極北の動物誌 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
私も、星野道夫の愛読書ときいててにとったひとりである。トウヒ、アカリス、ハタネズミ。ノウサギ、オオヤマネコ、オオカミ、カリブー、ムース、ムースの民。極北独特の生態系を、緻密な眼で観察しつづけた結果のーー研究者である著者のまさにその集大成が、生き生きと描き出されてある。いきものたちのやりとりであるから、どきりとするようなシーンももちろんある。ネズミがイタチに頭をかみ砕かれるとか。けれどそれはいきものの、極北という環境に合わせて培われた生き方で。さらに、その草木たち雪たちと途方もないときを共存してきたかれらに対し、南部の侵入者たちが行った破壊にくらべられるような蛮行ではありえない。 著者は核開発実験プロジェクトに反対して大学を追われた経験だにある、気骨の、観察と伝達に秀でた方だったとある。 私たちはこの本を読む、良い本だと思う。しかしそれをどれだけつづけて忘れず、放置すれば自然破壊に加担しやがてはみずからに返ってくるものとして受け止められるだろうか。
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星野道夫の愛読書だったと知り読んでみた。 第1章「旅をする木」は星野道夫のエッセイのタイトルにもなっている。 一粒のトウヒの種子が大木となり氷や川にもまれながら長い年月をかけて朽ちるまでを描いた物語は、極北の壮大な自然やゆっくり流れている時間の流れを感じさせる。 ハタネズミ、...
星野道夫の愛読書だったと知り読んでみた。 第1章「旅をする木」は星野道夫のエッセイのタイトルにもなっている。 一粒のトウヒの種子が大木となり氷や川にもまれながら長い年月をかけて朽ちるまでを描いた物語は、極北の壮大な自然やゆっくり流れている時間の流れを感じさせる。 ハタネズミ、オオカミ、ムース、ノウサギ、オオヤマネコ、カリブーなどの極北の動物たちが登場する。 それぞれの物語は動物の目線から描かれており、動物学者ならではの綿密な観察に裏付けられた、動物たちの描写が新鮮で面白い。 寒い冬に雪の中でぬくぬく過ごす時間、嗅覚や聴力を働かせて察知する危険、生きるために獲物を狙う緊張感、繁殖の時期には雄同士でぶつかり合うエネルギーなど…この読書時間は人間の視点を離れられる貴重な経験だった。 著者は極北の生態系のもろさを訴えており、自然を征服するべきものと考え破壊してしまった開拓者や政治を批判している。文化は生態学に基づいて生存してゆくべきだという主張は、自然と人間が共存していく社会を目指し始めた現代の原点となる考え方だと思った。
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"Animals of the North" by William O. Pruitt. Jr. 1960 岩本正恵・訳 しみじみと読める、良い本です。 日本語訳の文庫で発売されたので、入手。 以前テキストで使ったことがあるけど、そんなにメジャーな本でもなかっ...
"Animals of the North" by William O. Pruitt. Jr. 1960 岩本正恵・訳 しみじみと読める、良い本です。 日本語訳の文庫で発売されたので、入手。 以前テキストで使ったことがあるけど、そんなにメジャーな本でもなかった記憶が。 とても簡単で初級クラスのテキストで使えます。その上に、わからん単語もちゃんと出てきてくれるので、わからない言葉を前後で意味を類推する練習にもとても良い。 ともかく、本書、1960年代の書ではあるので、一昔前の文学ではあるので、若い子には古臭い文体かもしれんが、帯の煽りで古典というには新しすぎるかねぇ。 アラスカからマニトバのあたりのタイガの話ではあるが、私自身かなり長いこと大陸性気候の寒い地方、所謂アークティックエリアにちかいところで暮らしていたので、似た景色や状況が多く、色々と懐かしい記憶が思い出される。 ”ある日、冷えこみがゆるんだ。冷酷に晴れわたった空を雲が和らげ、雪が降りだした。” これです。寒いところは、寒すぎて雲ができない、雲ができないと空から水分はおりてこない。 新潟は雪がたくさん降るが、寒くないから雪が降る。という感覚を、なかなか理解してもらえないことが多い。それと、この私の和歌山弁が「南国の人」という先入観を植え付けるようで、いつも、「新潟は寒いから大変」とか、寒さに対する心構え的なのを、よく延々と教えてくれる親切な方もいらっしゃるが、とても申し訳なく思う。私、和歌山で過ごした時間と、冷国での生活がほぼ同じぐらい。いや、和歌山の野生幼少時は、なんも考えてないし、自分で生活をしていないので、さっぴいてもいい。自立してからは、ほぼ全部寒い国で過ごしているので、寒いほうが長いです。 そんなことはさておき、イヌイットのエコロジカルコミュニティーな哲学的な考え方は日本人には、とても肌になじむというか、理解しやすい。 ー北米大陸は白人たちに侵略され、「野の野獣すべてを支配する」ユダヤ=キリスト教の考えで、多くの有機体と環境に破滅をもたらしていったというのが、認められたのはごく最近になってからだ。ー 本書が書かれたのは、ようやく環境について白人が「人間も自然の一員」という考え方を一部の人が認めるようになってきた頃ではあるが、家畜に害をなす「野生生物管理」に一般的に毒物が使われるようになりはじめたころで、この頃のエコノミー優先のツケが今もなお、支払い続けることになっていたり、いまだに自然の環が破壊しつづけられていたり。 北アメリカ大陸のタイガは保護されているエリアも多いが、最近でもレアメタルや銅の発掘するしないをめぐって、地元の自然保護団体や環境団体といつも揉めている。本書からはズレていくが、今トピックの口シアやその南部の地域では、中X企業がタイガの土地やその土地の自然財産(主に材木)を二束三文で買いたたき、片っ端から伐採していくのがようやく問題にされはじめている。国で保護されていない地域では、生えている木はもちろんその土地の所有者のものなので、木を売り払うのを止める法律がないのが問題なのだそうだ。伐採したことにより、生態系が破壊されたり、水害など災害が発生しはじめているらしい。ただ、あまりに人間の数が少ない地域であることや、報道規制のためにいまのところ問題としてなかなか取り上げられないというのが、某バイカル湖付近に住む友人の言。 100年後の私たちの後輩が、どれだけの絶滅生物を嘆くのか、、
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