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テヘランでロリータを読む の商品レビュー

4.6

15件のお客様レビュー

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2024/07/17

2003年に発行され、日本語訳版が出版されたのは2007年なので、些か時代遅れなのですが… 今まで自分が読んできた本の中でTOP10に入る素敵な本でした。 イランと中東諸国の対立構図、また元米大統領トランプ氏の経済制裁撤回による中東諸国の核兵器使用の危険性は現在進行形で存在してい...

2003年に発行され、日本語訳版が出版されたのは2007年なので、些か時代遅れなのですが… 今まで自分が読んできた本の中でTOP10に入る素敵な本でした。 イランと中東諸国の対立構図、また元米大統領トランプ氏の経済制裁撤回による中東諸国の核兵器使用の危険性は現在進行形で存在しているため、数年前の本という気がしないと思います。 また中東情勢に関わらず、この本でたびたび触れられている、宗教やイデオロギーの対立、国間のパワーアンバランスは今この瞬間も世界中で緊張状態を作り続けています

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2023/09/23

イラン革命後の抑圧された全体主義社会で、女の価値は男の半分と言われる中、女性だけで密かに行われた西洋文学の読書会の回想録。 文学とは、この本で描かれるように、読者が自らの人生の痛みや現実と照らし合わせながら読まれてきたんだな

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2023/07/09

激動のイランを冷静に見つめた記録。 そして女というだけで抑圧されながら文学を手に自分らしく生きる道を模索する筆者とその生徒たちの記録。 ページを捲れば捲るほどイランが暗黒の道へと進んでいく。 その延長線上にあるのが今のイランなのだ。 今、イランで女性たちが命を懸けて声を上げている...

激動のイランを冷静に見つめた記録。 そして女というだけで抑圧されながら文学を手に自分らしく生きる道を模索する筆者とその生徒たちの記録。 ページを捲れば捲るほどイランが暗黒の道へと進んでいく。 その延長線上にあるのが今のイランなのだ。 今、イランで女性たちが命を懸けて声を上げているのはこの作品で触れられるような数々の女性への酷い仕打ちの積み重ねであることが痛いほどわかる。 胸が張り裂けそうだった。 でも今このタイミングで読んで良かった。 イランを知るために映画を観るのも勿論良いけどこの本から始めても良いのでは。 私はこの本を強く推したい。 あと文学批評本としても完成度がとても高いのでそういった意味でもオススメ。

Posted byブクログ

2023/06/29

イスラーム革命後のイランで密かに開かれた女性たちの読書会。女性が学ぶことを厭う場所で学び続けることの苦しさを思った。学べば、どう生きるかを他者に規定される理不尽と、向き合わざるをえないから。 知ることは、自分の世界の狭さに気づくことだ。

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2023/06/03

河出文庫グランドフェア2023の5冊目。ちょうど西加奈子の最新刊「くもをさがす」で、彼女が読んだ本のリストの中にこのタイトルがあったので、前から気になっていたこともあり選んだ。

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2023/06/11

とても長いので時間はかかったが、読み終わることができた。不思議と挫折しようとは思わなかった点が、この本の素晴らしい点だと思う。改めて、文学が持つ力を教えてくれた。さらには、想像がつかなかったイランという国、ひいてはイスラム教という宗教も教えてくれた。様々な文学作品が筆者に染み込ん...

とても長いので時間はかかったが、読み終わることができた。不思議と挫折しようとは思わなかった点が、この本の素晴らしい点だと思う。改めて、文学が持つ力を教えてくれた。さらには、想像がつかなかったイランという国、ひいてはイスラム教という宗教も教えてくれた。様々な文学作品が筆者に染み込んでいる様が、とても美しく、また健気だと感じた。

