跳ぶ男 の商品レビュー
能・・鑑賞したこともないし、興味を抱くこともなかった私 中世期、日本では能を武士の嗜みとし、江戸期においては素養の核の一つとして重用したらしい。 松井さんの作品に「風姿花伝3部作」があるけど読んだ事はない。 昨年、筆者青山氏の作品に流れる骨太さに惹かれ読んできたが、これは満を...
能・・鑑賞したこともないし、興味を抱くこともなかった私 中世期、日本では能を武士の嗜みとし、江戸期においては素養の核の一つとして重用したらしい。 松井さんの作品に「風姿花伝3部作」があるけど読んだ事はない。 昨年、筆者青山氏の作品に流れる骨太さに惹かれ読んできたが、これは満を持した大作だとご自身も思っておられるのではないだろうか。構想から世に問うまで2年余をかけたとある。 時代は江戸後期?貧しい藤戸藩に生まれた主人公 剛。 お道具役の家柄に生まれながらまともな稽古を受けられぬまま、同じ家柄の岩橋保を知り、稽古をしていく形となる・・場所は「死んだものを海に流す野宮の石舞台。 ここから始まるのだがかなりのスペースで剛の内省の世界が綴られる。 想い半ばにして不慮の早逝を遂げた保が残した3つの言葉・・これが物語を最後まで引っ張って行く。 ~お前は素晴らしい能役者になる/最後に思いもよらぬことをやる/お前が羨ましい 若き剛のその後に目まぐるしい出来事が相次ぐ・・しかし、「ちゃんとした墓参りができる国にしよう」のフレーズ一本だけで最後までひっぱり続ける文筆力に敬服すら覚えた。 恐ろしいくらい無駄がないのである。 男女関係は梅雨も登場せず、ひたすら脳の芸の道・・ 当然、他出するのは専門用語・・・うーん、甲来たか、甲繰るしかないだろう・・うーん、甲来たか、甲繰るしかないだろうる。 華やかな宮廷文化を下支えした清少納言と紫式部の・・ともすると下位に来る和泉式部があちこちに引用され、艶めく。 石舞台で保亡き後も【跳ぶ】剛~仰向けに激しく体を打ち3日も意識が無かったこともある。 江戸に出て井伊家、酒井家、など有力大名にお目見えを続け能を披露していく中でも【跳ぶ】・・そしてどう着地するか・・うーん、こう来たか、こうくるしかないだろう~美しい。
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学生時代に縁があり能に多少関わって、沢山の舞台や演者の方を観させて頂いた事を思い出しました。江戸時代の「能」を通して、見事過ぎる武士の生き方を描いた傑作と思います。小説の筋とは関係ないですが、能には色々なものがあり、例えば佐渡ヶ島には沢山の能舞台が残っているのですが、そんな農村で...
学生時代に縁があり能に多少関わって、沢山の舞台や演者の方を観させて頂いた事を思い出しました。江戸時代の「能」を通して、見事過ぎる武士の生き方を描いた傑作と思います。小説の筋とは関係ないですが、能には色々なものがあり、例えば佐渡ヶ島には沢山の能舞台が残っているのですが、そんな農村で演じられたお能なども、機会あれば観てみたいなどと思いました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
主人公の剛(タケル)は能を生業とする道具役(能の役者)の家に生まれた。能の師でもあり、兄のように慕った保は武士として死んだ。 貧しくて墓に埋葬する土地もない台地の国では遺体は川に流される。「ちゃんとした墓参りができる国」にするために、剛は身代わりの藩主となって、能の力で御当代様へ働きかけようとするが・・・・。 なんとも壮絶な物語だった。能のなんたるかを解き明かそうとする文章が後半にあるのだが、能の真実はわからないながらも引き込まれた。そして剛の衝撃的な決断・・・。いや、極めるのはそっちじゃないだろう、勿体無いと思うのは、能だけに囚われていた自分だから。能が、それほど魅力的なものに映った。 以下ネタバレになるけど、 保の鵺の能を見たかった。それを見ている剛。 だんだん一体化していく2人。 映像が浮かんでくる(でも誰がやるの?)
