海神 の商品レビュー
3.11をモチーフにしているが、物語に臨場感がなく、全体像が掴みづらい。今、何が起きていてどうなっているのか、という点がすっぽり抜け落ちてしまったような印象が拭えない。
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他の方のレビューより、実際に起こった震災復興NPO詐欺事件、大雪りばぁねっと。をもとに書かれたフィクッションだと知った。 震災直後に遠田という男が島に来て、復興支援金を私利私欲のため使い込む。 家族や親族を失い茫然自失の時、強い言葉で皆をまとめようとする遠田に島ごと騙された。 震災当時、大学生だった姫乃はボランティアで訪れ、そのまま2年も働く。その姫乃は、遠田の立ち上げたNPOで事務員として雇用されていた為、使い込みに気づいていながら何もできない。 島に新聞記者のため一朗もいたからなんとかできたのではないか、とも思うが、20歳そこそこの姫乃には無理かもしれない。 震災で悪事もたくさんあったとは思う。けれど、被災した方には読むのが辛いだろうと感じる。 暴力、殺人事件は必要だったのか…
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犯罪を犯す人の心の脆さや危うさが、うまく描かれている。人の弱さや、好い人 悪い人 でくくれない人間の真髄が、表現されている。真実が、正義とはかぎらない。大変なことが起こった時、人間の本性があらわれる。 ひとりひとりの描写が、繊細で登場人物の姿が目にうかぶ。きちんとした、小説。
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なかなか入り込めなかった。姫乃はなんでまた島に戻って暮らしているのか?そもそも姫乃の心理的なものが浅く感じた。横領詐欺事件もうやむやな感じで警察なにしてると。
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東日本大震災により甚大な被害を受けた天ノ島で、NPO法人の代表が復興支援金を使い込む横領疑惑が発覚。命の金がひとりの男の私利私欲で消えてしまったのだ。10年後、被災地の海から黄金のインゴットが見つかり、事件は動き始める。圧倒的な筆致で人間の闇に迫る、絶望と再生のミステリー。 火事場の泥棒的なやつはどこにでも居る。許せん!
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実在した東日本大震災の被災地復興支援費を私的に流用した事件を彷彿とさせる。 映像で見ただけで目を覆いたくなる3.11の大震災。 無残な現場を眼前にしながら被災者の為のお金を己の私利私欲の為に使うなど人間の風上にも置けない。 物語は2011年、2013年、2021年を行きつ戻り...
実在した東日本大震災の被災地復興支援費を私的に流用した事件を彷彿とさせる。 映像で見ただけで目を覆いたくなる3.11の大震災。 無残な現場を眼前にしながら被災者の為のお金を己の私利私欲の為に使うなど人間の風上にも置けない。 物語は2011年、2013年、2021年を行きつ戻りつしながら展開する。 震災から10年後に天ノ島の浜辺へ流れ着いた金塊が詰まったアタッシュケース。 その場面から始まるプロローグは秀逸。 ワダツミ・海の神がいるならば、震災で憔悴しきった被災者に更なる重荷を背負わせる悪から守って欲しいと強く願う。
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染井さんの6冊目。全て読んでいるファンですが、今回はほぼ最後まで読みましたが、盛り上がりもなく期待外れ。期待していた分だけ、厳しい★2にさせていただきました。
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東日本大震災の復興支援金悪用の話。 社会派小説としても細部ではイマイチリアリティがなく、エンタメ小説としてもそれほど盛り上がりがなく中途半端な印象。
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染井さんの作品、6作読んだ中で2番目に新しい作品。いつも同じ事ばかり書いてるが、筆力はすごいし、ストーリーテラーとしても見事。でも、でもなんだよな・・・ 震災復興の裏で実際にこう云うことをしてるやつらが山ほどいるんだよなあ。それが真実。そして、それも人間しかできないこと
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きれいごとをを描こうとしないのが 良い 私もあなたも、生き残った人間のひとりなのだ 架空の人物像だからこそ 自由に表現できる、 小説ならではの 良い事例 ではないだろうか ルポルタージュでは、こうは行かないだろう 信頼していたものが虚偽、偽りの言葉だったら裏切られたなど...
きれいごとをを描こうとしないのが 良い 私もあなたも、生き残った人間のひとりなのだ 架空の人物像だからこそ 自由に表現できる、 小説ならではの 良い事例 ではないだろうか ルポルタージュでは、こうは行かないだろう 信頼していたものが虚偽、偽りの言葉だったら裏切られたなどと軽々しくは人の心を表現するのが難しいとも思えるほどだ まして、東北震災は人の心に影響を与えた災害としての規模が大きかった 復興支援予算の不正使用のNPO団体があったことも記憶の片隅には残っている その復興支援団体の実態がもし、こうだったら とサスペンスドラマ仕立てで組み立てられている 話しのスタートは震災からちょうど10年後の2021.3.11 津波の日に産まれた女の子が海岸で金塊の入った、藻の生えたジュラルミンケースを見つけたところから始まる 当然、全国のメディアで報道される 時系列も 2021年.2013年.2012年.2011年 それぞれの特別な日毎に、分割され、ストーリーを構成する人の目で、時の順序を進めたり戻したりしながら、ドラマのパーツが組み合わさってゆく 2011.3.11 津波のニュース映像を見た女子大学生は三陸へ向かう ボランティアとして遺体の検分も手伝う 大学も休学して復興支援団体のNPOに雇われ1年以上被災地で貢献する すっかり地元のマドンナだ 団体のリーダーを信用していた 遺体の捜索活動は90%終わったとしても人の捜索は終わることがない 子供が見つからないということは生きている証だと一年経っても子供の誕生日を祝う母親も描く しかし団体の不正経理と国の復興支援金の使途はひどすぎた 代表者とその部下の歪んだ特殊な人間性によるものだ 地元新聞記者とルポライターが協力して、この首謀者の人物像を取材する 描かれる人物像のリアリティがこの小説のポイントだ 殺人も犯す ボランティア女子大生も首謀者に気に入られて不正などと知らず手伝っていた訳だ 首謀者は補正予算がつかなかった頃から不正を追求される 女子大生は失意の中、東京に戻る もう被災地の人たちには顔向けができないと生きる覚悟だ しかし、慰霊祭の日に戻ると、逮捕拘束されているはずの首謀者と部下、の二人に遭遇し見つかってしまう お互いに地元の人間に見つからないように行動していたのに 女子大生は首謀者に強姦される 部下に殺害を命じてある しかし部下はこの女子大生を殺せない 特殊な障害とコンプレックスを抱え込んだ男であった 女が首謀者を銛で殺す 記者はまさにその場にいたが 2021年3月15日 この部下が金塊のニュースを見て被災地に現れる 自分の目で見た事を話しをするためであった 償うことは何もできないのは分かっていても 生き残っている人として、言葉を伝えたかったのだろう 私も あなたも 今 生きている者たちは誰も皆、生き残ったひとりなのだから
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