変半身 の商品レビュー
村田沙耶香ワールド全開。何だこりゃ?というのが正直な感想。常人の発想ではない気がしてならないが、それが彼女らしさなのであろう。好き嫌いが分かれると思う。
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どうしたのだ、わたしは。 村田沙耶香さんの性の話ほどワクワクと共感に溢れた作品なんてない、と思っていたのに… 作品の内容に触れる前に、この作品の背景の説明が必要だ。 冒頭で、こう説明がある。 「本作は、村田紗耶香と松井周が三年におよぶ取材・創作合宿を経て、共同で原案を創り、それ...
どうしたのだ、わたしは。 村田沙耶香さんの性の話ほどワクワクと共感に溢れた作品なんてない、と思っていたのに… 作品の内容に触れる前に、この作品の背景の説明が必要だ。 冒頭で、こう説明がある。 「本作は、村田紗耶香と松井周が三年におよぶ取材・創作合宿を経て、共同で原案を創り、それぞれ小説と舞台として発表するプロジェクト=inseparableのために書き下ろされ」た作品だそうだ。 解説では、「演劇版と共有するのは千久世島という場といくつかの設定だけで、ストーリーはまるで異なっている」とのこと。そして「どの村田作品にもまして演劇的な趣が強いのは、この創作プロセスとも無縁ではないだろう」。 演劇的な趣。 なるほど。いつも奇抜だけれどその世界観にするっと入り込める村田作品と比べて、今回はなかなか入り込めなかったのはそのせいなのか。 本作品を読んでいる間じゅうずっと、この作品を読んでいる自分を、もう一人の自分が見つめているような、そんな感覚が抜けなかった。 「変半身」と書いて、「かわりみ」と読む。 なぜこの字を当てたのか、作品を読み終えると納得する。 しかし、展開的に、タイトル的に、掘り下げるのが「変半身」であってほしかったのだ。 「変半身」は結局手段だったように感じてしまって、すごくもったいないような、そんな気がしてしまっている。もっともっと、クローズドサークルと性とアイデンティティ、みたいなところにぐいぐい持って行ってほしかった。これは、欲張りなんだろうか。でも、これまで彼女の作品を読み進めてきたファンとしては、やはりちょっと、期待しすぎてしまう。 「変半身」のラスト、展開のついていけなさに加え、ほぼ「ポーポー」のみで占拠されたページにぎょっとしたし、「満潮」では「潮を吹けない」ことに対するコンプレックスや、「潮を吹く」ことに対する蔑視がわたし自身に特になく、寧ろ「潮を吹ける」っていいな、でも掃除大変だし別に吹けなくても…という、特に大きな感情の変化は訪れることはなく… 両作品に共通するもの。それは、「中身」の重要性だと思う。島が「島」であることに囚われ、島民がその外面に振り回される姿、膣の中身という見えない場所に秘められたもの。いずれも、「見えない」からこそ外面で体裁を保とうとする。両作品は、その「見えない何か」に一生懸命向き合い、探っている。自分だけのそれ、というものを見つけたい、名付けたい、という気持ちの強さが伝わってくる作品だった。そう考えると、これまでの村田作品よりもまた一段階深みを増している、と言えるのだろう。 しかしなんというか、今回はいつにもましてぶっ飛んでいて、途中で置いてけぼりにされてしまったような、そんな感覚が消えないのである。 そして、本作品以外にも最近、村田さんの作品がどんどん文庫化されていて嬉しい。 先日仕事帰りに、どうしてもほしい本があって大きな本屋さんをぷらぷらして、その時に村田さんの最新エッセイ「私が食べた本」を見つけた。目次に金原さんの「星に落ちる」を見つけて、大好きな作家さんが大好きな作家さんの本を推している!この悦び!! 次は「星に落ちる」を読もう。
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風刺が得意ではないのだけれど、これは気持ちよく読めた。架空の島に住んでいる3人から見える“ニンゲン”の滑稽さやそれに迎合している人々と俯瞰で見ている人。みんな今のこの国
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変半身と満潮の2本立て. 変半身:奇祭って元は悪ふざけじゃねって,妄想していたことを思い出した.どんな変な話でも,ウソと切り捨てることはできない,「オッカムの剃刀」教の信徒じゃなきゃね.結局,何かを信じるしかないのだけれども,おかしいと感じたらいつでもその信仰を棄てられるかかな....
変半身と満潮の2本立て. 変半身:奇祭って元は悪ふざけじゃねって,妄想していたことを思い出した.どんな変な話でも,ウソと切り捨てることはできない,「オッカムの剃刀」教の信徒じゃなきゃね.結局,何かを信じるしかないのだけれども,おかしいと感じたらいつでもその信仰を棄てられるかかな.まあ,これも信仰なんだけど. 満潮:うーん,潮か.佳代さん友人の雪子さんが,あんなに潮に嫌悪を感じているのが謎だった.女の人にとっては嫌なことなのかな-.
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
大好きな村田沙耶香ワールド 彼女の小説は純文学なんだろうか どちらかというと近未来SFみがあって面白い 彼女が追求する性はどこに向かうんだろう 一般的ではなく、かといって全拒否型でもなく、恐れと興味が入り混じっている いつも、こんな方向に話が向かうのかと驚く 短編二編のうち、「満潮」は変わらず奇妙な話だけれど、ある意味理想の夫婦の形なのかもしれない お互いを理解し、許容し合い、同じ方向を向いて歩いていく 奇妙だけど理想形
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