループ「TOKIO」が住み込み、農業体験をした『DASH村』でした。「TOKIO」もメンバー3人で新「株式会社TOKIO」を立ち上げ、福島県西郷村に土地を購入。「TOKIO―BA」として福島へ恩返しをするべく、新プロジェクトを始動させているとのことです。こちらも見守っていきたいと思います。

Posted byブクログ

2023/01/18

2011年以前は羨望を感じていたDASH村。場所は非公開だったので分からなかったけれど、福島であることは分かっていたので、当面再開はされないんだろうと思っていましたが、決して戻る事ができないエリアだったんですね。 そして既に12年を迎えようとしていますが、何にも未来に展望を見いだ...

2011年以前は羨望を感じていたDASH村。場所は非公開だったので分からなかったけれど、福島であることは分かっていたので、当面再開はされないんだろうと思っていましたが、決して戻る事ができないエリアだったんですね。 そして既に12年を迎えようとしていますが、何にも未来に展望を見いだせないのがこの本を読むとひしひしと感じられます。辛い本です。

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2022/12/29

2022年150冊目。 日テレの人気番組「DASH村」があることで知られた福島県浪江町津島地区の震災後の様子を綴ったルポ。 浪江町の中心部が少し前に帰宅解除となったが、山間部にある津島地区は未だ除染が行われず、帰宅困難地域となっている。 住んでいた住民は住み慣れた土地を離れ、散り...

2022年150冊目。 日テレの人気番組「DASH村」があることで知られた福島県浪江町津島地区の震災後の様子を綴ったルポ。 浪江町の中心部が少し前に帰宅解除となったが、山間部にある津島地区は未だ除染が行われず、帰宅困難地域となっている。 住んでいた住民は住み慣れた土地を離れ、散り散りになり、震災後亡くなる方も年々増えていると言う。 浪江町は縁ある土地であり、番組で秘匿されている時からDASH村の存在は知っていた。 地元の人たちは番組出演者やスタッフ達と良好なコミュニケーションを取り、テレビ画面から伝わってくる以上にDASH村を愛していたと思う。 それが原発事故と言う未曽有の事故により、ある日突然奪われた日常。 DASH村は隣町である葛尾村に場所を移し、米作りを再開したが、津島地区は2011年3月11日で時間が止まったまま。 政府も除染作業を行う予定がないとのことを、この作品で知った。 そして、津島地区はシベリア抑留から引き揚げて来た後、住んでいる人が多いことも。 戦争で一度土地を奪われ、原発事故でまた土地を奪われ、見知らぬ土地で終える命。 今も津島地区に帰ることを諦めない人たちにも、心を揺さぶられた。 普通に暮らしている自分に今出来ることは何なのだろう? 何年経っても忘れない。 常磐道を通る度に、戻れない人たちに思いを寄せる。 それが何になるのだろう? 答えが見つからない。 そんなもどかしい思いだけが残った。

Posted byブクログ

2022/11/30

南三陸日記と並んで三浦英之記者が被災地の人々に寄り添うルポ。 これらを読んだら「原発推進」なんて言えるはずがない。 つまり読んじゃいないのでしょう。聞く力のないあなたは読む力もないのですね。 国民の苦しみに鈍感なあなたはさっさと退陣すべきです!

Posted byブクログ

2022/08/08

旧津島村あこうぎ赤宇木集落 女川原発のある牡鹿半島は 規制する立場の経産省の役人に天下り先を提供する 福島県浪江町

Posted byブクログ