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泣いてちゃごはんに遅れるよ の商品レビュー

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22件のお客様レビュー

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2024/09/19

私自身、日常からさまざまな場面や感情を、掬い上げて観察しがちな人間だと思う。 だけどそれらのすべてを心に留めるかというとそうではなくて、疲れていたりべつのことで忙しいときは「まあいいや」で流してしまうことも多々ある。 寿木けいさんのエッセイは以前にも読んでとても好きだなと思ったの...

私自身、日常からさまざまな場面や感情を、掬い上げて観察しがちな人間だと思う。 だけどそれらのすべてを心に留めるかというとそうではなくて、疲れていたりべつのことで忙しいときは「まあいいや」で流してしまうことも多々ある。 寿木けいさんのエッセイは以前にも読んでとても好きだなと思ったのだけど、寿木さんは基本的に「まあいいや」をあまりしない人なのではないか、とイメージしている(イメージなのでもちろん定かではない) 日常から拾い上げる温かいこと、ばかりではなく、けっこうピリっとしたことや、内省的なこと、毒の効いたことも、隠すことなく、だけど綺麗な表現で綴っている。 毒の効いた内容も、綺麗な言葉で書いているからこそ、はっとさせられたり襟を正すような気持ちにさせられる。 言葉の使い方に知性を感じる人に、だから私は惹かれるのだと思う。 寿木さんは料理家だけど、料理の話題はそこまで多くはない。 料理を普段から習慣としてしている人って、それが当たり前だから、わざわざそのことを話題にも挙げないものだと思う。SNSにもいちいち載せないし(それを思うのは私の毒。笑) むしろ載せるのはプロだからこそ、仕事の場面。それは料理家に限らない話。 編集者時代の話や、結婚や子育てのこと、女友達のことなど、負の感情も含んではいるけれど重くない文章で綴られているからするっと飲み込むように読めてしまう。 料理家にはたまに、とても魅力的な文章を書く人がいる。高山なおみさんなんかも、私的にはそう。 黙々と料理することと、日常を拾い上げることには何か共通点があるのだろうか、などと考える。 プロの職業人であり、妻であり、母であるからこそ、どんなときでも涙に舵は取らせない。そのたくましさは、立場の違う私にはないものだ、と思いながら読んだ。 母は強し、というけれど確かに、と母ではない私はいつも思う。同世代でも、親である人の強さは親ではない私とは別物だ、とつねに感じている。 どちらが正しい論ではなくそれぞれの選択する生き方なのだけど、そういう絶対的な強さみたいなものは、得ようとして得られるものではない。 たくましさの中に見え隠れする繊細さとしなやかさが素敵なエッセイ。「泣いてちゃごはんに遅れるよ」。人生はサバイバル、な面もある。

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2024/07/24

たぶんなにかのSNSでだれかが投稿していたのを、いいタイトルだなと思って買って、しばらく寝かせていたもの。著者さんのことは知らず。 ルイさん(近所のおじいさん)のお話と、ペンパルのお話がよかった。こういうのを読みたいがために日常が描かれるエッセイを読んでいるんだと思う。 穏や...

たぶんなにかのSNSでだれかが投稿していたのを、いいタイトルだなと思って買って、しばらく寝かせていたもの。著者さんのことは知らず。 ルイさん(近所のおじいさん)のお話と、ペンパルのお話がよかった。こういうのを読みたいがために日常が描かれるエッセイを読んでいるんだと思う。 穏やかなようでいて鋭い語り口には、根底に「怒り」を抱えている印象がある。同調できるものも、できないものも。自分の主義が強い方だなという印象を受けた。 装丁は大島依提亜さん

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2024/02/25

すべての時計を5分進めて生活していると書いてあって驚愕した。私みたいな人間は時計を5分進めたところで、(まだ5分あるし)と思って油断するだけなのである。

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2024/04/23

日記のような本を読むと、その言葉のどこかに自分を見つけたり、家族を見つけたり、恋人を見つけたりします。 この本もそんな親近感を与えてくれる一冊ではあるけれど、同時に、どこか気安さを許さない毅然としたところがありました。 人生のままならなさと向き合うとき、人は根本的に一人だと思...

