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らんちう の商品レビュー

3.5

4件のお客様レビュー

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2024/02/06

かなり面白かったけどグロテスクだな… 読んでて色々思ったけど 「昨日と同じことを今日もしていたい」 的に生きてると、活動範囲狭まっちゃうし嫌なことに対する対抗策も減るよなぁ…とは思いつつ 私は人間関係狭めの終わりかけみたいな中小企業のコミュニティも帰属できればいいものだと感じるの...

かなり面白かったけどグロテスクだな… 読んでて色々思ったけど 「昨日と同じことを今日もしていたい」 的に生きてると、活動範囲狭まっちゃうし嫌なことに対する対抗策も減るよなぁ…とは思いつつ 私は人間関係狭めの終わりかけみたいな中小企業のコミュニティも帰属できればいいものだと感じるのでなんとも…

Posted byブクログ

2023/10/10

千葉にあるリゾート旅館で、総支配人夷隅登が殺された。従業員から通報があり、警察が駆けつけると、そこにいた6名の従業員全員が犯人だという。 本書は、6人の従業員らがその犯行を語ることから始まり、警察での取り調べでそれぞれの事情を詳細に語り、さらに周囲にいる関係者たちが参考人として...

千葉にあるリゾート旅館で、総支配人夷隅登が殺された。従業員から通報があり、警察が駆けつけると、そこにいた6名の従業員全員が犯人だという。 本書は、6人の従業員らがその犯行を語ることから始まり、警察での取り調べでそれぞれの事情を詳細に語り、さらに周囲にいる関係者たちが参考人として供述、そして、受刑者となった6人の心中が語られて、幕を閉じます。 「あとがき」にあるとおり、この小説には主人公と言える人物がいません。始めから終わりまで、代わる代わる誰かが話しています。なぜこうなるに至ったのか、少しずつ事情が見えてくるのですが、赤松利市さんのことだからきっとこのままでは終わるまいと思っていたら、やっぱりね、でした。 ひとことで言うと、不快な小説。すべてが、隅々までとことん不快。なんだけど、なんだろう、この不思議な感覚。一生懸命生きているこの人たちを、私は蔑むことなんかできないし、決して笑えない。ましてや憐れむなんて失礼すぎる。受け入れる、とまでは言えないけど、ちゃんと見なくては、こういう声を聞かなくては、と思います。 「あとがき」を読むと、この本には著者の人生が凝縮されているのだとわかります。これからもこの人の書く物語を読んでいきます。 最後に、気になった点をひとつ。「物事の心理」(たぶん「真理」)とか、「青色吐息」(正しくは「青息吐息」)といった誤りが目につきました。

Posted byブクログ

2022/09/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

支配人が殺される。 若女将との結婚から始まり、旅館の改革、リストラ、奉仕活動、啓発セミナーのまねごとの懺悔をする会等いろんなことをやって、評価が悪かった人物。 だが、蓋を開けてみれば、若者社員と古参とでは意見が違う。働いている者と、リストラされた者、内部・中枢にいた者と、旅館そのもの、支配人の評価が真逆。現実の会社、社会にもある、その場をうまく過ごすために、同じ意見であると安心する、安心させる、仲間だという流れ…。旅館の内部事情に詳しい者は、自分のやって来たことを隠したいがために、悪口を垂れ流して自分の身を守るために一芝居打つ。それを真に受ける者もいたりして、支配人の評価は下がる一方。 若女将が支配人と結婚したことも旅館の再建のためしかたなくだと思われていたが、それもまた違う。 見えているもの、見えていないもの、それをうまく誘導する者、誘導される者。いろんな認識、誤認、思惑が混ざり合う。 評価が高すぎる、若女将とたびたび出てくる啓発セミナーに重点をおいて読んだ。やっぱりねと思ったけど、面白かった。 らんちうというタイトルの意味もちゃんと回収されていて納得。

Posted byブクログ

2021/11/25

2021年、19冊目は、3年連続、この時期に読む(文庫の刊行ペースがそぅなのか?)、赤松利市。 千葉の海に面した旅館、望海桜。その総支配人が殺された。犯人は、従業員と元従業員の六人。 『藻屑蟹』『鯖』そして、今作が『らんちう』。水性生物括り。と言う冗談は、さておき、今作も社会...

2021年、19冊目は、3年連続、この時期に読む(文庫の刊行ペースがそぅなのか?)、赤松利市。 千葉の海に面した旅館、望海桜。その総支配人が殺された。犯人は、従業員と元従業員の六人。 『藻屑蟹』『鯖』そして、今作が『らんちう』。水性生物括り。と言う冗談は、さておき、今作も社会の歪みの狭間や、下側にいる人々が展開の核を成す。 まづ、驚いたことに、全編そのパートの主人公の主観、一人称で描かれている。 「人はそれぞれ正義があって」何て、どこかで聞いた歌詞を思い浮かべたりもするが、六人の犯人達のベクトルが合致した先に「総支配人殺害」があったのだろう(もちろん、異分子的存在もあったし、果たす役割もある)。それでも、「殺意」「動機」と言う点では十分とは言えない。 第三章で「参考人」達の供述に入ると(もちろんココでも、主人公の一人称で語られる)、今まで見えていなかった側面が見えてくる。 とてもサクサク読める。一部を除き、登場人物達の考え方も納得できる。華美な情景描写も、技巧的表現もほぼなく、ソリッド感さえある。そして、きちんと直前で減速して、第三章の切り替えポイントに進入する。造りは好みのタイプ。少し大雑把な言い方だが、かなり序盤から「怪しい」と自分が思った人物、事象がネックになってて、「やっぱり」的なトコでクライマックス。しかし、ソコで「ランチュウ」をそぅ絡めてくるとは。そして、終章でさらに1/4ひねり加えてきた。★★★★☆評価は決まり。 『奇形は誉れ』そのためには、真っ当な者は躊躇なく葬る。さもなくば……。

Posted byブクログ