塞王の楯 の商品レビュー
著者らしい、優しさと爽やかさと…。
2023年9月読了。 避けていた訳では無いのだが、しばらく積ん読状態だったので、手を延ばしました。 著者特有の爽やかで、思い遣りの有る優しい気風が、読んでいて本当に読書の醍醐味を教えてくれる、本当に直木賞に相応しい傑作だと思います。 徳川幕府に成ってからの綺麗な...
2023年9月読了。 避けていた訳では無いのだが、しばらく積ん読状態だったので、手を延ばしました。 著者特有の爽やかで、思い遣りの有る優しい気風が、読んでいて本当に読書の醍醐味を教えてくれる、本当に直木賞に相応しい傑作だと思います。 徳川幕府に成ってからの綺麗な並びの石垣よりも、豊臣時代のいわゆる「野積み」の石垣の方が、強度も強く、難易度も高かったのは知りませんでした。 てっきり「「綺麗な積み方」の方が強いんだと思い込んでいたのですが、世の中が平和に成り、「強さよりも見た目の良さ」にシフトしていったから、後世の石垣は綺麗なのだと思うと、目からウロコでした。 一方「矛方」である国友衆ですが、「そんなに素晴らしい精度の」鉄砲や大砲が作れていたのか、ちょっと疑問でしたが、このお話にはこれで丁度良いのかも知れませんね。 こんなに精緻な大砲が作れたんだったら、「大坂の陣」の時、どうして家康は南蛮の大砲(仏狼機)を使ったのかなぁ~?って、ちょっと意地悪なことも考えちゃいましたww。 なんて御託はここまでにして、読後感の爽やかさと、「人の生死については、どんな時代も関係無い」と云う、著者の信念も伝わって、大変面白く読み終えました。素晴らしい作品です。
左衛門佐
検品作業に疑問
作品自体は間違いなく秀作。ただ、髪の毛が4本挟まっていたのがとても不愉快でした。検品作業に疑問が残ります。
ちゃんもちゃんも
歴史小説の割には読みやすく一気読みできた。絶対に破られない石垣を作る穴太衆「塞王」の弟子飛田匡介とどんな城でも落とす鉄砲を作る国友衆「砲仙」の弟子国友彦九郎、二人のライバルの話。お互いが信念を持っており破られない石垣を作ることで泰平の世にしたい匡介に対し、強力な武器でお互いが牽制...
歴史小説の割には読みやすく一気読みできた。絶対に破られない石垣を作る穴太衆「塞王」の弟子飛田匡介とどんな城でも落とす鉄砲を作る国友衆「砲仙」の弟子国友彦九郎、二人のライバルの話。お互いが信念を持っており破られない石垣を作ることで泰平の世にしたい匡介に対し、強力な武器でお互いが牽制することで泰平な世を作りたい彦九郎二人の意地がぶつかっており読んでてハラハラした。お互い戦で家族を失っており戦のない世の中を作りたいという気持ちは一緒だけどその過程でぶつかってしまいまさに矛盾対決。二人が激突するのが関ヶ原の決戦前、京極高次が大津にて籠城する時で匡介は自身が大津城の堀を強化した縁もあり頭として穴太衆を率いて籠城するのに対し彦九郎は最新の銃と大砲を持って西軍に与しあい見える。最後の穴太衆の懸vs国友衆の雷破の意地のぶつかり合いは読み応えあった。8メートル級の石垣を一昼夜で完成させるって本当なのか、だとしたらめっちゃすごいことだよな。この籠城戦で京極が西軍4万を数日間踏みとどまらせたからこそ関ヶ原で徳川が勝利できたのかもしれない。そう考えると歴史の分岐点の一つでもあるな。
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3.7。出だしは鈍足だったが後は一気。面白かった。しかし大津城の図面付けてほしかったよ。想像はしながら読めはするけど、あった方が絶対楽しめた。 にしても源斎が格好イイことよ。
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550ページという分厚さに怯みそうな気持ちを奮い立たせて手に取ったが、読み始めると面白くてどんどん読み進んだ。 織田〜豊臣〜徳川と移る時代を扱った時代小説は沢山あれど、穴太衆を中心に話が展開する小説、武士ではなく職人の視点でこの時代を描く小説は珍しいのでは。 登場人物がみんな人間...
