文学部の逆襲 の商品レビュー
資本主義と民主主義は、もう豊かさも希望ももたらさない。幸せな人生を生きるには、新しい時代を切り拓かねばならない。そのために必要なのは、「大きな物語」と解く書籍。 現在の新自由主義経済の下では、大多数の人々が豊かさを得られていない。それを是正すべき政治も資本によって買収されており...
資本主義と民主主義は、もう豊かさも希望ももたらさない。幸せな人生を生きるには、新しい時代を切り拓かねばならない。そのために必要なのは、「大きな物語」と解く書籍。 現在の新自由主義経済の下では、大多数の人々が豊かさを得られていない。それを是正すべき政治も資本によって買収されており、民主主義は機能不全に陥っている。 今の閉塞状況を打開する可能性があるのが、AI(人工知能)である。しかしAIは生産性を高めるが、その業務に携わる人間の職を奪う。そしてAIは人間の知的業務を代替するため、失業者は行き場がない「構造的失業」となる可能性が高い。 一方、AIによる生産性の向上は、格差などの問題を解消する可能性も持つ。消費活動をしないAIが産出する富を人間に再分配すれば、労働は人間にとって必須の営みではなくなる。そしてAI時代は、少数の「経済的強者」が総取りできなくなる。 「物語」は我々の生活や社会の仕組みを規定する。人の心を動かす物語には、「主人公が冒険の旅に出る→敵や難題に遭遇→これらに打ち勝つ→日常の世界に戻る」という共通パターンがある。古今東西、人は同じ物語に共感する。 ある時代の人々が共有する、あるべき世の中の姿を含意した物語を「大きな物語」という。資本主義など、現代の大きな物語は機能不全に陥っているが、AI化時代に適合した新しい大きな物語が人々に共有されれば、人類は新しい時代へ進める。 AIの活用と、再分配の仕組みが実現すれば、富の量や金を稼ぐ能力の価値は一気に低下する。労働から解放された人類が迎える新しい世界は、遊びによる文化と交流を楽しむ世の中であり、人間がより人間らしく生きる世界である。
Posted by
2022/1/20 メモ ・消費税は新自由主義の典型例(消費の割合の多い貧困層を圧迫) ・日本企業はたびたび最高益を更新し内部留保を3倍以上に高めているが、労働者に還元されず非正規雇用が増加 ・経済成長は厚い中産階級によって成立する。超富裕層は消費性向が低いので国民経済成長に寄...
2022/1/20 メモ ・消費税は新自由主義の典型例(消費の割合の多い貧困層を圧迫) ・日本企業はたびたび最高益を更新し内部留保を3倍以上に高めているが、労働者に還元されず非正規雇用が増加 ・経済成長は厚い中産階級によって成立する。超富裕層は消費性向が低いので国民経済成長に寄与しない。 ・自由と平等のバランス。自由に傾いて格差が生まれないように再配分(ミル) →結局経済が鈍化し、ハイエクとフリードマンが新自由主義を提唱(とはいえ、再配分は留保) ・ノーム・チョムスキー 脳のメカニズムに起因する情報処理回路によって数多ある言語にも共通の文法が存在 ・物語 1世界と自信を認知する方法論 2集団の組織化 3社会を動かす 4普遍的パターンが存在 5共感を呼ぶ普遍性をもつ
Posted by
資本の暴走、民主主義の機能不全、これらが不可逆的に進行している世の中であることはそのとおりだろう。また、AIの技術が今後の社会構造を根本から変えていく要素があることも、きっとそのとおりだ。 だが、AIが生み出す財やサービスを、人々は皆須らく享受し得るのか。人類の労働時間が減少し、...
資本の暴走、民主主義の機能不全、これらが不可逆的に進行している世の中であることはそのとおりだろう。また、AIの技術が今後の社会構造を根本から変えていく要素があることも、きっとそのとおりだ。 だが、AIが生み出す財やサービスを、人々は皆須らく享受し得るのか。人類の労働時間が減少し、余暇を楽しむ時間が本当に増えるのか。そんなことを実現するのはほんの一握りの富裕層ではないか。一方、多くの雇用不能な人々があふれ、ますます格差が広がることにつながらないか。 ・・・結論に至る論旨はやや気になるものの、人文知が蔑ろにされているという主張そのものには全く同感。
Posted by
経済に関するトピック全体をこのような形でまとめてもらうと、大きな流れを把握するのが大変楽だと感じた.リーマン・ショックから以降に顕在化した格差の問題、企業優遇と庶民冷遇の流れがアベノミクスの成果となると、安倍晋三の評価はガタ落ちとなろうが、本書の最後に出てきたAIによる再分配政策...
