犬神家の戸籍 の商品レビュー
買う必要は無かった、読む必要も無かった
「犬神家の一族」の解析、というよりも著者の個人的意見を述べただけでした。
翡翠子
横溝正史の作品は、かつての日本の家族の血統と因習が因となって起こる殺人事件が多い(まぁ、作品ではかなりドロドロしているが...)。本書は「犬神家の一族」をベースに、世界的には珍しい日本の戸籍について解説したもの。横溝正史自身の家族構成にも触れており、なるほど横溝だからこそ、このよ...
横溝正史の作品は、かつての日本の家族の血統と因習が因となって起こる殺人事件が多い(まぁ、作品ではかなりドロドロしているが...)。本書は「犬神家の一族」をベースに、世界的には珍しい日本の戸籍について解説したもの。横溝正史自身の家族構成にも触れており、なるほど横溝だからこそ、このような作品が書けたのだなぁと思った。とりあえず、映画でなく原作の方を読んでから、本書を読んだ方がいいかもしれない。
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何度も映像化された横溝正史の名作を、「家系」という観点で 読み解く作品である。 本書を読む前に原作を読んでおさらいしようと思ったのに、 我が家の本棚には見つからなかった。金田一耕助シリーズは 絶対に読んでいるはずなのに。 仕方がなないので映像作品(石坂浩二版)を観たのだが、本...
何度も映像化された横溝正史の名作を、「家系」という観点で 読み解く作品である。 本書を読む前に原作を読んでおさらいしようと思ったのに、 我が家の本棚には見つからなかった。金田一耕助シリーズは 絶対に読んでいるはずなのに。 仕方がなないので映像作品(石坂浩二版)を観たのだが、本書で も言及されている通り、原作と映像作品とでは相違点が結構ある のよね。原作、どこ行った?リサイクル書店で買い直して読むか。 天涯孤独で氏素性も判明しなかった犬神佐兵衛が一代で築いた 犬神財閥。生涯正妻を娶らなかった佐兵衛には、各々母の違う 娘三人がいた。 佐兵衛の死後、弁護士によって公開された遺言書がいくつもの惨劇 を引き起こすことになる。おどろおどろしい惨殺場面は、映像作品 で観ると衝撃的であった。 佐兵衛が起こした犬神家は旧家ではない。だから、佐兵衛以前の 家系を遡ることは出来ないが、本書は作品の登場人物それぞれが 戸籍上ではどのような扱いになるのか。現民法・明治民法と 照らし合わせて解説している。 戸籍の専門家の手になる書なので難しいかな?と思ったが、そんな ことはない。分かりやすい言葉で書かれているので、民法に明るく なくなくても十分に読める。 もう複雑怪奇としか言えないのよ、犬神家の戸籍は。それに匹敵 するくらい、横溝正史の家系も複雑なのね。これは面白かった。 戸籍のみならず、作品の舞台となった年代の時代背景や日本各地 に残る犬神伝説にも言及されており、興味深く読んだ。 犬神家の悲劇の元凶はすべて佐兵衛にありってことで理解した。 理解した上で、やっぱり再読したいなぁ。 尚、私はジャニタレによる金田一耕助は嫌いである。金田一さん、 そんなイケメンじゃないんですけど。あ、それを言ったら、石坂浩二 もか。でも、石坂版の坂口良子は可愛いんだよな。
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『犬神家の一族』を戸籍という観点から精緻に考察する。改めて犬神家の複雑な血縁関係が浮かび上がる。単に重箱の隅を突くように作品の法的矛盾を論う作品ではない。おすすめ。
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本書は昨秋(2021年10月)に刊行されたものだが、僕が手に取ったのは今年の夏。同氏の著作は「戸籍と無戸籍──日本人の輪郭」を読んでおり、同様のテーマ(戸籍を題材として日本の家制度の根底にあるものを炙り出す)の本書を読むかどうか迷ったが、折しも「犬神家の一族」でヒロインを演じた...
本書は昨秋(2021年10月)に刊行されたものだが、僕が手に取ったのは今年の夏。同氏の著作は「戸籍と無戸籍──日本人の輪郭」を読んでおり、同様のテーマ(戸籍を題材として日本の家制度の根底にあるものを炙り出す)の本書を読むかどうか迷ったが、折しも「犬神家の一族」でヒロインを演じた女優・島田陽子夭折が報じられたばかりでもあり、子供の頃テレビの再放送で見た同映画が急に懐かしく思えて購入。 前掲書が、主に日本のイエ制度の起源を天皇を「家長」とし臣民を「家の一員」とする擬制された「一家」に求めるという趣旨だったのに対し、本書はもう少し柔らかく、映画の登場人物を題材に婚外子や妾、棄児などといった非典型的な属性が、戸籍制度上どのように扱われてきたかを論じる。そこかしこで披露される蘊蓄がなかなかに面白く、また深く考えさられる。個人的には中国や韓国における血縁や戸籍の扱いが、つい最近まで日本のそれと大きく異なっていた点などが興味深かったが、なんと言っても衝撃的だったのは原作者・横溝正史自身の放埒な父親が生み出した複雑極まりない家系図である。あの偏執的なまでの家系図に対する執着が、自身にルーツをもつものだとはついぞ知らなかった。 非常に読みやすい本であり、映画や原作に通じていなくても十分楽しめる。普段、意識することの少ない「戸籍」に思いを巡らすための契機としておすすめ。
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読みたい!と思ったきっかけは、佐清ファンだから(笑) 正確には佐清マスクのファン… 1976年の映画「犬神家の一族」が好きなことに加え、日本の戸籍制度に感じていたいろいろが学べて、個人的に有益な1冊となりました。 また作品の具体的な時代的な位置付けを知ることもできて、良かった...
