1,800円以上の注文で送料無料

星詠師の記憶 の商品レビュー

4.2

13件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    6

  3. 3つ

    2

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/11/06

阿津川辰海の長編小説。 通常、未来視がテーマのミステリーは、未来視という能力をいかにミステリーとして組み込むかという部分が先走ってしまい、何かうまいことロジックにはめ込み、未来視とミステリーを融合させるパターンが多い印象がある。勿論、テーマが非現実的なため、作品の整合性を取るた...

阿津川辰海の長編小説。 通常、未来視がテーマのミステリーは、未来視という能力をいかにミステリーとして組み込むかという部分が先走ってしまい、何かうまいことロジックにはめ込み、未来視とミステリーを融合させるパターンが多い印象がある。勿論、テーマが非現実的なため、作品の整合性を取るために無理をするから、ストーリーの中に歪みがうまれてしまい、少し残念に思う事が多かった。 今作においては、水晶を媒体にした未来視について、未知のテクノロジーの様な扱いにする事で(録画機器の様に)、作中に違和感なく能力をひろめ、それに対するルールの整備も一級品で、殆ど違和感なく、まるでビデオカメラの様に馴染んでいる。 そして、この事実がある事により、今作の犯人やトリック、動機、全てが作り上げられており、数多のミステリー小説の中でも飛び抜けて新しい体験を得る事が出来る。 (阿津川辰海は特殊な環境や能力を活用したミステリーが本当に上手い!!) 登場人物については、ちょっと物足りなさを感じる分があり、作中にてそれぞれ活躍はしているが、どうしても生き生きとして躍動感のようなものは感じることができなかった。人物描写が得意な作家も多いが、どのように書けば、まるで生きているかのような人物になるのかはわからないが、この作品で、もし登場人物に生き生きとした生命力を感じることがあれば、大傑作だったかもしれない。 もちろん、刑事の獅童や香島少年、赤司、青砥の兄弟に至るまで、彼らの存在感は大きいが、残念ながら「物語の登場人物」でしか無い。 ミステリーの部分はとても面白い。水晶のルールが過去、未来を超えてトリックを構成している為、理解するのが中々難しいが、把握していくと衝撃を受ける。とても現実的に組み立てられている為、破綻が無く、純粋に楽しめる作品だ(このトリックを推理した獅童刑事は予知能力者か何かかと笑ってしまったが)ネタバレになるので控えるが、犯人の動機や取り巻く環境等の設定も良かった。  しかし一方で登場人物達、犯人や被害者の内面、慟哭の様なものは読み取れず、それぞれの苦悩や葛藤が恐ろしい程描写されていたならば阿津川辰海の中でも1、2を争う作品だったのではと思う。 久しぶりに魅力的な設定のミステリーだった。

Posted byブクログ

2024/08/03

特殊設定ミステリと呼ぶのを初めて知りました。 未来の映像が、水晶に記録されるという設定は面白かったです。しかも、それを、自分だけのものとして物語を進行させていくのではなく、奇想天外な部分を現実に落として、仲間を作って、仕事にして、商売に繋げていき、そこにミステリ要素を盛り込むって...

特殊設定ミステリと呼ぶのを初めて知りました。 未来の映像が、水晶に記録されるという設定は面白かったです。しかも、それを、自分だけのものとして物語を進行させていくのではなく、奇想天外な部分を現実に落として、仲間を作って、仕事にして、商売に繋げていき、そこにミステリ要素を盛り込むってところが凄いなと思いました。 ただ、謎解きが難解でした。後半は、時間も場所も把握できず、取り敢えず字ずらしか追えなかったです。それでも面白かったので、理解出来たら、もっともっと面白いんだろうなと悔しく思いました。

Posted byブクログ

2024/06/08

水晶とか占いの類にあまり興味がないので迷ったけど、読んで数ページで「何これ面白い!!」と引き込まれてしまった。さすが阿津川さん。 自分の目線で見た未来を水晶に映すことができる星詠師。このとんでも設定が阿津川さんの手にかかると面白い本格ミステリーになってしまうから不思議だ。 読...

