犯人は僕だけが知っている の商品レビュー
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過疎化が進み、いずれ消える町。ある高校の教室で、次々とそのクラスの生徒が消える。学校は騒然とするが、僕だけは知っている。 姿を消した3人は、生きていることを。 初読の作家さんで、文庫レーベルの先入観もあり軽めのミステリを予想していたんですが、想像以上に重い話でした。 過疎と高齢化で衰退していく町のなか、精一杯生きる高校生たち。彼らが抱える問題は、虐待、いじめ、晒し、ヤングケアラー、母子・父子家庭、生活保護と幅広く、失踪や中盤で起こる殺人事件の犯人を暴くミステリーとしてではなく、社会問題とその被害者である少年少女たちの生き方や友情を青春小説のような清廉な痛々しさで描いています。 問題にはみんな立ち向かえ、克服しろと言いがちですが、立ち向かうだけではなく、主人公の堀口が作るゲームのように逃げたり説得したり助けを呼んだり、色々な解決方法がある。ラストシーン、彼らの根深い問題は解決するわけではないですが、自分がその気になれば選べる選択肢は実は複数ある、と考え方を変える一助になるような、儚くも優しいお話でした。 *** こちらも失踪(消失)を扱った青春ミステリ。 →『消失グラデーション』 (角川文庫)/長沢樹
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高校が舞台ですが、SNSリンチ、炎上、承認欲求、配信、虐め、ヤングケアラー、限界集落、児童虐待、介護、排除社会を主人公含め事件が起こり主人公を始めとする生徒がもがき未来を探すのはまるで現代の日本で胸が痛くなりましたがラストは圧巻です。
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狭い空間で犯人を巡って争うより、もっと別の生き方がある。 私の人生を苦しめる犯人が誰かなんて定めなくても、「逃げる」というコマンドが常にある。 そこで己と向き合い続ければその日々は無駄にはならない。 未来へ繋がる。
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過疎化する町にある高校の教室で、一人の生徒が消えた。最初は家出と思われたが、失踪者は次々に増え、学校は騒然とする。だけど――僕だけは知っている。姿を消した三人が生きていることを。 それぞれの事情から逃げてきた三人は、僕の部屋でつかの間の休息を得て、日常に戻るはずだった。だが、...
過疎化する町にある高校の教室で、一人の生徒が消えた。最初は家出と思われたが、失踪者は次々に増え、学校は騒然とする。だけど――僕だけは知っている。姿を消した三人が生きていることを。 それぞれの事情から逃げてきた三人は、僕の部屋でつかの間の休息を得て、日常に戻るはずだった。だが、「四人目」の失踪者が死体で発見されたことで、事態は急変する――僕らは誰かに狙われているのか? 壊れかけた世界で始まる犯人探し。大きなうねりが、後戻りできない僕らをのみこんでゆく。 発売直後から反響を呼び大重版が続き15万部を突破した『15歳のテロリスト』の松村涼哉がおくる、慟哭の衝撃ミステリー最新作!
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高校生たちが、クラスメイトの失踪と謎の死を解決して終了ーかと思いきや、ヤングケアラーや社会福祉制度など、様々な社会問題にスポットライトが当てられていたので驚きました。 これは、読み手によってかなり感じ方が分かれそう。ただ、事件の方に関しては「え?これで終わり?解決してなくない?」...
高校生たちが、クラスメイトの失踪と謎の死を解決して終了ーかと思いきや、ヤングケアラーや社会福祉制度など、様々な社会問題にスポットライトが当てられていたので驚きました。 これは、読み手によってかなり感じ方が分かれそう。ただ、事件の方に関しては「え?これで終わり?解決してなくない?」って感じで不完全燃焼感が否めない…そこは少し残念でした。
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人の優しさと醜さが複雑に交わっていくストーリーに引き込まれてあっという間に読了。 テンポよく進み読み易いミステリーだった。 ただの犯人探しではなく、現代の日本が直面する社会問題について取り上げた内容で少し驚いたが、すごく考えさせられるものだった。 過去の傷や、解決も逃避もで...