経済に関するトピック全体をこのような形でまとめてもらうと、大きな流れを把握するのが大変楽だと感じた.リーマン・ショックから以降に顕在化した格差の問題、企業優遇と庶民冷遇の流れがアベノミクスの成果となると、安倍晋三の評価はガタ落ちとなろうが、本書の最後に出てきたAIによる再分配政策がうまく軌道に乗れば、希望が持てるかな感じた.
Posted by
タイトルと直接関係のある部分はほんの一部。それを把握した上で、その前提となる新しい資本主義の話やAIなどがメインで読みたい、そういった本をあまり読んでいない人にはいいと思う。
Posted by
「文学部の逆襲」という題が適当かは別として、古代、中世から近代資本主義の確立、新自由主義の罪、など人類が歩んできた道が分かりやすく書かれている。それが3分の2かな。 AIが今の格差社会、世界が抱える歪みを解決する大きな力になるという捉え方は実感としては分かりづらいが、時代が、変わ...
「文学部の逆襲」という題が適当かは別として、古代、中世から近代資本主義の確立、新自由主義の罪、など人類が歩んできた道が分かりやすく書かれている。それが3分の2かな。 AIが今の格差社会、世界が抱える歪みを解決する大きな力になるという捉え方は実感としては分かりづらいが、時代が、変わる時というのはそういうものなのかもしれない。 経済的な豊かさだけが幸福なのではないという価値観はその通りだと思うし、人間としての豊かさは遊びにあるというのもわかる。 自分が生きている間にパラダイムシフトはおきるのか?
Posted by
これから文学部の逆襲が始まるかもしれないAI技術が発達した現在の問題点などを踏まえた時代背景をわかりやすく書いてくれている。文学部の逆襲はこれからだ!みたいな感じで終わったので、しばらく後に続きを書いて欲しいところです。
Posted by
比較的わかりやすく、現代社会が置かれてるフェーズを理解できた。浅いという方もいらっしゃいましたが、正直自分には丁度という感じ笑 勉強しまーす
Posted by
読了して損したと久々に悔しい思いをした一冊。資本主義が勃興してから暴走するまでの歴史を浅くなぞり、民主主義の歴史と現代における機能不全までの過程を浅くなぞり、AIの発達による経済や労働へのインパクトを浅く問題提起し、次世代の大きな物語を作る必要性を浅く述べる。 浅すぎて知っている...
読了して損したと久々に悔しい思いをした一冊。資本主義が勃興してから暴走するまでの歴史を浅くなぞり、民主主義の歴史と現代における機能不全までの過程を浅くなぞり、AIの発達による経済や労働へのインパクトを浅く問題提起し、次世代の大きな物語を作る必要性を浅く述べる。 浅すぎて知っている情報しか書かれていないのが辛い。新しい知見が一切得られない。なんのために本書を読んだのか全然わからない。文学部の現代や次世代における重要性や活用の方法に踏み込んだ面白い内容を期待していたので完全に騙された。タイトル詐欺では?「資本と思想のうっすいレキチ」というタイトルにするべきだろう。
Posted by
タイトルに吸い寄せられるように手に取ってみたものの…期待したような人文知の深みのようなものは微塵もない。。著者の人文学の窮状や公権力による横暴への義憤には共感するところではあるけれど、序盤の資本主義、特に新自由主義の構造的欠陥を歴史的に論じるのは粗いとはいえ、よく言えば軽妙でさす...
タイトルに吸い寄せられるように手に取ってみたものの…期待したような人文知の深みのようなものは微塵もない。。著者の人文学の窮状や公権力による横暴への義憤には共感するところではあるけれど、序盤の資本主義、特に新自由主義の構造的欠陥を歴史的に論じるのは粗いとはいえ、よく言えば軽妙でさすがコンサルの人といったところなのだが、中盤でのAI賛美というか楽観論とのギャップに困惑。散々批判した新自由主義なり資本主義が仮にAI時代が来たとして手を拱いているだろうか。。そして、そこから人文知の有用性を説く件もあまりに雑。こんなレベルで通用するならコンサルってのはぬるい商売だなと。
Posted by
- 1
- 2