功罪の籤 の商品レビュー
先日、佐伯泰英氏の「己丑の大火」を読んだ後にこの本を手にした。 天変地異は、避ける事が出来ないけど、この大火は、うっかりしたミスが、江戸中を巻き込む大火事になった。 この藤木桂氏の 「本丸目付部屋」シリーズ10の第1話は、大水が、描かれており、東京の今の姿から、想像もつかない土...
先日、佐伯泰英氏の「己丑の大火」を読んだ後にこの本を手にした。 天変地異は、避ける事が出来ないけど、この大火は、うっかりしたミスが、江戸中を巻き込む大火事になった。 この藤木桂氏の 「本丸目付部屋」シリーズ10の第1話は、大水が、描かれており、東京の今の姿から、想像もつかない土地柄だったのだと、思いながら、読んでいる。 蒔田と平脇の2人が「功」と「罪」に分かれて、調査していくところから、物語は進展していく。 洪水の為の中 妊婦が陣痛、・・・ 誰もが、上の尾張様に、進言する者がいないのか?、住職も 動き出し、皆が、一致団結で、助かる事になる。 3話の「狐憑き」は、只々、後ろ盾のない若い武士の悲惨さと妹の、自決は、可哀想であった。 妹の小夜の許嫁の友と、老爺の喜助が、心平穏に過ごしてくれるのに、力になってくれているのが、こちらに迄、嬉しく感じてしまった。 「入れ子」初めて、聞く言葉であったけど、内容は、良く理解出来ている。 昔は、武士も戦がなくなった時点の平和な時代に、収入源になるものは、禄だけなのだから、・・・ そして、お家の跡継ぎに、病死や女子ばかりの家では、なかなか、存続が難しい。 しかし、2話のお助け講からの話が、なるほど、続いていて、小普請組の面接で、直ぐに見つかるのか?と、思ったけど、この入れ子なるものが、根の深いものだと、気付かされる。 お家団雑、お役御免になったりと、厳しいお達しに、それでも、若き日に婿養子で、その家を大事に守りぬいている吉見助之進には、江戸払いという、慈悲のある裁きもあり、そして妻も、同行するという仲睦まじい夫婦愛も良かった。 我が家の芦屋の六麓荘の親戚たちも、養子を迎えたり、子供が出来なかったり、そして、子供が病死などで、家は、いつの間にか人手に渡って、音信不通になった。 今の少子化や空き家問題も、何か、考えさせられるおもいがした。
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この本丸目付け部屋シリーズは、作者のデビュー作ではあるものの、素晴らしいシリーズに育っている。 当初から、目付けという、幕府の真っ当な幕臣である武家を見張り正しく導くものとしてのその仕事は、禄が低くとも、決して正論を曲げずに主張しなければならない。 そしてそこには性格も身分も様々...
この本丸目付け部屋シリーズは、作者のデビュー作ではあるものの、素晴らしいシリーズに育っている。 当初から、目付けという、幕府の真っ当な幕臣である武家を見張り正しく導くものとしてのその仕事は、禄が低くとも、決して正論を曲げずに主張しなければならない。 そしてそこには性格も身分も様々な10人が合議で結論を導かねばならない。 目付けを構成する10人の人格の魅力も十分に、筆頭と呼ばれる妹尾十左衛門の魅力的な人物像が光る。 素晴らしい会社を構成する社員の妙と同じようなこの群像劇は、時代小説でありながら現代にも通じる魅力を持っている。 こんかいも、人情味もあふれる捜査に感動。
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