水晶とか占いの類にあまり興味がないので迷ったけど、読んで数ページで「何これ面白い!!」と引き込まれてしまった。さすが阿津川さん。 自分の目線で見た未来を水晶に映すことができる星詠師。このとんでも設定が阿津川さんの手にかかると面白い本格ミステリーになってしまうから不思議だ。 読んでいるうちにその設定をすんなりと受け入れてしまう。特殊能力があるおかげでミステリーが面白くなっていく、という初めての感覚だった。 登場人物の描き方も上手いので、続きが気になって一気読みだった。 ラストの謎解きは、緻密過ぎて頭が混乱する。疲れるのでもう少し単純な方が好き。

Posted byブクログ

2024/06/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

出だしから水晶の件でミステリアスな印象の本作。 中盤の推理場面では、ミステリ好きとして十分に楽しめた。 しかし、水晶の世界観がSF要素なこと、青砥が赤司に対して行った1989年当時の行動など、謎解きの最後で裏切られた感じがする。 よく言えばまさか!であるが、いささか拍子抜けした感は否めない。 SF要素を理解した上でなら素晴らしいアイデアであるが、個人的にはリアリティを求めてしまう派なので。

Posted byブクログ

2024/03/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

未来が見える弟と見えない兄が作った星詠会そこで未来を見る事を研究していた2人が実はお互いに無いものを羨望しそれが殺人にまで行き着く。未来を使った見立て殺人の発想は新しく予想外でした

Posted byブクログ

2024/01/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

阿津川辰海さん2作目。 ザ・特殊設定ミステリ。 この手の設定だと海外ミステリの場合、どちらかというとSFに寄る話が多い気がするのだけれど、日本の場合本格だったりパズラー要素強めだったりするんだよなぁというのが印象強く残る一冊。 石神赤司は、紫水晶に未来予知を投影できる異能の持ち主だった。 幼い頃に父が出張先からお土産に買ってきたミカサギ村の紫水晶に魅入り、寝床に就くときも肌身離さぬ日々を過ごしていたところ、あるとき見覚えのある顔の映像が水晶の中に刻まれていることに気付く。 後に、それは自分を殺そうとしている父の顔であることを身をもって知る。。。 トラウマとも成りかねない修羅場を乗り越え、兄の青砥、事件後の身元引受先の祖母の知人である紫香楽と共にその異能を活用すべく〈星詠会〉の大星詠師として身を尽くす道を歩むが、時を経て殺人事件の被害者に。 容疑者は息子の真維那だが、動かぬ証拠も裏腹に冤罪の臭いが。 この事件の真相究明に挑むのは、とある経緯から休職中に生まれ故郷に静養に訪れていた獅堂。 話を聞いていくうちに、現在(2002年)の事件の前に1976年に近親者の青砥と紫香楽が事故死を遂げていることがわかる。 調査を進めるほどに、双方の関連性が色濃くなって行く。。。 一歩距離を置いて読むと、色々と突っ込みどころはあるものの、逆に前のめりで読むと用意周到な伏線と回収の業が光る。 解説、斜線堂有紀さんの『楽園とは探偵の不在なり』のインスパイア作品ともなったこととの本書。 あぁ、わかる。何か雰囲気似ている。 その読書遍歴だけに、ちょっとロジック志向な感じはするけど楽しめました。 稀に見るネタバレ全開な解説は、読了前に読む人には注意だけれど、このぐらい踏み込んだ話をしてくれた方が読後の頭を整理できる。

Posted byブクログ

2023/09/06

未笠木の山の紫水晶に映る未来を詠み取る人、星詠師。ファンタジックかスピリチュアルな話なのか?と思ったら、水晶の映像をデジタルデータ化するとか、星詠師の力のカギが目の虹彩の形にあることが解明されているとか、架空の設定ながら、科学的に綿密に組み立てられていて、SFさながらの面白さでし...

未笠木の山の紫水晶に映る未来を詠み取る人、星詠師。ファンタジックかスピリチュアルな話なのか?と思ったら、水晶の映像をデジタルデータ化するとか、星詠師の力のカギが目の虹彩の形にあることが解明されているとか、架空の設定ながら、科学的に綿密に組み立てられていて、SFさながらの面白さでした。その上で、技術的・心理的に仕組まれたトリックと罠に震撼しました。

Posted byブクログ

2023/08/11

めちゃくちゃ面白かった! 途中まで全く結末の想像がつかなかっただけに、解決パートに入ってからは、次々明かされる事実に、驚きの連続。 緻密な設定すごい!

Posted byブクログ

2023/07/02

特殊設定ミステリーは最初にその設定を理解するまでが大変だと思うが、緻密に考え抜かれていて、面白く読めた。

Posted byブクログ

2022/08/07

特殊設定ミステリって、「何でもあり」にならないために、「普通の」のミステリより、緻密に論理的に、世界の境界条件を定めなくてはならないので、非常に難しいんだなって、改めて。 最近何かと話題なジャンルだけど、一方で、ラノベ的とか、お花畑とかってバカにした評を聞いたことあるけど、まずは...

特殊設定ミステリって、「何でもあり」にならないために、「普通の」のミステリより、緻密に論理的に、世界の境界条件を定めなくてはならないので、非常に難しいんだなって、改めて。 最近何かと話題なジャンルだけど、一方で、ラノベ的とか、お花畑とかってバカにした評を聞いたことあるけど、まずは本書を読んでみてからにほしい。

Posted byブクログ