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歴史修正主義 の商品レビュー

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25件のお客様レビュー

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2024/05/30

高橋新書ガイドから。ドイツには、ナチス賛美やホロコースト否定に対する罰則がある、ってのはどこかで読んだことがあったけど、裏を返せば、そういう規則が必要ってことは、少なからずそっち系の論者がいるってこと。結局どこにでもいる訳だしという話ではなく、対内的のみならず、対外的にもその姿勢...

高橋新書ガイドから。ドイツには、ナチス賛美やホロコースト否定に対する罰則がある、ってのはどこかで読んだことがあったけど、裏を返せば、そういう規則が必要ってことは、少なからずそっち系の論者がいるってこと。結局どこにでもいる訳だしという話ではなく、対内的のみならず、対外的にもその姿勢を示すということに異議がある。大前提としてのそれが、日本には足りない訳だけど、戦争を知る世代が確実に減っていく以上、ハードルは高くなる一方と言わざるを得ない。直接には知らなくても学ぶことは出来る訳だし、修正主義にノーを言い続けることが、戦後世代にも最低限求められること。戦争反対。

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2024/04/12

本書を読了して、歴史とは一枚岩で語られるものではなく、色々な支店から立体的に俯瞰することで「事実」を抽出していく作業が大事だと感じた。これからはテレビやニュースで報道されている事件について鵜呑みにするのではなく、一呼吸を置いて違った視点で物事を見つめることを心掛けようと思う。

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2023/12/20

歴史修正主義は、証拠の揃った定説を敢えて(無意味に)疑い、一面だけを切り取り、重要な点を無視する。また狡猾にも、完全に否定するのではなく「疑い」を提示するのに留めることで批判をかわす。 恥ずかしながら大学生の頃、そのようなインターネットを見て歴史修正主義こそ真実と思っていた頃が...

歴史修正主義は、証拠の揃った定説を敢えて(無意味に)疑い、一面だけを切り取り、重要な点を無視する。また狡猾にも、完全に否定するのではなく「疑い」を提示するのに留めることで批判をかわす。 恥ずかしながら大学生の頃、そのようなインターネットを見て歴史修正主義こそ真実と思っていた頃があるが、あれは間違った態度であった。もちろん検証は続けられるべきだが、歴史学の蓄積に敬意を払う必要がある。 それはそれとして、時代や社会により受け入れられる言説は異なる。冷戦中か後か、私たちのアイデンティティ形成に対する重要性などがその判断に使われる。

Posted byブクログ

2023/09/30

「歴史修正主義」と書くと何か歴史学という分野の一つのような印象を受けます。 でも、この本を読むと、それはただ自分の思想というか政治信条を発言するだけの戯言だとわかりました。 歴史学というものは、事実を様々な角度から捉えて、過去の事象をより良く理解しようとするものです。 対して「歴...

「歴史修正主義」と書くと何か歴史学という分野の一つのような印象を受けます。 でも、この本を読むと、それはただ自分の思想というか政治信条を発言するだけの戯言だとわかりました。 歴史学というものは、事実を様々な角度から捉えて、過去の事象をより良く理解しようとするものです。 対して「歴史修正主義」は、結論ありきで、都合のよい言説だけをとりあげたり、そもそも、なんら証拠を提示しないものです。 このような「歴史修正主義」を信じている人が、いまの社会に一定数いる、ということが、哀しいというか、考えさせられます。

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2023/06/21

先の大戦、ホロコースト問題にを中心に「歴史修正主義」について述べる。 概観的には良かった気がした。 歴史の修正と、修正主義と、否定論は違う。 が、各論に入ると途端に首捻る。 それぞれの微妙な違いを見分ける目を持っているのは、研究と経験を重ねた専門家である「歴史学者」なのであ...

