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絞め殺しの樹 の商品レビュー

3.9

69件のお客様レビュー

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2024/06/03

昭和初期に過酷な人生を歩んだ女性ミサエと養子に出される息子雄介の二世代を描いた大河小説。 第一部で描かれた搾取され続け、過酷な人生を送るミサエの姿はあまりにもツラかった。家制度とか、女性は男性と対等にはなり得ないとか、女性は経済的に自立できないとか…そんな時代がそう遠くない過去...

昭和初期に過酷な人生を歩んだ女性ミサエと養子に出される息子雄介の二世代を描いた大河小説。 第一部で描かれた搾取され続け、過酷な人生を送るミサエの姿はあまりにもツラかった。家制度とか、女性は男性と対等にはなり得ないとか、女性は経済的に自立できないとか…そんな時代がそう遠くない過去にあったのだ。(今だって完全にないかというと疑問が残る)ツラい道ばかり選ばずに逃げればいいのに…と思ってしまったけれど、時代背景を考えると逃げようがなかったというのも十分に理解できた。 ミサエが自分のいる場所から逃げずに、「死ぬ時までは生きねばならない」と最後まで生ききった姿には胸を打たれた。 第二部では雄介が物事を俯瞰的に見る力をつけ、考え悩みながらもたくましく育っていく姿がたまらなかった。いろいろな事を自分の中で消化しながら強くたくましく、そして優しく生きていく姿には感動を覚えた。 絞め殺しの樹か…

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2024/05/08

ずっと理不尽な感じでどういうふうにまとまるのかなと思ってあんまり面白くなかったけど読み進めた。最後は少し良かった。

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2023/12/20

決して明るい気持ちになれる話ではないが、読み終えた時、一筋の光を感じた。 戦前、戦後を駆け抜けるように生きた一人の女性と、彼女が遺した一人の赤子。この二人が歩む人生が物語の主となっているが、貧困とはこんなにも人を追い詰めるのかと読んでいて悲しくなった。逆に、人はここまで強くなれる...

決して明るい気持ちになれる話ではないが、読み終えた時、一筋の光を感じた。 戦前、戦後を駆け抜けるように生きた一人の女性と、彼女が遺した一人の赤子。この二人が歩む人生が物語の主となっているが、貧困とはこんなにも人を追い詰めるのかと読んでいて悲しくなった。逆に、人はここまで強くなれるのかとも。 人の一生は悲しい。どう足掻いても最後に待ち受けるのは「死」だからだ。それでも終いまで、その時まで命を、己の人生を全うしなければいけないのは何故なのか。 厳しさの中に少しの暖かみ、そして生きよという声が聞こえた気がした。

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2023/11/28

凄まじい小説でした。この様な物語を書ける人は選ばれた作家さんなのかもしれない、そんなことを思いながら読みました。

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2023/11/07

すごく読み応えのある作品だった。この人の書く時代が自分の興味にドンピシャだからなのかもしれない。タイトル『絞め殺しの樹』については、本文中にもふれている部分があったけど、別の例えもできるのではないかと思った。雄介の強い思いが、地域社会の負の部分を絞めつけてもらいたいと思った。

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2023/09/06

人手不足を理由に馴染みの薄い北海道に使用人として行くことになった主人公の生き様が描かれていきます。 主人公は雇い主に虐げられ、生まれた環境、置かれた境遇、周りの人間によって搾取され、思い通りには生きられない中であってもそれでも強く生きていきます。 一方で、強いがために自らの子...

人手不足を理由に馴染みの薄い北海道に使用人として行くことになった主人公の生き様が描かれていきます。 主人公は雇い主に虐げられ、生まれた環境、置かれた境遇、周りの人間によって搾取され、思い通りには生きられない中であってもそれでも強く生きていきます。 一方で、強いがために自らの子にも自分の価値観を強いるのですが、その結果(それだけではないのですが)その後の出来事から生き方が変わっていきます。 強く正しく生きようとしても、周りの環境がその意思を挫くように絡みつくなかでどう自分の生き方を定めていくのかということを考えさせられる物語でした。 各エピソードが救いようがなく強烈で、どう終わるのか予測がつかなかったのですが、最後まで読むとすっきりする場面もあり読んでよかったと感じました。

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2023/07/23

ミステリーと間違えた。本作は昭和10年から始まる女性の一代記が一部。二部は女性の息子が母親の事を知ろうとする物語。 今から90年前に人権さえなかった日本の重い内容に終始していて読んでいて辛かった。 締め殺しの樹とは菩提樹の事らしい。

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2023/07/09

前々から「読みたい本」にはリストアップしていたのですが、なかなか手が出なかった本です。 なにせ河崎さんの作品は構えてしまいます。重くて暗い。ましてタイトルが『絞め殺しの樹』ですからね。 そして、予想通りというか、それ以上に。。。。 TVを見ては無いのですが「おしん」の世界かな。主...

前々から「読みたい本」にはリストアップしていたのですが、なかなか手が出なかった本です。 なにせ河崎さんの作品は構えてしまいます。重くて暗い。ましてタイトルが『絞め殺しの樹』ですからね。 そして、予想通りというか、それ以上に。。。。 TVを見ては無いのですが「おしん」の世界かな。主人公の少女・ミサエを取り巻く逆境、周りに溢れる悪意。まともな人間はほぼ出て来ません。そんな中、わずかな助けを頼りに自立し開拓保健婦になったミサエ。結婚もし、子供も得るのですが・・・。どうもミサエに魅力がないのです。一生懸命だけどどこか自己憐憫が混ざってる。自分の不幸が前に出る。 そんな訳で第一部は「なにが書きたかったんだろう」と思いながら読みました。ただ、さすがの筆力で、引き込まれます。 第二部はミサエの息子が主人公です。 同じような悪意と逆境の中、何故敢えてその中に飛び込み走り出そうとするのかは納得し切れないけれど。少なくとも変な自己憐憫がなく、逆境の中で前向きです。第二部でちゃんと盛り返して、良いエンディングになりました。

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2023/06/26

親と子の二代に渡る長い長い生涯とその覚悟を体験することができた。 ラストのけじめの付け方というか、覚悟の仕方が好きだ。

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2023/03/29

菩提樹という植物が、 雪もあまり積もらない渇いた根室の土地で 本当に群生しているようなイメージが膨らみ、 作品になんとも言えないひとつの重みを 与えている気がします。 締め殺される側と殺す側との絡み合い の中でストーリーがどう転んでいくのかを、 密かに楽しみながら読めた一冊だっ...

菩提樹という植物が、 雪もあまり積もらない渇いた根室の土地で 本当に群生しているようなイメージが膨らみ、 作品になんとも言えないひとつの重みを 与えている気がします。 締め殺される側と殺す側との絡み合い の中でストーリーがどう転んでいくのかを、 密かに楽しみながら読めた一冊だった。

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