この夜が明ければ の商品レビュー
色々な事情があってグレーな世界は確かにあるんだろうけど、それでもいざ私は同じ場面に遭遇したら誰に確認もすることもなくさくっと110番しますけどね、と思いながら読み終えました。 でもそういうことを言いたいわけではないのはわかりました。でも同じ道には行かないと思います。
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北海道の短期バイトで働く男女7人。年齢はバラバラだが、1つの宿舎に過ごすだけあって、仲は良い方だと思う。しかし、リーダーの様な存在だった、仲野大地が街まで遊ぼに行ってから帰って来ず、探しに行くと、死体で見つかった。 工藤秀吾は警察に連絡しようとするが、一緒に探しに来ていた...
北海道の短期バイトで働く男女7人。年齢はバラバラだが、1つの宿舎に過ごすだけあって、仲は良い方だと思う。しかし、リーダーの様な存在だった、仲野大地が街まで遊ぼに行ってから帰って来ず、探しに行くと、死体で見つかった。 工藤秀吾は警察に連絡しようとするが、一緒に探しに来ていた佐藤真里に携帯を奪われしまう。宿舎に戻り、全員に状況を報告するが、誰も警察に連絡しようとしない。硬直状態の中、高井戸唯が、次々と7人の過去を暴露していく。 田辺亮は、家族から祖母の介護を押し付けられ、疲弊仕切っていた。そんな時、魔が差して祖母を殺そうとする自分に怯え、家を飛び出す。その三日後祖母は亡くなり、殺人容疑で指名手配される。 朝戸茉莉凛(佐藤真里)は、マリリンという名前のせいで虐められ、母親から自分の価値観を押し付けられ自分の居場所も未来も無かった。そして全てを捨てて家出した。 矢島彩子は、DV夫と子どもがいることを教えてもらえず、子どもの世話をさせるために結婚したんだと悟り、家を飛び出した。 乾佳靖は、実は中国人で、とっくにビザが切れておりオーバーステイをしている。お世話になったコンビニ店長に迷惑をかけないように短期バイトを転々としている。 工藤秀吾は、半年前で警察官として、自分の正義=法律であると、仕事に熱心だった。1度その功績が称えられ、さらにやる気を出していたが、職質に失敗した事をキッカケに自分の思う『正しい』という価値観が分からなくなり、警察を辞めた。 高井戸唯は、初め盗聴を趣味として行っていたが、人間関係を操るには、映像もあるといいと思い、盗撮をするようになった。職に吐いていたが、盗撮が原因でクビになり、このバイトに来ている。ここでも盗撮を行っていたため、全員の過去、そして、仲野大地が亡くなった原因が判明するのだった。 全員はその事実を知り、仲野大地が残した現金1億円を元手に逃亡生活を行うことを決意する。 最後の結末が珍しかった。誰か1人は裏切る?ような形になる展開が多いが、全員が悪い方?に団結するのは珍しかった。何が正解なのか、何が悪いのかの価値観や視点、見方についてのミステリーサスペンスである。
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岩井さんの作品にしてはしっくりこなかった。 同じバイトで出会った仲間、中野の死によって、各々の過去と向き合いながら犯人を探し未来を探す一晩の出来事。 アルバイトたちの過去も壮絶ではあるけれど、ありきたりだし、それが逃げる理由にしては浅はかすぎる。登場人物の誰1人にも共感できないの...
岩井さんの作品にしてはしっくりこなかった。 同じバイトで出会った仲間、中野の死によって、各々の過去と向き合いながら犯人を探し未来を探す一晩の出来事。 アルバイトたちの過去も壮絶ではあるけれど、ありきたりだし、それが逃げる理由にしては浅はかすぎる。登場人物の誰1人にも共感できないので気持ち悪いまま読み進めるしかなく、結末も腑に落ちなくって残念。 わたしには理解できないストーリーでした。
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面白かった! 北海道の加工水産業の期間アルバイトに集まった7人。 そのうち、リーダー格が不審な死をとげる。 発見者の一人は警察に通報しようとするが、もう一人の発見者はその携帯を奪って阻止、 宿舎に戻るも警察に通報するのはやめようとするものが多数。なぜ、彼ら彼女らは警察に通報しようとしないのか? ここからどっぶり作品にのめり込んだ。 徐々に登場人物の過去が明らかに、 不法滞在中の実は中国人、母親の束縛から逃げだしたサトマリ、夫の暴力と子育てに疲弊した女性、祖母の介護殺人をし逃亡中の男、盗撮せずにはいられない女、職質で失態をおかし退職した男、 様々な人間模様が描かれていてリアリティがありすっと入り込めた。 さいごみんなで逃げ出す描写、ハッビーエントではないがリアリティを感じさせる作品だった。映画になりそう。
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北海道の港町に季節バイトをしに集まった7人。カラフトマスを捌くという仕事を住み込みで行う彼らは遊びに出かけたり酒盛りをする程度に距離を縮めていたが、ある日一人が死体となってみつかる。警察を呼ぼうとする秀吾に対し、他のメンバーはなぜか警察を呼ぶのは反対で…。たった一日の物語なのに中...