先の大戦、ホロコースト問題にを中心に「歴史修正主義」について述べる。 概観的には良かった気がした。 歴史の修正と、修正主義と、否定論は違う。 が、各論に入ると途端に首捻る。 それぞれの微妙な違いを見分ける目を持っているのは、研究と経験を重ねた専門家である「歴史学者」なのであるらしい。 取り上げられる事例だけ追っていれば、「歴史修正主義」が一定の政治的目的を持って云々は理解できるのだが、この人はその、政治とか法律とかの専門家でもないのに、情緒的な見解を振りかざす。 なにより「日本の歴史修正主義については専門家でないので触れない」と断っておきながら、あっちこっちに「慰安婦問題」「南京虐殺」を、「真実」ではなく「明白な事実」としてぶっ込んでくる。 つまるところ、意見は無用ということだ。 論の展開も、読み間違えたのかと思うくらい読み返しても、どうにも自家撞着とか矛盾してるとしか思えないところが所々あって、まあ、残念な本だった。 疲れるなあ。

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2023/04/18

【感想】 日本では「歴史修正主義」という言葉を、日常の中で耳にすることは少ない。社会科教師の私がそう思うのだから、他の多くの人にとっては尚更だろう。 2022年度に、都立高校の附属中学校で時間講師と勤務した際に、育鵬社の歴史教科書が採択されていることに驚いた。もちろん、生徒には...

【感想】 日本では「歴史修正主義」という言葉を、日常の中で耳にすることは少ない。社会科教師の私がそう思うのだから、他の多くの人にとっては尚更だろう。 2022年度に、都立高校の附属中学校で時間講師と勤務した際に、育鵬社の歴史教科書が採択されていることに驚いた。もちろん、生徒には育鵬社の相対的・絶対的な立ち位置について説明したうえで、教科書を使用せざるを得なかった。 日本では、ヘイトスピーチに対する法規制も2016年になるまで行われてこなかった。今なお、十分な法規制があるとは言えない現状だ。 今後、日本でも歴史修正主義的な動きが出てくることは可能性として存在する。その際に、本書に出てくるような“出鱈目な”言説を取り締まる力を、日本の社会はもてるだろうか?

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2022/08/15

近年、「もうひとつの事実」「フェイク」「陰謀」という言葉がメディアに頻繁に登場するようになりました。また、今年5月の対独戦勝記念日で、米ホワイトハウスのサキ報道官はプーチン大統領を「歴史修正主義者」と批判しています。本書は「歴史とは何か」という切り口から歴史修正主義の実態、発生、...

近年、「もうひとつの事実」「フェイク」「陰謀」という言葉がメディアに頻繁に登場するようになりました。また、今年5月の対独戦勝記念日で、米ホワイトハウスのサキ報道官はプーチン大統領を「歴史修正主義者」と批判しています。本書は「歴史とは何か」という切り口から歴史修正主義の実態、発生、法規制、司法での争いを記した中公新書の力作。歴史修正主義概論入門書というような性質の本ですが、事例が多く、面白く読みました。 著者の武井彩佳さんの専門はドイツ現代史とホロコースト研究。したがい、本書は主にヨーロッパで発生した事例がメインであり、慰安婦問題といったアジアにおける歴史問題は触れられていません。 本書で記されているのは下記の通りです。 1)歴史学の観点から歴史とはどのように記されるのか、その基本的な姿勢や手段についての記述。 大雑把に言えば「歴史学とは過去が全体としてどうであったかを示す学問であり、一点から、一個面からのみ解釈することはしない。また複数の証拠を付き合わせることで判断する。これには専門性と長年の訓練が必要とされる」。一方、歴史修正主義は全体を見ず、ごく一部しか見えていないにも関わらず過去を結論付けてしまいます。「自分の考えと矛盾する事実は単純に無視することが多い。学術的には極めて適切であるだけでなく、事実に対して不誠実なのだ」。 さらに「最初から事実と異なる歴史像を広める意図で、あからさまに真実を指定する主張を欧米では歴史修正主義ではなく否定論と呼ぶようになっている。日本では歴史修正主義と否定論は必ずしも区別されていない」。例えば、「ホロコーストは存在しなかった」という類の主張が否定論です。 2)ナチズムとホロコーストについて歴史修正主義(および否定論)は何を目的としどのような形態で現れたのかを検証。「中でも1980年代以降にホロコーストの否定が拡散し、これに欧米社会が対応を迫られる経緯」を追います。この部分は非常に面白いと思いました。ドイツ親世代の自己防衛からくる問題となる歴史の矮小化、イスラエルの軍事強国化がきっかけのようです。ただ、その動機にはサルトルの「反ユダヤ主義は情熱である」を引用して、合理性はないと分析します。 「歴史が被告席に」置かれたとするアーヴィング裁判については詳述されています。歴史改竄の方法は興味深く、ちょっと笑える箇所もあります。 3)現在、欧米社会は歴史修正主義や否定論とどのように向き合っているのか? 欧州では多くの国がホロコースト否定論を法的に禁止しています。それと言論の自由の侵害について考察します。 歴史修正主義者は自分たちにとって都合の良い過去を繰り返し、人々の認識の揺らぎを呼び起こすことを意図しています。ファクトとフェイクの間の境界が曖昧になれば、当然視されているあらゆることの土台が緩み、その上にある社会制度が軋む恐れすら生じると言われています。 SNSでいろいろな主張が拡散している現在、本書は読むべき1冊と思いますが、何よりも読み物として面白い本書はお勧めです。

