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歩道橋の魔術師 の商品レビュー

4.5

23件のお客様レビュー

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2024/07/16

出版社(河出書房新社)のページ https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309467429/ 内容、著訳者紹介

Posted byブクログ

2024/06/12

今はなくなった台北「中華商場」という場所を舞台にした短編小説。子供時代体験したであろう色々な出来事の不思議さ、昂揚感、心がしめつけられる悲しみみたいなものを小説で見事に表しているなあと感じた。そんな色んな子どもたちの共通の記憶として「歩道橋の魔術師」がいて、各物語に影響を与えてい...

今はなくなった台北「中華商場」という場所を舞台にした短編小説。子供時代体験したであろう色々な出来事の不思議さ、昂揚感、心がしめつけられる悲しみみたいなものを小説で見事に表しているなあと感じた。そんな色んな子どもたちの共通の記憶として「歩道橋の魔術師」がいて、各物語に影響を与えている。 面白かったので「自転車泥棒」「複眼人」なども読んでみたいなと思った。 村上春樹っぽい言い回しもところどころ見られる。ちょっと気になり調べてみると、とあるインタビュー記事に「ねじまき鳥クロニクル」を読んだことがあると話しておられた(作中にも村上春樹の名前が一度出てきた)。 p.246 彼女の完璧な耳たぶに注意を引かれた。←これ春樹じゃん!とか一人で興奮してました。 個人的に好きなお話は『光は流れる水のように』。

Posted byブクログ

2024/01/20

商場が舞台なので賑やかな内容と思いきや、常にシーンと静まり返った雰囲気。どこか夕立前の雲の鬱屈さを彷彿とさせた。読めば読むほど哀愁漂う当時の台湾がありありと浮かび上がってくるようで、なんだか不思議な感覚だった。 子どもの記憶の曖昧さが相まって、より哀愁漂う雰囲気になっていたと思う...

商場が舞台なので賑やかな内容と思いきや、常にシーンと静まり返った雰囲気。どこか夕立前の雲の鬱屈さを彷彿とさせた。読めば読むほど哀愁漂う当時の台湾がありありと浮かび上がってくるようで、なんだか不思議な感覚だった。 子どもの記憶の曖昧さが相まって、より哀愁漂う雰囲気になっていたと思う。個人的には「九十九階」と「ギター弾きの恋」がお気に入り。

Posted byブクログ

2024/01/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

巨大迷路のような中華市場、屋上には鮮やかなネオン塔が光り、幾つもの棟を結ぶ歩道橋には魔術師が立っている…。昭和レトロならぬ台湾レトロを感じさせてくれる短編集。短編とは言え同時期に中華市場に住む子ども達の話という共通点があり、同じ登場人物が出てきたりでまるで一冊の中編小説を読んでいるよう。魔術師が気まぐれに見せる魔法は子ども達の心に残り続け、成長した後も時に生きる希望となり、時に死の原因となる。 台湾本国でドラマ化してるんですね、これ。セットで中華市場を完全再現したらしく、すごく観たいんですがローカライズもないし日本で観るのは無理そうで残念。予告編だけでも本書とあわせて観ると雰囲気が味わえていいかと思う。

Posted byブクログ

2023/07/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『光は流れる水のように』が綺麗にまとまっていて好き。 それから訳者あとがきの「今、中年にさしかかった商場の子供たちは魔術師のことを思い出し、そしてあのとき、自分の人生がすでに決まっていたのだと気づくのだ。」子どもの頃に住んでいた集合住宅のことを思い出した。一緒に遊んだ子、その親、出稼ぎに来ていた外国人一家、みんな何してるかな

Posted byブクログ

2023/03/11

遠い台湾の話なのに、なぜか懐かしいノスタルジックな感情、異国情緒、人生の残酷さを同時に味わえる、稀有な作品。 この本1冊持って、1人で台湾にぶらりと行きたくなる。 「99階」が特に印象的だった。

Posted byブクログ

2023/01/26

台北に実際にあった大型商業施設「中華商場」を舞台に、1980年代を振り返りながら進む台湾の小説なんだけど、とてもノスタルジックで、切なく、あたたかな作品だった。台北の熱気や喧噪に没入しながら、あっという間に読み終えた。 天野さんの翻訳は助詞や句読点にまで心配りがあって読みやすく、...