日記のような本を読むと、その言葉のどこかに自分を見つけたり、家族を見つけたり、恋人を見つけたりします。 この本もそんな親近感を与えてくれる一冊ではあるけれど、同時に、どこか気安さを許さない毅然としたところがありました。 人生のままならなさと向き合うとき、人は根本的に一人だと思います。自分の人生を引き受けるのは自分。この本には、その自由さと孤独さの両方がにじみ出ているのを感じました。 寿木さんは、そんな心の持ちようを「やりくり」と表現していて、それはとてもしっくりくる言葉でした。 やわらかく鼓舞してくれるような本だったなぁ。

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2024/01/11

今の私には少し遠い世界の話しだった。身近なようで実は違う世界線にいるような感じ。でもだからこそ読めて良かったとも思う。

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2023/07/12

どんなことどもも、糧にできるか。喜びも悲しみも悔しさも。日々の失敗も楽しみも。糧にできれば、揺るがない土台ができるんだろうな。揺るがないというか、どんな揺らぎも吸収してしまうような土台。 すっくとした立ち姿を想像させるさまざまな情景を読んで、ますます、敵わないなあ、と思うけど、そ...

どんなことどもも、糧にできるか。喜びも悲しみも悔しさも。日々の失敗も楽しみも。糧にできれば、揺るがない土台ができるんだろうな。揺るがないというか、どんな揺らぎも吸収してしまうような土台。 すっくとした立ち姿を想像させるさまざまな情景を読んで、ますます、敵わないなあ、と思うけど、そう思いたくて、また読むと思う。

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2023/06/23

著者の方がどういうひとなのか、前知識がないまま読みはじめた。 東京の編集者だからアグレッシブなのか、この方が特別チャレンジ精神があるのかわからないが、華やかな都会の思い出話には少し萎縮してしまう。 ただ上京したの話は、自分の体験も思い出して胸がギュッとなった。希望1割不安7割楽し...

著者の方がどういうひとなのか、前知識がないまま読みはじめた。 東京の編集者だからアグレッシブなのか、この方が特別チャレンジ精神があるのかわからないが、華やかな都会の思い出話には少し萎縮してしまう。 ただ上京したの話は、自分の体験も思い出して胸がギュッとなった。希望1割不安7割楽しさ2割、みたいな、あの頃のなんとも言えない気持ちはまだ覚えている。 全体として働くことへのプライド(それが家事であっても)が感じられ、自分もがんばろうと思えた。

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2023/04/29

文書から作者の凛とした生き方を感じるエッセイ。 母、妻、女性として、軸をしっかり持っていて、辛いことも悲しいことも乗り越えてきた強さがある。 でも、強さの中に弱さがあることをきちんと認めていて、そんな自分でもいいんだと教えてくれる。 作者が経験してきたことは、まわりから見たら、ヘ...

文書から作者の凛とした生き方を感じるエッセイ。 母、妻、女性として、軸をしっかり持っていて、辛いことも悲しいことも乗り越えてきた強さがある。 でも、強さの中に弱さがあることをきちんと認めていて、そんな自分でもいいんだと教えてくれる。 作者が経験してきたことは、まわりから見たら、ヘビーなことだと思うけど、そう思わせない文章で書き綴っていて、巧いと思う。 そんな作者のお母さんもとても逞しい女性だと思った。

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2023/03/31

料理、家族、仕事、社交。笑顔と涙、頑固と寛容、面倒と小さな喜び…ままならない日も、涙に舵はとらせない! 女の人生のやりくりを描いたエッセイ集。「食いしん坊の心得」「結婚小景」「木陰の贈り物」など全25編を収録。 SNSでタイトルを目にして図書館から借りた。 芯の通った清々しい感...

料理、家族、仕事、社交。笑顔と涙、頑固と寛容、面倒と小さな喜び…ままならない日も、涙に舵はとらせない! 女の人生のやりくりを描いたエッセイ集。「食いしん坊の心得」「結婚小景」「木陰の贈り物」など全25編を収録。 SNSでタイトルを目にして図書館から借りた。 芯の通った清々しい感じ。私とは違ってきちんと生活をしているんだろうなぁ…。

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2023/03/24

タイトルは沢村貞子氏のエッセイ「私の浅草」に登場する母の台詞。 長女誕生にまつわる困難と共に紹介されている。 子供の前では涙を見せない。家事をしていれば涙も忘れられる。 個人的には、過去のネガティブな感情や些末な出来事に対して、長々と書いている部分が多く感じられて好きになれなか...

タイトルは沢村貞子氏のエッセイ「私の浅草」に登場する母の台詞。 長女誕生にまつわる困難と共に紹介されている。 子供の前では涙を見せない。家事をしていれば涙も忘れられる。 個人的には、過去のネガティブな感情や些末な出来事に対して、長々と書いている部分が多く感じられて好きになれなかった。

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