海神 の商品レビュー
あれ?これ、なんのカラクリ? 悪い人の正体を無口な江村くんは知っていた。 アレキシサイミア→失感情症。 嬉しいのか?悲しいのか?訊ねてもそれを表情に出したり言葉にすることができない。 江村くん。どうして? 姫乃はずっと思っていたけど、なぜかいつも、きちんと聞けずに諦めてしまう。 ...
あれ?これ、なんのカラクリ? 悪い人の正体を無口な江村くんは知っていた。 アレキシサイミア→失感情症。 嬉しいのか?悲しいのか?訊ねてもそれを表情に出したり言葉にすることができない。 江村くん。どうして? 姫乃はずっと思っていたけど、なぜかいつも、きちんと聞けずに諦めてしまう。 でも、信頼し合えて良かった。 ラストのあのシーンで、ボートが揺れて、?ってなった時、地震を起こしたのは海神だったということかな? 天の島と本土に橋がかかるといいなぁ。 映画になりそう。
Posted by
2021年3月、東北の小さな島の海岸で少女が見つけたアタッシュケース。その中身はたくさんのインゴットだった。それをきっかけに再び悪夢が訪れた。2011年3月に発生した東日本大震災。地震とともに津波も襲われた小さな島。そこでは、本島からの応援も来ず、多くの死者が出たりと大変な状況だ...
2021年3月、東北の小さな島の海岸で少女が見つけたアタッシュケース。その中身はたくさんのインゴットだった。それをきっかけに再び悪夢が訪れた。2011年3月に発生した東日本大震災。地震とともに津波も襲われた小さな島。そこでは、本島からの応援も来ず、多くの死者が出たりと大変な状況だった。そこに現れた救世主の遠田。彼は被災者を救うべく、島のリーダーとなって活躍し、島民から感謝されていた。しかし、その裏で遠田は、復興支援金を私利私欲のために使っていた。後に横領疑惑として、逮捕に踏み切ろうとしていたが、遠田は失踪してしまった。 大震災から現在までに何が起きていたのか?そしてインゴットとのつながりとは? インゴットの発見をきっかけに大震災の記憶と人間の欲望やそれに翻弄される人たちが描かれていましたが、一番印象深かったのは、大震災直後の描写でした。とにかく生々しく目を背けたくなるばかりで胸が痛かったです。 次々と打ち上げられる死者の数々。想像するだけで、精神が崩壊してしまいそうでした。 一番のメインとなる人物が遠田です。救世主として現れた男で、始めは良い人だと思っていたのにその裏では、とんでもないことをしています。金をいいように使う姿には、言葉もありませんでした。 物語の構成としては、2021年、2013年、2011年の3つの年代が同時進行として進んでいきます。新聞記者・菊池とボランティアとして島に来た椎名が主にメインの視点となって、あの日あの時、何をしていたのかが語られます。 2021年のパートでは、ある養護施設の職員の視点が中心となって、過去の出来事と絡めながら、インゴットの謎に迫っていきます。 同時進行なので、大震災から現在までの空白の時間に徐々に埋めていくかのようにわかっていきます。 遠田の行方は?インゴットは誰のなのか?当時何が起きていたのか? 全てがわかった瞬間、もどかしさや哀しさなどが込みあげてきました。その背景にある、誰かを想う愛情や人のために奔走する情熱などあらゆる感情が渦巻いていて、読み応えがありました。 人々の心理描写が、特に色んな怒りの感情が丁寧に描かれていて、胸を打たれました。 余談ですが、染井さんの別の作品「正体」が映像化されるということで楽しみです。
Posted by
染井さんの待望の新作は東日本大震災と真っ向から向き合った書き下ろし作品だった。10年の時が流れ自分の中では気持ちの整理ができたと思っていたが、震災直後の生々しい描写には目頭が熱くなってしまった。 そんな大災害を金のネタにする鬼畜が本書には登場する。震災からの数年と現在(2021年...
染井さんの待望の新作は東日本大震災と真っ向から向き合った書き下ろし作品だった。10年の時が流れ自分の中では気持ちの整理ができたと思っていたが、震災直後の生々しい描写には目頭が熱くなってしまった。 そんな大災害を金のネタにする鬼畜が本書には登場する。震災からの数年と現在(2021年3月)とを交互に描き、震災からの復興を願う人々と彼らを食い物にする男達がせめぎ合う。 期待値MAXを超える作品だった。
Posted by
東日本大震災により甚大な被害を受けた天ノ島で、NPO法人の代表が復興支援金を使い込む横領疑惑が発覚。命の金がひとりの男の私利私欲で消えてしまったのだ。10年後、被災地の海から黄金のインゴットが見つかり、事件は動き始める。圧倒的な筆致で人間の闇に迫る、絶望と再生のミステリー。
Posted by