北海道の港町に季節バイトをしに集まった7人。カラフトマスを捌くという仕事を住み込みで行う彼らは遊びに出かけたり酒盛りをする程度に距離を縮めていたが、ある日一人が死体となってみつかる。警察を呼ぼうとする秀吾に対し、他のメンバーはなぜか警察を呼ぶのは反対で…。たった一日の物語なのに中身の濃さに驚かされる。彼らが季節バイトをしに遠くまで来た経緯、そして思い。ひとりひとりの叫びと慟哭が私の心を鷲掴みにする。ここまでとここからの彼らに、私は何か言うことができるだろうか。どれだけ考えても伝える言葉を私は何も持たない。
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北海道のとある漁港でカラフトマスを捌く7人の季節労働者たちがいた。年齢も経歴も様々な彼らに共通しているのは、何かから逃れるためにここに来たということ。そしてその夜、リーダー格の大地が死んだことで疑心暗鬼に駆られた彼らは、お互いの秘密を暴き合う羽目になる……。 岩井さんの新作は犯人...
北海道のとある漁港でカラフトマスを捌く7人の季節労働者たちがいた。年齢も経歴も様々な彼らに共通しているのは、何かから逃れるためにここに来たということ。そしてその夜、リーダー格の大地が死んだことで疑心暗鬼に駆られた彼らは、お互いの秘密を暴き合う羽目になる……。 岩井さんの新作は犯人探しがメインの“推理小説”かと思いきや、人間の深層に潜む闇に迫った息詰まる心理劇だった。テンポよく視点が変わり飽きさせず、一気に読了してしまった。
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北海道の港町で短期のバイトに参加している7人の男女。 そのうちの1人の男が遺体となって見つかる。 誰もが警察への通報を拒否する。 そこから始まるが、とにかくそれぞれが過去から逃れて短期のバイトを転々としているのに理由がある。 不法滞在だったり、母親の呪縛から逃れるためだったり、育児とDVから逃げてたり、祖母の介護疲れで放置した罪で手配されていたり、仲間外れから盗聴、盗撮にはまりそこから抜けだすことができなかったり、正義を信じ警察官になったものの空回りして辞めることになったり、 みんな何かしら抱えて逃げている。 すべて弱さのせいだろうと決めつけたくはない。 そういう選択肢もあっていいのでは…と思った結末だった。
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北海道の小さい漁港でやっている季節バイトに集まった男女7人。水産加工物のバイトで来る日も来る日も魚を捌く。宿舎の周りには何もなく、自転車で1時間のところに繁華街があるだけの田舎の漁港だ。ある日、繁華街に行った1人が帰ってこなかった。探しに行くと海岸で死んでいた。通報しようと言う1人を除いて、残りの5人は通報に反対した。次々に明かされる6人の秘密。疑心暗鬼になる6人。着々と夜は明けていく。 読む手が止められなかった。もう続きが気になって気になって仕方なかった。季節バイトを歩き渡っていく人の秘密が、次々に明かされていく。もう同情しまくった。毒親、配偶者からのDV、介護疲れ、不法滞在の外国人。さまざまな事情で現実から逃げて、本当の人生を歩んでいくはずだった。なのに、仲間が死んだことにより、それにより警察が介入することによって辛い現実に戻されるかもしれない。 家族って何だろうと少し思ってしまった。家族によって、彼ら彼女らは檻に閉じ込められて、辛い現実を生きることになってしまった。家族って本当は味方になるはずなのに、毒も持って暴力も振るって1人に全ての責任を押し付ける。逃げることができて本当に良かったと思った。 「この夜が明ければ」というタイトルは、2つの意味があったのだと読んでから思った。夜が明ければ仲間の遺体が発見され、ここに警察が来てしまう。この夜が明ければ、本当の自分、本当の人生を歩むことが出来る。もう二度とあの現実には戻らない。 どうかあの6人が無事に逃げ切りますように。どうかあの6人が本当の自分を、本当の人生を歩めますように。 2021.12.3 読了
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みんなあやしい。 なるほど、自分を偽って働く理由は色々あるのだと思った。 乾さんが、その1億円という大金を独り占めしないで、分配するから一緒に逃げようとと持ちかけてきた案。 なるほどと思う。 でもこの集まりは仲間ではない。 それぞれがそれぞれを疑っている。 どうかな? 仲間割れしそう。 結局独りぼっちになりそう。 捕まりそう。 迫力のある話で、一気読みだった。
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