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2022/07/15

人々の営みの積み上げである歴史。これに真摯に向き合うことの大切さを思い知り、先進地ヨーロッパで起きているパラドックスも理解できる良書。 学問的アプローチかエセ学問的アプローチかの見極めは難しいが、修正主義者のロジックには一定の決まりがあるという。その修辞法は国語の授業などで教え...

人々の営みの積み上げである歴史。これに真摯に向き合うことの大切さを思い知り、先進地ヨーロッパで起きているパラドックスも理解できる良書。 学問的アプローチかエセ学問的アプローチかの見極めは難しいが、修正主義者のロジックには一定の決まりがあるという。その修辞法は国語の授業などで教えるべきだろうと感じた。 そして言説を批判することの重み、社会規範や制度はいかに変化するものか、さらにそれを支える基盤となる民主制の強さ・レジリエンスについて深く考えるきっかけにもなった。

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2022/06/26

 「アウシュビッツにガス室はなかった」「南京事件は捏造」「慰安婦はみんな職業的な娼婦」といった話しを耳にしたことがあるだろうか?歴史的な事実の全面的な否定を試みたり、意図的に矮小化したり、一側面を誇張したり、何らかの意図で歴史を書き換えようとすることを「歴史修正主義(revisi...

 「アウシュビッツにガス室はなかった」「南京事件は捏造」「慰安婦はみんな職業的な娼婦」といった話しを耳にしたことがあるだろうか?歴史的な事実の全面的な否定を試みたり、意図的に矮小化したり、一側面を誇張したり、何らかの意図で歴史を書き換えようとすることを「歴史修正主義(revisionism)と呼ぶ。日本の団体の中には「歴史戦」などと叫び、歴史修正主義を「戦い」とする愚かな発言が物議を呼んでいる。  本書は、世界史が専門の著者が、あえて日本の歴史には触れず、世界史の中での歴史修正主義との闘いを、各国の情勢や司法の判断などの事案も交えて紹介する。ニュンベルグ裁判、ホロコースト否定論者の勃興とツンデル裁判、アービング裁判などを通じて、ヨーロッパです進む歴史修正主義への法規制が歴史的経過と共に整理される。  著者は、「歴史修正主義は、表面上は歴史の問題を扱っていても、本質的には政治的・社会的な現象であり、歴史修正主義はむしろ社会と民主主義との関係から考える必要がある。」との説明には、我々が考えるべき点ではないだろうか?

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2022/04/07

フェイクニュースやジェノサイドご話題になる現在において、必要な一冊と思う。読むには多少の努力は必要。

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