なぜ私たちは友だちをつくるのか の商品レビュー
お馴染みロビン・ダンバーの人間関係150人限界説について。これは、霊長類の大脳新皮質の大きさとその社会的グループの大きさの相関を基に、維持できる社会的関係の数を算定したもので、歴史的な集団規模やSNSなどからも裏付けられるとされるものだが、まだまだ諸説ある、という所だ。しかしその...
お馴染みロビン・ダンバーの人間関係150人限界説について。これは、霊長類の大脳新皮質の大きさとその社会的グループの大きさの相関を基に、維持できる社会的関係の数を算定したもので、歴史的な集団規模やSNSなどからも裏付けられるとされるものだが、まだまだ諸説ある、という所だ。しかしその主張の当事者でもあるダンバーの本であり、どっぷりと、この「ダンバー数」的な見地で論理展開され、それはそれで面白い。 ― 社会ネットワークの研究では、「30分ルール」と呼ばれる不文律がある。もしその人があなたの家から30分以内の場所に住んでいれば、あなたはその人と会う努力をするし、その人を自分にとって重要な人と考える、というルールだ。ちなみにその30分が徒歩なのか、自転車または車かはあまり関係なく、心理的に重要な時間が30分なのだ。もしそうであれば、30分以上離れた場所に住んでいる相手でも、実際に会いに行けない埋め合わせを電話や携帯メールですればいいじゃないか、と思うかもしれない。だがどうやら、ことはそうはいかないらしい。ハン・ヒュン・ジョーの研究は、私たちが最も頻繁に電話をかけるのは近くに住んでいる友人であることを明らかにした。意外にも私たちが一番頻繁に電話をする相手は、一番頻繁に会っている相手なのだ。 ― 男女とも、会話時間の三分の二を社交的な話題に費やしていた。男女の違いは二点だけ。まず男性は、男女混合の集団にいるときのほうが男性だけでいるときより個人的経験について話すことがずっと多かった。またその場に女性がいれば、ほかの人の話や専門的な話をすることもずっと多かった。いっぽう女性は、女性だけの集団にいようが、男女混合の集団にいようが、話題の種類はほぼ同じだった。 ― 世界のどの狩猟採集社会でも、究極の制裁は追放だ。このような社会では、集団の助け合いなしに生きていくのはまず不可能なため、追放は事実上のなぶり殺しだ。ヴィーズナーがサン人のコミュニティで目撃した数少ない村八分の一つは、バントゥー族の男性たちと頻繁に性的関係を持っていた女性に対するものだった。そのような関係は決して珍しいものではないが、サン人に対するバントゥー人の態度が非常に差別的で、ときに意地悪でさえあったため、コミュニティの人々が彼女に向ける視線は冷ややかだった。そのプレッシャーに耐えかねた彼女は結局、キャンプ集団を離れ、その後、亡くなったという。近親相姦を疑われた男性が批判の集中砲火を浴びてコミュニティを離れたというケースもあった。しかし彼は腕のいい狩人だったうえ、家族も連れて出たため、別のコミュニティに加わりそこに落ち着いたという。三つ目のケースは、一家全員の追放だった。その家族の妻は、しょっちゅう酔っぱらい、バントゥー族の男たちとも見境なく性的関係を持っていた。さらに悪いことに、子どもたちも全員が手に負えないほど粗暴だったため、一家はコミュニティじゅうから非難を浴び、その集団を離れることになった。結局、この家族が戻ることを許されたのは、その女性が亡くなってからだった。 最後の「追放」の話だが、これこそまさに、我々が人前で話す事に緊張したり、群れの中でゴシップを共有したりする根源ともなる原体験であり、現代の「炎上」に近い現象だ。友達を作る意味とは、これを相互に回避し合いましょうね、という密約みたいなものかもしれない。だが、大人になるにつれてこの密約が真に心を許せる友達では無く、会社の仲間との有期限的、かつ疑似的な関係性でも代替できてしまう。故に、大人になると、ビジネスライクな関係性はできても、真の友達が作りにくくなるのでは、と感じた次第である。
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かの「ダンバー数」を提言したご本人の著作。 家族含めての友人の効能について、他分野のフィールドの知見から多角的に検証しております。 章立てでそれぞれの発見があり、心躍る感じではないけど一歩ずつ知識を積み上げていってくれる。(膨大) タイトルの邦訳が少しミスリーディングかなぁ。 ...