人の優しさと醜さが複雑に交わっていくストーリーに引き込まれてあっという間に読了。 テンポよく進み読み易いミステリーだった。 ただの犯人探しではなく、現代の日本が直面する社会問題について取り上げた内容で少し驚いたが、すごく考えさせられるものだった。 過去の傷や、解決も逃避もできない問題を抱いてる人は、高校生とか学生に限らずいることを改めて思った。 人の痛みを知り、寄り添い、優しくするって、なかなか出来ることではないけれど、大切な事なんだと思った。
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高齢化社会の影響で、ヤングケアラーが増えたのではないかと思うけど、これはその問題が絡んでくるお話だ。 こういう物語に対しての感想を書くのは難しいけれど、堀口の優しさは素敵だな。 痛みや苦しみがわかるからこそ、あのような行動ができたのだと思う。 彼が作成したゲームがあるのなら、一度...
高齢化社会の影響で、ヤングケアラーが増えたのではないかと思うけど、これはその問題が絡んでくるお話だ。 こういう物語に対しての感想を書くのは難しいけれど、堀口の優しさは素敵だな。 痛みや苦しみがわかるからこそ、あのような行動ができたのだと思う。 彼が作成したゲームがあるのなら、一度プレイしてみたいな。
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今の社会問題を扱ってる小説などは世の中にたくさんあるけど、どこか他人事で自分の日常には関係があるようには思えなかった。 だけど、松村先生の作品を読むと自分の中にスッと入ってきて、社会問題について真面目に考えるきっかけになる。 今後も読み続けるだろうなって思いました笑 “犯人は僕...
今の社会問題を扱ってる小説などは世の中にたくさんあるけど、どこか他人事で自分の日常には関係があるようには思えなかった。 だけど、松村先生の作品を読むと自分の中にスッと入ってきて、社会問題について真面目に考えるきっかけになる。 今後も読み続けるだろうなって思いました笑 “犯人は僕だけが知っている”ってならないように...
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Amazonの紹介より 過疎化する町にある高校の教室で、一人の生徒が消えた。最初は家出と思われたが、失踪者は次々に増え、学校は騒然とする。だけど――僕だけは知っている。姿を消した三人が生きていることを。 それぞれの事情から逃げてきた三人は、僕の部屋でつかの間の休息を得て、日常に戻るはずだった。だが、「四人目」の失踪者が死体で発見されたことで、事態は急変する――僕らは誰かに狙われているのか? 壊れかけた世界で始まる犯人探し。大きなうねりが、後戻りできない僕らをのみこんでゆく。 うーん、正直違和感の残る物語でした。 というのも、どの立ち位置で読んだらよかったのかわかりませんでした。 最初の連続失踪事件。同じクラスの三人が次々といなくなります。普通なら、警察や失踪者の親が動くところですが、そういった動きもなく、全体的に緊張感がないため、違和感が生じました。 この違和感を皮切りに色んな事に疑問視してしまいました。 前半では、どちらかというと、アニメとして想像しやすかったです。緊張感での違和感を含めて、非現実だと割り切ったのですが、途中から介護シーンなど現実的な要素も登場したので、フワッとした気持ちがありました。 さらに登場人物達の過去も明らかになるのですが、壮絶な過去と現在の風貌が果たして自然な流れなのかちょっと疑問になってしまいました。 特に主人公。母親による壮絶な虐待→母親の憎悪を知るため本を読み漁る→魔物を倒すゲームを作るようになる→ゲームは大ヒット 人生色々だからといえば、しょうがないですが、自然な流れ?と思ってしまいました。 他の登場人物も、過去の「顔」と現在の「顔」との結びつきに無理があるのでは?と思う人もいて、違和感ばかりでした。 他にもあまり主人公のことを心配しない伯父夫婦やほぼ警察があまり活躍されていないなど、ラノベとして読めばいいのか、シリアスなミステリーとして楽しめばいいのか、迷いどころでした。 辛口なコメントばかり書いてしまいましたが、良かった点もあります。 失踪事件の裏では、孤独感や絶望感など心の叫びが関係していて、読んでいて怒りや悲しみなど色んな感情が渦巻いてきました。 主人公の明るい振る舞いとは裏腹に壮絶すぎる過去には心苦しかったですが、主人公が最後に出した「答え」には救いや希望を感じました。 ただし、主人公がどこにいるのか、はっきりしないまま終了。さらに「逃げる」という行為が、果たして良い答えなのかはわかりません。物語はそこで終わりであり、逃げ続けることがどこまで通せるのか、ちょっと違和感かなと思いました。 とりあえず、ラノベとして楽しみました。
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