東大教授、若年性アルツハイマーになる の商品レビュー
54歳、現代ではまだまだこれからというときに若年性アルツハイマーになられたショックを思うと堪え難い苦しみに襲われる。まして脳神経外科医として活躍し何でも出来ると信じてきた自分が簡単な漢字すら思い出せないことに気がついたときの絶望感はいかばかりだったろうか。日記に繰り返し書かれた...
54歳、現代ではまだまだこれからというときに若年性アルツハイマーになられたショックを思うと堪え難い苦しみに襲われる。まして脳神経外科医として活躍し何でも出来ると信じてきた自分が簡単な漢字すら思い出せないことに気がついたときの絶望感はいかばかりだったろうか。日記に繰り返し書かれた単語練習の跡が凄まじい。 やはり受け容れることは容易ではない。脳の専門家として客観的に、自分がDementia(認知症)ではないかと疑いながらも、そのことを認めて受け容れるまで、4、5年の間苦しみ続けた。大きな転機となったのは、有名なクリスティーン・ブライデンの講演だったという。ブライデンは自らも認知症患者として苦しんだ末に、認知症になることは自己の喪失を意味するのではなく、むしろ自分の本質に還ってゆくのだ、という答えに辿り着く。家族でも専門家でもなく、同じ葛藤を経た人間の言葉だからこそ、自然に受け容れられたのではないかと思う。 とはいえ、自分が認知症であると受け容れてなお、患者自身も介助者も大変な思いをする。そこが本書では印象に残った。氏が認知症患者はエイリアンだと言ったのは、明確な意思を持ちながらもはやほとんど意思疎通のままならない境遇を嘆いているようにも思える。はたから見れば支離滅裂かもしれないが、確実に意思を持っているのだ。 これからの時代、患者自身が一人で葛藤し認知症と向き合うだけでなく、社会がそれを後押しするような時代であって欲しいと願う。
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若年性アルツハイマーは、どれほど頭を使おうと、活動的にしていようと関係なくやってくるのだ。 65歳未満で発症するアルツハイマー型認知症を若年性アルツハイマーというらしいですが、まだ働き盛りの50代、しかも東大の教授(脳外科の医師)という脳のエキスパートが発症してしまう、その診断さ...
若年性アルツハイマーは、どれほど頭を使おうと、活動的にしていようと関係なくやってくるのだ。 65歳未満で発症するアルツハイマー型認知症を若年性アルツハイマーというらしいですが、まだ働き盛りの50代、しかも東大の教授(脳外科の医師)という脳のエキスパートが発症してしまう、その診断された後の絶望感はいかなるものでしょう。 受け入れるのに数年かかったそうだが、その葛藤を思うと胸が痛くなります。 しかし、この夫妻には大学時代からのキリスト教の信仰があり、信仰や周囲の人々との関わりとともに生きていくのです。 人が変わってしまったのではない、出来ることが出来なくなり、分かっていたことが分からなくなり、不安になるのであって、その人の思いやりはなくならないというところに気づきをもらえました。 寄り添うこと、相手の言動、行動の裏の意味を考える こと。 大切なことがたくさん詰まっていました。 若年性に限らず、高齢化によってこれから更に認知症を発症する人が増えることでしょう。(将来の家族や自分も含めて) 認知症を理解し、見守ることはこれからの社会に求められていることなのでしょう。 そして、認知症になっても絶望ばかりせず、前を向いて歩くことによって見える世界があると気づかされました。
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若年性アルツハイマーで東京大学を早期退職、家族は認知が進む夫を見守って16年近くを過ごす。 沖縄での生活、デイケアでの事件、講演会の失敗、それでもその様に存在することが、何かしら生きることにつながる。 生きることは死すること、死することは生きること。人が存在し生きることは尊い。
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元脳外科医の東大教授とその妻が、認知症に直面し、苦悩し、それを受け入れた歩みの記録。 認知症になったら時の経過とともにどのような感じになるのか、認知症の方にはどう接したらよいのかなど、気付きが多かった。そして、本書から伝わってくる夫婦愛に感動。
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奥様の教授に対する想いを考えると涙が出そうになった 妻の支えがあるってどれほど有難いことか世の中の男性にわかってほしい
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昨日、父がアルツハイマー型認知症と診断を受け、病院からの帰り道に買った本。 父のために何ができるのか。自分なりに考え、行動に移していきたい。まずは毎朝、薬を飲んだか、血圧を測ったか、確認の電話を入れるところから、一歩ずつ。 お父さん、これまで私たち姉妹のためにがんばってくれて...
