1,800円以上の注文で送料無料

鴨川ランナー の商品レビュー

3.9

38件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

    16

  3. 3つ

    10

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/09/17

二人称で描かれた硬質な文体に、筆者と思しき主人公が異郷の地に溶け合うことなくいつまでもストレンジャーであることの苛立ちがうかがい知れる。特に京都はわれわれ日本人でさえ他府県人であれば「よそ者」視されている感は否めない。この作品の視座にこれといった目新しさはなく、辛口なようだが外国...

二人称で描かれた硬質な文体に、筆者と思しき主人公が異郷の地に溶け合うことなくいつまでもストレンジャーであることの苛立ちがうかがい知れる。特に京都はわれわれ日本人でさえ他府県人であれば「よそ者」視されている感は否めない。この作品の視座にこれといった目新しさはなく、辛口なようだが外国人が日本語で書いた作品ということが新鮮なだけのように思える。

Posted byブクログ

2024/05/06

タイトルにひかれて借りてきたが、なかなか興味深い内容だった。まるで自分が外国から京都に来たような不思議な感じ?

Posted byブクログ

2024/02/25

高校時代から学習し始めた外国語(日本語)でここまでの物語が書けるとは…、なんとも稀有な存在の著者と作品に巡り会えた。 これまで著者が経験したと思われる日本在住外国人特有のエピソードの数々。日本人として日々生きていると意識しないことでも、こうして言葉にされると共感して頷いてしまうこ...

高校時代から学習し始めた外国語(日本語)でここまでの物語が書けるとは…、なんとも稀有な存在の著者と作品に巡り会えた。 これまで著者が経験したと思われる日本在住外国人特有のエピソードの数々。日本人として日々生きていると意識しないことでも、こうして言葉にされると共感して頷いてしまうことや、恥ずかしながら認めざるを得ないことが多い。エッセイではなく小説という形だからこそ響くものがあった。

Posted byブクログ

2024/02/03

ストーリーは、幼少期に日本語に魅力され日本での生活に憧れて大人になって来日したけど、何年たっても日本に馴染めない、思ってたのと違うっていうギャップにモヤモヤする外国人の心情を描いたもの。 「君」という二人称で話が進んでいくから、主人公を客観的に見てる感じが不思議で面白かったし、日...

ストーリーは、幼少期に日本語に魅力され日本での生活に憧れて大人になって来日したけど、何年たっても日本に馴染めない、思ってたのと違うっていうギャップにモヤモヤする外国人の心情を描いたもの。 「君」という二人称で話が進んでいくから、主人公を客観的に見てる感じが不思議で面白かったし、日本での馴染めなさを感じながらも日本での生活を続ける「君」を応援するような気持ちで読めた。 物語のはじめ(幼少期)の文章がカタカナ表記なのが多く、物語が進む(大人になっていく)につれて漢字表記が多くなっていくのが、君の日本語力の成長を感じられる作りになってて面白かった。

Posted byブクログ

2024/01/20

二人称で現在形の短めの文章が続いていって、本当にランニングしているようなリズムの文体でした。日本語を母国語としない人が日本語で書いた小説でしたが、美しい日本語で読んでいて気持ちよかったです。

Posted byブクログ

2023/12/26

外国から京都にALTとして仕事に来た青年。福井の英会話教室をやめて牧師になった外国人の青年。 文化、言葉、環境…。異国で感じる違和感、その中で生きる不安や葛藤。それが微妙な気持ち悪さとともにじわじわ来る。日本って日本人ってなんなんだろう。こういう日常の気持ち悪い違和感は自分の中の...

外国から京都にALTとして仕事に来た青年。福井の英会話教室をやめて牧師になった外国人の青年。 文化、言葉、環境…。異国で感じる違和感、その中で生きる不安や葛藤。それが微妙な気持ち悪さとともにじわじわ来る。日本って日本人ってなんなんだろう。こういう日常の気持ち悪い違和感は自分の中の大事なものを歪めた時に出てくる気がする。なくしたいねできるだけ。

Posted byブクログ

2023/11/05

高校から日本語学習を始めたアメリカ人が巧みに日本語を操り素晴らしい小説を書いたという素朴な驚き。所々の単語の選択に独特のセンスを感じる。そして来日して働く外国人の心の葛藤を知り、これまで自分が外国人に対してとっていた言動を振り返ると心が痛い。はっとする角度から描かれていて得るもの...

高校から日本語学習を始めたアメリカ人が巧みに日本語を操り素晴らしい小説を書いたという素朴な驚き。所々の単語の選択に独特のセンスを感じる。そして来日して働く外国人の心の葛藤を知り、これまで自分が外国人に対してとっていた言動を振り返ると心が痛い。はっとする角度から描かれていて得るものがとても大きかった。

Posted byブクログ

2023/11/05

言語は本来コミュニケーションのためにあるけれど、この物語のなかで言語は上滑りして、お互いの仲立ちとはなってくれない。主人公のやるせなさが伝染して、ちょっとしょんぼりしてしまった。ていねいで静かな文章。 非母語で書くとき、思考に変化はもたらされるのだろうか。

Posted byブクログ

2023/10/31

開墾地で一目惚れしたグレゴリー・ケズナジャットさんの処女作。「鴨川ランナー」は僕のクソ田舎の地元にもいたALTの先生が感じたであろういろんな気持ちを代弁してて、身悶えしながら読みました 笑 そして「異言」では結婚式で毎回感じる「いや、この方このためにいらっしゃるの?」というなんち...

開墾地で一目惚れしたグレゴリー・ケズナジャットさんの処女作。「鴨川ランナー」は僕のクソ田舎の地元にもいたALTの先生が感じたであろういろんな気持ちを代弁してて、身悶えしながら読みました 笑 そして「異言」では結婚式で毎回感じる「いや、この方このためにいらっしゃるの?」というなんちゃって?神父さんのあの違和感を思い出す。慣れなのか、諦めなのか、前進なのか、、、きっと僕も将来こんなふうに感じるのだろうか。外国人の著者が日本語で書く「言葉」に対する物語、本当に大好きです。そして、、、これでいいのか日本?

Posted byブクログ

2023/10/27

2作品を収録。「鴨川ランナー」は京都が舞台。「きみ」が主人公。高校での夏休みの語学旅行にきみは京都に訪れる。四条大橋から見た鴨川の光景をお伽話のようにきみは感じる。6年間、きみはその光景が忘れられず、英語指導助手として、再び京都に訪れる。しかし外国人として扱われ、京都に溶けこめて...

2作品を収録。「鴨川ランナー」は京都が舞台。「きみ」が主人公。高校での夏休みの語学旅行にきみは京都に訪れる。四条大橋から見た鴨川の光景をお伽話のようにきみは感じる。6年間、きみはその光景が忘れられず、英語指導助手として、再び京都に訪れる。しかし外国人として扱われ、京都に溶けこめている気がしないきみ。言葉の葛藤みたいなのが感じられる作品。第2回京都文学賞を満場一致で受賞したとのこと。

Posted byブクログ