台北に実際にあった大型商業施設「中華商場」を舞台に、1980年代を振り返りながら進む台湾の小説なんだけど、とてもノスタルジックで、切なく、あたたかな作品だった。台北の熱気や喧噪に没入しながら、あっという間に読み終えた。 天野さんの翻訳は助詞や句読点にまで心配りがあって読みやすく、現実と夢の空間を心地よく行き来することができた。

Posted byブクログ

2023/01/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

1992年まで台北に実在した繁華街「中華商場」を舞台にした連作短編10作と、文庫本で追加された短編1作が入っている。それぞれの物語は、商場で育った少年が、大人になってから、かつての友人に歩道橋にいた魔術師について聞き取った話を基にしたという体で語られる。 中華商場の歩道橋にいた魔術師は、商場の子どもたち向けにマジックの道具を売っていた。売っている道具と魔術師の見せるマジックは、どれも、タネも仕掛けもあるものであったが、時折、彼は、本物の魔術らしき奇跡的な現象を起こす。 商場の子どもたちの生い立ちは、今の私たちの感覚からすると、けっして明るいものではなく、貧しく、身近な人が死に、暴力に溢れている。魔術師の見せるマジックは、子どもたちにとって、子ども同士の遊びとは違った、少ない娯楽の一つだったが、時折見せる本物の魔術は、ある子にとっては、とても魅力的なもので、ある子にとっては、不安に陥れるものだったりする。 魔術によって踊り出す小人、複製された偽物の鍵、蘇るシロブンチョウ、煙になるネオンの光は、少年少女を魅了し、魔術に憧れを抱かせた。女子トイレのエレベーター、消える兄弟は、少年を孤独に恐怖させた。絵から生まれた金魚を亡くした思い出は、何の感慨もないように話されて、内緒のラブレターを魔術師に盗られた思い出は、冗談ぽく話される。魔術師の記憶のない人もいる。

Posted byブクログ

2023/11/02

一九九二年に解体された台北の中華商場。 そこに住んでいた人たちの不思議な記憶の物語。 かつて中華商場に住んでいた作家が、当時の同級生や友人、関係者へ「歩道橋にいた魔術師」のことを覚えているか尋ねていくという連作短編集。 マジック・リアリズムというのはよく分からないが、過去の出来...

一九九二年に解体された台北の中華商場。 そこに住んでいた人たちの不思議な記憶の物語。 かつて中華商場に住んでいた作家が、当時の同級生や友人、関係者へ「歩道橋にいた魔術師」のことを覚えているか尋ねていくという連作短編集。 マジック・リアリズムというのはよく分からないが、過去の出来事を回顧しているようで、どこかで現実離れした状況を垣間見せている。 それがかえって記憶のあいまいさや少年期特有の感情を表現しているようで、話している人の当時から今に至る人生も微かに映ろう。 その結果、ノスタルチックでありながら、人生の重みまで感じることなる。 また、故天野健太郎氏の訳は、当時の台湾と日本を結び付け、まるで自分の同郷の友が脳裏に浮かび上がってくるような錯覚を覚える。 『自転車泥棒』を単行本で読んでから、読みたいと思っていた『歩道橋の魔術師』が、河出文庫から発刊された。こうなると未読の『雨の島』『眠りの航路』も文庫本化が待ち遠しくなる。

Posted byブクログ

2023/01/04

文学ラジオ空飛び猫たち第98回紹介本 https://spotifyanchor-web.app.link/e/ena4vKV3hwb 海外の本だけど、非常に日本人の感覚に近く、読みやすいと感じた。 そして少年少女時代を描いているので、幼いときの思い出が蘇る。 ノスタルジックな空...

文学ラジオ空飛び猫たち第98回紹介本 https://spotifyanchor-web.app.link/e/ena4vKV3hwb 海外の本だけど、非常に日本人の感覚に近く、読みやすいと感じた。 そして少年少女時代を描いているので、幼いときの思い出が蘇る。 ノスタルジックな空気と、ちょっと不思議な気分に浸りたい人は是非。 作者は「書く」ことをすごく大切にしている感じがした。

Posted byブクログ