四国辺土 の商品レビュー
救われる為の遍路としか今まで認識していませんでした。 遍路を生活としている人や、路地の人達との関わりなどもっと読んでみたいと思いました。
Posted by
被差別部落出身ということでかなり突っ込んだところまで取材して、毀誉褒貶が激しいノンフィクション作家ですが、その無頼な佇まいになんとなく気を惹かれてしまいます。 お遍路についてまた違った角度から書いており、正直目からうろこでした。もちろん物事の一面でしかないのはよく分かっていますが...
被差別部落出身ということでかなり突っ込んだところまで取材して、毀誉褒貶が激しいノンフィクション作家ですが、その無頼な佇まいになんとなく気を惹かれてしまいます。 お遍路についてまた違った角度から書いており、正直目からうろこでした。もちろん物事の一面でしかないのはよく分かっていますが、昔はホームレスのセーフティーネットになっていたという事だったんですね。 20年前くらいにお遍路ブームが有ったと思われ、僕自身耳にする機会もよくあったし、自転車旅で高知、愛媛を通過した時に何人も見かけたので近しい気持ちもあります。どちらかというと自分への兆戦という側面が多かったはずで、信心というよりはアスリートな気持ちの人の方が多かったんじゃないかなと思います。 この本に出てくる草遍路の2人「幸月」「ひろゆき」の遍歴はとても面白くひとつのドキュメンタリーとして本が書けそうな2人です。 筆者も全部回ったようでそれも結構すごいと思うんですが、その辺はサラッとしてます。非常にクール。 一番ショッキングだったのは福田村事件の話しです。讃岐から千葉の福田村へ薬売りに来ていた行商人が、自警団により15人中9人が殺害された事件で、朝鮮人に間違われて殺されたという事ですがそれだっておかしすぎる話しだし、殺した村人達は軽微な罪にしかならず、何なら悪気が無いので本当は無罪にしたいという警察の話まであり、どれだけの差別感情が渦巻いていたのかゾッとします。この15人は被差別部落の出身者達で、殺害した村人たちも薄々そこを感づいており、殺してもいいと思ったようです。人間は状況によってどこまでも残虐になれる証明のような事件です。
Posted by
ゆるふわな遍路記も嫌いではないけどもきな臭いところも遍路の本来なんだろう 清濁併せ呑むところをよく伝えてくれる遍路ノンフィクション
Posted by
好きなルポルタージュ作家のお一人です。 いつも、入念な取材と確かな史実をもとに 送り出される作品は楽しみにさせてもらっている 今回は 四国の辺土を題材に その道すがら 出逢った「草遍路」の方たちのことが 綴られていく 同行二人ならぬ、筆者を交えた同行三人になって その聞き取りを...
好きなルポルタージュ作家のお一人です。 いつも、入念な取材と確かな史実をもとに 送り出される作品は楽しみにさせてもらっている 今回は 四国の辺土を題材に その道すがら 出逢った「草遍路」の方たちのことが 綴られていく 同行二人ならぬ、筆者を交えた同行三人になって その聞き取りをしながらの ルポルタージュ 「草遍路」の世界では特徴的な人たちへの 取材でもあり、また遍路道を辿る中で 上原さん独自の「路地」への視点も きちんと盛り込まれた 類まれなる紀行ルポルタージュの一冊になっています。
Posted by
四国遍路のダークサイドに焦点を当てて言及した本。 その中でも草遍路の方々についての話が特に面白かった。 10年ほど前に私自身、通しで歩き遍路をしたのだが、度々草遍路の方々と出会う事があった。 どういう経緯で草遍路をしているのか尋ねたかったが、もちろんそんな度胸はなく、結局接点を持...
四国遍路のダークサイドに焦点を当てて言及した本。 その中でも草遍路の方々についての話が特に面白かった。 10年ほど前に私自身、通しで歩き遍路をしたのだが、度々草遍路の方々と出会う事があった。 どういう経緯で草遍路をしているのか尋ねたかったが、もちろんそんな度胸はなく、結局接点を持つ事のないまま遍路を終えてしまった。 話しかけることすら憚れる草遍路の方々に直撃インタビューをしたり、行動を共にしていた筆者の度胸には感服する。 本書はどうしても暗い展開に行きがちだが、お遍路は悲しい物語ばかりではない。 歩き遍路を通して運命の伴侶と巡り合って家庭を持って遍路宿を営んでいる夫婦であったり、病気がきっかけでお遍路を始めて完治して仕事をバリバリがんばっている人も少なからずいるということは本書を手に取った方々には知っておいていただきたい。 光と闇の物語が交差するこの混沌こそ、四国遍路の醍醐味だと改めて気付かされた。
Posted by
2021年に出版されて読んだ本のなかで、一番面白かったかもしれない。“御朱印ブーム”もあって、四国遍路も(コロナ禍前までは)また賑わっていたようだ。この本も実際に徒歩で四国遍路を歩いて取材した話をベースにしているが、そこで描かれている「四国遍路」とは一般的にイメージされるものとは...
2021年に出版されて読んだ本のなかで、一番面白かったかもしれない。“御朱印ブーム”もあって、四国遍路も(コロナ禍前までは)また賑わっていたようだ。この本も実際に徒歩で四国遍路を歩いて取材した話をベースにしているが、そこで描かれている「四国遍路」とは一般的にイメージされるものとは異なる。むしろ、この本でいう「四国辺土」こそが遍路の本質なのだろう。浮かび上がる事実には驚きや悲しみや怒りを覚えたが、それをひたすら淡々と綴る文章がまた素晴らしかった。
Posted by
- 1