読みたい!と思ったきっかけは、佐清ファンだから(笑) 正確には佐清マスクのファン… 1976年の映画「犬神家の一族」が好きなことに加え、日本の戸籍制度に感じていたいろいろが学べて、個人的に有益な1冊となりました。 また作品の具体的な時代的な位置付けを知ることもできて、良かったです。 なにより、原作未読、映画しか知らない私にとって、とある事実が衝撃的でした!2つくらい(※) その確認に原作読みたいなあと思うのですが、原作の表紙が怖くて、買いも借りもできません… (※)1つはお琴の師匠にまつわるエピソード、もう1つは佐兵衛翁の女性感と佐兵衛翁の子供時代のエピソード
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戸籍から読み解く「犬神家」。原作と映画の違いも多々あって面白かった。映画は何度観たか分からないほど観てるけど、原作は未読なので、今度、読んでみようかな。
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書評を読んで…20% タイトルに惹かれて…30% 籍とは、イエとは、家族とはを考えたくて…50% この本を買った理由とそのウェイトである。 7年前に妻と結婚した時、籍を妻の実家とした。正確な言い方をすれば、私と妻が結婚して新たに作られることになった籍を、便宜上妻の実家がある場所...
書評を読んで…20% タイトルに惹かれて…30% 籍とは、イエとは、家族とはを考えたくて…50% この本を買った理由とそのウェイトである。 7年前に妻と結婚した時、籍を妻の実家とした。正確な言い方をすれば、私と妻が結婚して新たに作られることになった籍を、便宜上妻の実家がある場所にした。私にとって籍とはそれぐらいの認識であり、別にどこにおいても全く問題ないもの想っていた。様々な住民サービスと結びつく住民票と異なり、本籍は法律行為との関係でも、日常生活と結びつく機会は稀である。 他方、昨年から今年の正月にかけて母方の祖父母が相次いで亡くなったことがきっかけで、もしもの時のために行政書類一式を集めた両親が、私の本籍が妻との入籍を期に妻の実家になったことを知り(入籍時に一応いった記憶はあるのだが)、相当ショックを受けたようだ。普段本心をあまり言わない母が、電話でいつになく真剣な口調で尋ねてきたことで、その大きさを図ることが出来た。 法律上の籍の扱いや私の感覚と、私の両親の籍に対する感覚にあるズレが気になっていたのだ。そしてその背後に、イエという存在があることにも気づいていた。実家で育った期間とその後の期間がそろそろ同じになるこの時期に、イエや家族、家族のつながりの意味を考えさせられる読後であった、
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求めていた本。横溝正史作品はそのトリックより背景(家庭環境や土着文化、歴史)が楽しめる私向け。自分の家が少し複雑なので、似ているところもあり興味があった。 小学生の時から金田一好きなのは、それでなのかな。祖父母が岡山から出てきた人で尚且つ、そのことを話さず、私が生まれてから1度も...
求めていた本。横溝正史作品はそのトリックより背景(家庭環境や土着文化、歴史)が楽しめる私向け。自分の家が少し複雑なので、似ているところもあり興味があった。 小学生の時から金田一好きなのは、それでなのかな。祖父母が岡山から出てきた人で尚且つ、そのことを話さず、私が生まれてから1度も帰ってきないのは未だに謎。そんな謎を膨らませる犬神家の戸籍。素晴らしい。
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犬神家をベースに日本の戸籍制度の変遷について学べる一冊。横溝・角川・市川崑監督シリーズを楽しんできたものとしては手に取らずにいられなかった。2章目までが読み進め辛かったのは著者が「映画では犬神家の複雑な家族関係がわからない」と色々と説明を試みるが、76年の映画では全く問題なく血縁...
犬神家をベースに日本の戸籍制度の変遷について学べる一冊。横溝・角川・市川崑監督シリーズを楽しんできたものとしては手に取らずにいられなかった。2章目までが読み進め辛かったのは著者が「映画では犬神家の複雑な家族関係がわからない」と色々と説明を試みるが、76年の映画では全く問題なく血縁関係などわかったのでまどろっこしかったためだろう。犬神家の事件の設定と日本の戸籍制度の変革が絶妙なタイミングであることは面白い。76年の映画でその複雑な部分、特に青沼菊乃・静馬親子に関する部分は改変されてしまっているが。また犬神家よりも横溝正史自身の家族関係の方が事実なだけに興味を惹かれた。戸籍から読み解ける男尊女卑、家族内の序列・差別、日本の家制度のありようについて考えさせてくれる一冊。 著者がこの経歴で非正規雇用という事で日本の大学事情についても考えてしまった。
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