Posted byブクログ

2023/04/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

革命後のテヘランでは『ロリータ』を含めて文学を読むことは大きな困難を伴った 1995年の秋、勤め先の大学を辞めた著者は、優秀で勉強熱心な女子を選び、読書会を催すという夢を実現する。「作品の選定基準のひとつは、作者が文学の決定的な力、ほとんど魔術的な力を信じていること」(P35) ロリータ ギャツビー ジェイムズ(主に『デイジー・ミラー』と『ワシントン・スクエア』) オースティン(『高慢と偏見』) を取り上げつつ、自身と周囲の環境や想いを作品と重ね合わせ血肉にしていく。 最初から最後まで体制に命が特に女性の命が軽く扱われ煩悶するばかりの中、著者や学生が閉じられた場所といえども文学に触れ討論をしていたことに安堵しました。 個人的には第二部の『ギャツビー』の裁判に、これほどに私は文学を必要としたことはないんじゃないかと心を打たれました。なぜ世界に文学が在り続けるのか、人が求め続けるのかを心で感じることができた気がします。 解説は西加奈子さん。西さんの著作『i』で本作を引用されてるんですね。 第一部 著者曰く自国における「私たちの生活に一番ぴったりくる小説」(P11)として『ロリータ』を教材に選択した。選ばれた女学生は義務付けられたヴェールとコートの下には個性と信条に合わせた服装で著者の家に集う。 「ハンバートは大方の独裁者同様、みずからの思い描く他者の像にしか興味がない。」(P85) 第二部 時間を遡り、著者がアメリカからイランに戻り教職に就いた時期が語られる。新しい英文科長にマイク・ゴールド『金のないユダヤ人』を授業で扱いたいと願い出る。外国語書籍の本屋が政府により閉鎖され、進歩的な新聞も閉鎖される中、著者の受け持ちの講義が始まる。 『グレート・ギャツビー』の価値観に戸惑う学生たちに「小説を読むということは、その体験を深く吸い込むことです。」(P183)と著者は語りかける。 状況が悪化する中、期せずして授業で『ギャツビー』を裁判にかけることになる。 状況は悪化の一途を辿る。 「政府はどうにか全国の大学を閉鎖し、教員、学生、職員を粛清した。殺された学生や投獄された学生もいた。単に姿を消した学生もいた。テヘラン大学はおびただしい失望と悲痛の場と化した。」(P248) 第三部 1980年9月、戦争が始まった。この戦争は1988年7月末まで続く。 「この戦争はわれわれにとって大いなる祝福である!」というスローガンが掲げられる。 戦争と失業の中、著者は本を読みまくる。2人の子どもに恵まれる。研究会の仲間と仕事をするようになり、その後また大学で働くようになり『デイジー・ミラー』と『ワシントン・スクエア』を取り上げる。 これまで読んだどの作家とも全然ちがう。恋をしたみたい、とラージーエは笑いながら言った。(P362) ラージーエ(ファーストネーム)は本名、彼女はもうこの世にはいないから安心して使えるのだそう。 停戦前に発射された最後のミサイルの一発が近所の家に落ち、数人が亡くなる。戦争は唐突にひっそりと終わり、和平は敗北と同じだったが国内の敵との戦いは終わっていなかった。 第四部 家での読書会ではオースティン『高慢と偏見』は楽しく読まれる中、1人の学生の結婚が決まる。革命に対する幻滅が深まり、日常の規制は緩和される。しかし作家協会のツアーバスが崖下に落とされそうになったり、流れる血は日常にありふれていた。 ソマリアやアフガニスタンをごらんなさい。あの人たちに比べれば、女王のような暮らしをしているじゃありませんか。(P513) 冒頭、著者のことわりがきに この話に登場する人物と出来事には、主として個人を守るために変更を加えてある。検閲官の目から彼らを守るだけでなく、モデルはだれで、だれがだれに何をしたのか穿鑿して楽しみ、他人の秘密によってみずからの空虚を満たそうとする人々からも守るためである。(P8) 幸いにも、日本には検閲官はいないが後半部分はどこにいようと自戒すべきことと感じる。

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2022/11/24

西加奈子さんのiでミナが想像するってこと、で触れていて気になった本、あとがきもよかった 深くて重くて、全然消化しきれなかったけど想像力の世界が持つ力についての言及は一貫しているなって思った。政治がそれらに関与するのは最も囚われているから、みたいな描写はそうだよなあと思った、私た...

西加奈子さんのiでミナが想像するってこと、で触れていて気になった本、あとがきもよかった 深くて重くて、全然消化しきれなかったけど想像力の世界が持つ力についての言及は一貫しているなって思った。政治がそれらに関与するのは最も囚われているから、みたいな描写はそうだよなあと思った、私たちには力がある 読んでいて何度も涙が溢れそうになって、ピンときた箇所でもメモしておけなかったところも沢山ある、一周じゃこの本を5%も味わえた気がしない(それでも読んでよかったとなるのだけど)

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2022/10/23

イランで英米文学を鏡に自らの苦悩や理想を引き出していく本書を、日本で読んで自身の闘い方(あるいは、闘わない姿勢への個人的な是非)を見出す。「読み」とは時に切実なものだ。空想の城は脆い。しかし反面では力強く、連鎖する。

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2022/03/16

第2部くらいから、読み方がわかってきて 読むスピードが上がってくる。 味わって、味わって、味わって 行き着いた最後のページ。 読了感がすごくある。

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