550ページという分厚さに怯みそうな気持ちを奮い立たせて手に取ったが、読み始めると面白くてどんどん読み進んだ。 織田〜豊臣〜徳川と移る時代を扱った時代小説は沢山あれど、穴太衆を中心に話が展開する小説、武士ではなく職人の視点でこの時代を描く小説は珍しいのでは。 登場人物がみんな人間的魅力ある人たちで、しかも生死をかけた真剣勝負。技と智力、体力、チームワークなど全てを尽くして戦うのだから、読者が惹き込まれるのは当然か。
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石の意思が理解る漢と 銃による自由(安寧)を求める漢との熱き闘いを画いた戦国小説! この作品を読むとあの穴太衆が組んだ大津城跡の石垣を観たくなる。 いつか赴いて想いを馳せよう。 そんな想像がしたくなる物語。 知人に押し付けられて読んでみたけど、良かった〰
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よかった!! 歴史小説で、細かくイメージが湧かない部分もあったが、それを想像して読み進めるのも楽しかった。日本人、武士、職人の矜持、いつの時代も命に代えてでも家族を守りぬく意志、平和を望む心に胸を打たれました。 登場人物のキャラクター性もとてもよく、読んでいる途中からもう映画化が...
よかった!! 歴史小説で、細かくイメージが湧かない部分もあったが、それを想像して読み進めるのも楽しかった。日本人、武士、職人の矜持、いつの時代も命に代えてでも家族を守りぬく意志、平和を望む心に胸を打たれました。 登場人物のキャラクター性もとてもよく、読んでいる途中からもう映画化が楽しみ!
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ご存知、第166回直木賞受賞作。実際に読んだのは直木賞候補になった頃です。石垣作りの職人を主人公に、鉄砲作りの職人との対決が物語を盛り上げます。これまで司馬遼太郎さんの作品を多く読んできましたが、こんな歴史小説もあるんだなあと、あらためて感嘆しながら、あっという間に552ページを...
ご存知、第166回直木賞受賞作。実際に読んだのは直木賞候補になった頃です。石垣作りの職人を主人公に、鉄砲作りの職人との対決が物語を盛り上げます。これまで司馬遼太郎さんの作品を多く読んできましたが、こんな歴史小説もあるんだなあと、あらためて感嘆しながら、あっという間に552ページを読み終えました。戦争の無い世の中を願う気持ちは同じですね。
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まさに矛盾の物語。 戦国時代の終盤、城の石垣を築く穴太衆と鉄砲を造る国友衆。考え方は違えど自分達の技が平和を創ると信じていた。 主人公やライバルの国友衆、依頼主の京極高次など魅力的に描かれとても楽しく読めた。滋賀県に現存する石垣があるようなので見に行ってみたい。
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552ページの歴史大作(直木賞受賞作)、読み応えがあった~!読み終えるのに2週間かかった。 今回の「矛盾(楯)」の「矛」は銃や大砲、そして「盾(楯)」は城壁。関ヶ原の戦い前の大津城の攻防を銃造りの国友衆(そのトップが「砲仙」)と城壁作りの穴太衆(トップが「塞王」)の対決という視点...
552ページの歴史大作(直木賞受賞作)、読み応えがあった~!読み終えるのに2週間かかった。 今回の「矛盾(楯)」の「矛」は銃や大砲、そして「盾(楯)」は城壁。関ヶ原の戦い前の大津城の攻防を銃造りの国友衆(そのトップが「砲仙」)と城壁作りの穴太衆(トップが「塞王」)の対決という視点で描く。もちろん主人公はタイトルのごとく城壁側の飛田匡介。 大津城主である極高次とその妻お初の家臣や民への愛が感動的!
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