昨日、父がアルツハイマー型認知症と診断を受け、病院からの帰り道に買った本。 父のために何ができるのか。自分なりに考え、行動に移していきたい。まずは毎朝、薬を飲んだか、血圧を測ったか、確認の電話を入れるところから、一歩ずつ。 お父さん、これまで私たち姉妹のためにがんばってくれて、ありがとう。これからは私たちがお父さんを支えます。一緒にがんばろう。
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いつも利用している図書館の新着書リストの中で見つけました。以前から気になっていた本なので、早速予約して読んでみました。 テーマは「近親者のアルツハイマー病発症」というとても厳しいものです。著者は発病者の奥様の若井克子さん。 看病・介護の現実には、本書には書かれていないような...
いつも利用している図書館の新着書リストの中で見つけました。以前から気になっていた本なので、早速予約して読んでみました。 テーマは「近親者のアルツハイマー病発症」というとても厳しいものです。著者は発病者の奥様の若井克子さん。 看病・介護の現実には、本書には書かれていないような壮絶なご苦労があったことでしょうが、そのあたりには敢えて深入りせず、粛々とした語り口が穏やかなお人柄を表しているようです。
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東大教授、医者、クリスチャンの世界を駆け巡っていた第一線の研究者がワルツハイマーにかかり早期退職しての闘病記。読後感は重たいものであった。自分も認知症になる可能性もある。どれだけの率で罹患するかおわからない。50代で発症し60前にリタイアせずにいられなかったばりばりのドクターが...
東大教授、医者、クリスチャンの世界を駆け巡っていた第一線の研究者がワルツハイマーにかかり早期退職しての闘病記。読後感は重たいものであった。自分も認知症になる可能性もある。どれだけの率で罹患するかおわからない。50代で発症し60前にリタイアせずにいられなかったばりばりのドクターが、認知症が進行して行く過程を赤裸々に夫人が書いている。本人も配偶者も家族も巻き込んで発症してから寝たきりになり亡くなるまでの16年余りの見取りまでよく世間にあらわしてくれたことに奥さんに心から感謝したい。クリスチャンだからできることかもしれない。超高齢化に突入して認知症を患う日本人はある程度の率になると思う。余命何年とかの闘病記もいいけどこのような認知症の患者の家族周囲の体験をもっと世間に表さなければいけないと思う。
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若年性アルツハイマー病と診断された教授と、長年に渡り支えてきた妻、克子さんとの闘病手記。 専門医が、自身の病気に疑いを持ち、気づいた時、どれだけの不安の波が押し寄せてきたのだろうか、受け入れづらかったのだろうか…と。 そう思いながら読み進めてきました。 文字がわからなくなったり、...
若年性アルツハイマー病と診断された教授と、長年に渡り支えてきた妻、克子さんとの闘病手記。 専門医が、自身の病気に疑いを持ち、気づいた時、どれだけの不安の波が押し寄せてきたのだろうか、受け入れづらかったのだろうか…と。 そう思いながら読み進めてきました。 文字がわからなくなったり、言葉を少しずつ失ったりしても、正義感、優しさ、謙虚さはそのままで信仰が深まったりと、先生自身の強さを感じる場面もあり、読んでいてジーンとくる場面もありました。 夫婦二人三脚での闘病生活。読ませてもらえた事に感謝。良書。
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脳神経外科を専門にしていた人が自分がアルツハイマーではないかと疑う。 漢字が書けなくなっていき、言葉もだんだん失われていき、これまで当たり前のようにできたことができなくなっていく。 どれだけ恐ろしく、受け入れるのに勇気が必要だっただろう。 想像するだけで呼吸が浅くなってしまう。 ...
脳神経外科を専門にしていた人が自分がアルツハイマーではないかと疑う。 漢字が書けなくなっていき、言葉もだんだん失われていき、これまで当たり前のようにできたことができなくなっていく。 どれだけ恐ろしく、受け入れるのに勇気が必要だっただろう。 想像するだけで呼吸が浅くなってしまう。 講演会でアルツハイマーになったことの意味を問われた時の若井先生の言葉(P159) ---------- 私がアルツハイマーになったということが、自分にとって最初は「何でだ」と思っていました。けれども私は私であることがやっとわかった。そこに至るまでに相当格闘したわけですけど。 ---------- 病気になっても自分は自分。 同じ立場に立たされたとき、このような発想を手にいれることができるか、私には自信がない。 若井さんには信仰があるけど、私にはないし、1番信じているのは自分。 その自分が自分でなくなるように感じたら、立ち上がれるだろうか。 若井さんは何て高潔な人なんだろう。 読みながら勇気のようなものを感じたけれど、立派すぎて手が届かない気もした。
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