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1人の男が能と直向きに静かに向き合って生きていくお話。 最後私は切なく感じてしまったけれど、彼は後悔もしていないし辛いとは思っていない。 こういう生き方が出来る人は多くはいないんじゃないでしょうか。とてもかっこいいと思いました。
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能とはが感じた。わかったとは言えないのですが。江戸時代は自分を通して生きることが大変な時代!! でも、女性が出たかなかったよ。
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会話を通して語られる能の世界の知識等が多くて読み疲れることもありました隙のない文章で綴られる青山文平文学を堪能しました。
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「能」の蘊蓄が9割方あり、難解な内容。 ただ、筋としては面白いので、難解な部分は読み飛ばして拾い読みした。 貧困で苦しむ弱小藩の道具役(能役者)の長男として生まれた主人公の屋島剛。母親が死亡し後妻に次男が生まれたことから後継を諦める。兄がわりを師と仰ぎ、野墓の原で「能」に励むが、...
「能」の蘊蓄が9割方あり、難解な内容。 ただ、筋としては面白いので、難解な部分は読み飛ばして拾い読みした。 貧困で苦しむ弱小藩の道具役(能役者)の長男として生まれた主人公の屋島剛。母親が死亡し後妻に次男が生まれたことから後継を諦める。兄がわりを師と仰ぎ、野墓の原で「能」に励むが、師が事件を起こし自裁する。一旦全てを諦めるが、再度「能」を一人稽古する。 殿様が突然死し、藩を救うために殿様の身代わりとなる。「能」が藩を救うということで、江戸で頭角を表す。 「自分の国をちゃんとした墓参りができる国にする」という師からの言葉を自分の命題とした屋島剛は最後の手段に出る。これが衝撃的な内容だった。最後にこれは無いのではと思ってしまう。
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石高わずか二万二千の藤戸藩道具役に生まれた屋島剛。道具役といっても能役者。母に死なれ、後妻を娶った父に見捨てられ、野の石舞台でひたすら稽古に励む。目付鵜飼又四郎によって、藩主の身代わりになるように告げられる。能役者であるが故に見出されたのである。 能の蘊蓄をうざいと感じるむき...
石高わずか二万二千の藤戸藩道具役に生まれた屋島剛。道具役といっても能役者。母に死なれ、後妻を娶った父に見捨てられ、野の石舞台でひたすら稽古に励む。目付鵜飼又四郎によって、藩主の身代わりになるように告げられる。能役者であるが故に見出されたのである。 能の蘊蓄をうざいと感じるむきもあるでしょうが、能の背景の説明がなくなれば物語の体をなさないので、我慢して読み進むとようやく面白さに辿り着けます。最後はどう締めくくるのかとドキドキしながら読み進むことができました。青山文平という時代もの作家の静かなすごみを感じさせてくれるよい作品だと思います。
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江戸時代を舞台にした能の役者の子どもが主人公。時代小説で、自分に能の知識はほぼないことと、主人公の考えごとの細やかさに、油断すると何言ってるかわからなくなるので気も抜けず。 主人公の剛が、又四郎、八右衛門に知識を授けられていく様も心地よい。 終盤の剛の案には、ハテそううまくいくの...
江戸時代を舞台にした能の役者の子どもが主人公。時代小説で、自分に能の知識はほぼないことと、主人公の考えごとの細やかさに、油断すると何言ってるかわからなくなるので気も抜けず。 主人公の剛が、又四郎、八右衛門に知識を授けられていく様も心地よい。 終盤の剛の案には、ハテそううまくいくのかと思つつも、最後のシーンの余韻がすさまじかった。 読み応えのある小説でした。
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ラスト三行が震わせる そしてじわじわくる なんだかもう …尊い え?終わり? とか 結局その結末? とか そう思う人はいると思うので オススメはしない 個人的にはかなり好み さっきは迷うことなき 星4つだったが 今は5つでもよくねーかな と思っている が ひたすらくどい部分が...
ラスト三行が震わせる そしてじわじわくる なんだかもう …尊い え?終わり? とか 結局その結末? とか そう思う人はいると思うので オススメはしない 個人的にはかなり好み さっきは迷うことなき 星4つだったが 今は5つでもよくねーかな と思っている が ひたすらくどい部分があって わかっとるっちゅーの! しつこい!って感じてたので ギリギリ5つに届かない4つ
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