かの「ダンバー数」を提言したご本人の著作。 家族含めての友人の効能について、他分野のフィールドの知見から多角的に検証しております。 章立てでそれぞれの発見があり、心躍る感じではないけど一歩ずつ知識を積み上げていってくれる。(膨大) タイトルの邦訳が少しミスリーディングかなぁ。 「なぜ」友だちをつくるのか?の探究というよりも、最も重要な関係である「友だち」の効力への理解を促してくれてる本としても読むのが良い。 友だちの階層分析や、男女における友だちとの付き合い方の違いなんか述べられててとってもためになるのは間違いない。女性を含めたグループでの会話に対する違和感の正体が少し垣間見れた気がする。
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Friends: Understandings the Power of our Most Important Relationships http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3622
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
進化心理学者、ロビンダンバーの著書。この本では友達の重要性やつくり方、終わり方はもちろん。その際に脳やホルモンがどう関わっているか。まで述べられている。個人的な話ではあるが、昨年1の作品。「半穀物の人類史」に並ぶ名書であった。 以下要約。めっちゃ長いです。笑 一章 なぜ友達は重要なのか まず、友達と関わっている人は長生きする。これは、健康的な生活をするよりも影響が高い。禁煙と同じくらい効果的(これはとんでもないこと)。免疫力も高まる。また、その健康的な生活を続けるにも、交友関係が鍵となる。面白いのが、影響力。不幸な人は周りを不幸にするし、幸せな人は周りを幸せにする。 簡単に言ってしまえば、親密な交友関係は、人を健康に、そして幸せにするということ。 二章 ダンバー数 人との繋がりは150人前後に収まる。これは、私たちが狩猟採取民だった頃(わかりやすい例は縄文時代)のコミュニティのサイズと同じ。これは、SNSにも通じていて、たとえフォロワーがとてつもなく多くても、それは見かけ上の繋がりで、親密度を選別すれば結局は150前後に収まる。もちろん、私のような内向的なタイプは100くらいで、私の兄のような外向的なタイプであれば200など、個人差はある。 三章 脳が友達をつくる 猿や霊長類も実は人間と同じ、ダンバー指数を持つ。交友関係を可能にしているのは脳で、夫婦で関係を持って、子育てをする種ほど「脳が大きくなる」。ヤギとかは群れるが、別に習性で群れているので、脳は小さい。 ここまでの話を聞くと、「じゃあ脳がでかい方が友達が多いの?」と疑問を抱く人もいると思う。その通りです。脳のスキャンをすれば、友達がどれくらいいるのか予想できる。 また、私たちが思うより「社会的スキル」というのは難しいもので、習得には20年以上かかる。(幼児教育の大切さを知っている人は分かると思うが、二十歳過ぎたあたりでもなお、「残念な人」というのは、変わることが難しいのです) 四章 友達の同心円 ダンバー指数の解説 1.5人 パートナー 恋人や大親友は一人か二人に落ち着く。 5人 最も親しい友達 どんな時でもお互いに支え合い、さまざまな支援をしあえる関係のこと。 15人 親友 よく遊びに行く人 50人 良好な友達 何かで集まろ!ってなる時に会う人 150人 友だち 結婚式や葬式に招待する人 500人 知り合い 式に呼ばない程度の緩い繋がり 1500人 何でもない人 名前と顔が一致する人 ※ここには家族や親戚、故人はもちろん。推しも含められるらしい。笑 ⭐️親族プレミアム 血のつながりは最強です
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1月5日新着図書:【なぜ友だちは重要なのかを家族との違いを引き合いにして、私たちにとって「友だち」が欠かすことの出来ないものであることを明らかに説いています。何故なのか理由が気になったら手に取って見ましょう。】 タイトル:なぜ私たちは友だちをつくるのか : 進化心理学から考える人...
1月5日新着図書:【なぜ友だちは重要なのかを家族との違いを引き合いにして、私たちにとって「友だち」が欠かすことの出来ないものであることを明らかに説いています。何故なのか理由が気になったら手に取って見ましょう。】 タイトル:なぜ私たちは友だちをつくるのか : 進化心理学から考える人類にとって一番重要な関係 請求記号:361.4:Du URL:https://mylibrary.toho-u.ac.jp/webopac/BB28194241
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