プラトン『国家』を読み解く の商品レビュー
著者の読解が従来のそれといかに違うかについての説明が多くを占める。 この書だけでも一定の結論は得られるが、『国家』を自分なりに読んでいたり、『国家』のスタンダードな解説書を読んでいたりした方が、より楽しめると思う。 プラトンとほとんどイコールで語られるイデア論についての記述はほと...
著者の読解が従来のそれといかに違うかについての説明が多くを占める。 この書だけでも一定の結論は得られるが、『国家』を自分なりに読んでいたり、『国家』のスタンダードな解説書を読んでいたりした方が、より楽しめると思う。 プラトンとほとんどイコールで語られるイデア論についての記述はほとんどなく、『人間』、『正義』、『哲学』についての論として『国家』を読み解いている。これは現代の我々にとっては、より意味のある読み方なのかもしれない。 著者の結論を拾うと以下のようになる。形而上学的な読み方、国家論的な読み方は否定されていることが分かる。 人間=『巨大な多頭の怪物とそれよりは小さいライオンとさらにそれよりも小さい人間が一つになったような生き物』、『「内部分裂」を起こして、獣の一部が好き放題しかねない、あるいは獣同士が互いに争い合うかもしれない』 正義=『魂の一性の実現、魂の統一・統合』 哲学=『魂の向け変え』、『ソクラテスの「論駁」という方法による批判的営み』、『私たちの日常の振る舞い・行為を導く日常の思い・考えを問題にするもの』 我々が「プラトン」と聞いてイメージすることとはかなり異なる読み方になっていると思う。 『Ⅳ巻443c-444aで、「正義とは、魂の一性の実現、魂の統一・統合のことである」と言われています。魂全体の舵取りをする部分に他の部分が従っている、そのようにして魂の全体が一つになっている、それが実現していることがすなわち正義である、そう言っていることになります。』
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いやはや、タイトルはごりっぱ。全体的に、設定している問い及び論述の展開が不明瞭のため、『国家』をどのように論じているのかあいまいだと感じました。【2023年2月28日読了】
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