せき越えぬ の商品レビュー
期待は裏切られない。 じっくり考えることが苦手の行動派の武一と、 正反対、理論派の騎市、幼馴染の二人の友情物語。 読み終わった後、爽やかさが残る物語だった。 傷つくものは誰もいない。 初めから最後まで、正義感にあふれ、素直で 性格のいい武一の生きざまが 際立った。 女子の...
期待は裏切られない。 じっくり考えることが苦手の行動派の武一と、 正反対、理論派の騎市、幼馴染の二人の友情物語。 読み終わった後、爽やかさが残る物語だった。 傷つくものは誰もいない。 初めから最後まで、正義感にあふれ、素直で 性格のいい武一の生きざまが 際立った。 女子の出入りには、ことさら厳しい箱根関所の役人として 勤めることになった武一だが、あることをきっかけに 知り合い、心惹かれた女人、理世、そしてその夫だった 人物、木米を師と仰ぐ騎市のために、関所破りに挑む。 迷いながらも、己の信念、そして友情に生きることを 選んだ武一が、やはり、すがすがしい。
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関所が物語の中心。 今で言うと駅とかにあたるのだろうか。空港? 町中ではないところが舞台というのは(時代が違うから元々だけど)非日常で面白い。 箱根坂というとやはり駅伝が思い出されて、いつか歩きに行ってみたい… ミステリーじゃないけれど、物語に出てきた小さなあれこれが繋がって...
関所が物語の中心。 今で言うと駅とかにあたるのだろうか。空港? 町中ではないところが舞台というのは(時代が違うから元々だけど)非日常で面白い。 箱根坂というとやはり駅伝が思い出されて、いつか歩きに行ってみたい… ミステリーじゃないけれど、物語に出てきた小さなあれこれが繋がっていて、読み進めていくと、あ、あのことか、と記憶力を試される。 騎市ほとではないけど、頭で考える派なので武一のように思い立ったら行動な人は憧れる。 2人の続きが見たい。あと岡衛吉がいい。ずっと交流を続けてほしい。
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直木賞とってからさらに多くの本が出版された本屋の棚は溢れんばかりだ。手に取って読むとまた新しい違う文体で、やっぱり面白い。最初から面白いから。現代の闇を、事件を江戸時代に置き換えて描いたものが多くてわかりやすいね。箱根関所を超える物語はたくさん見てきたが、関所を守る務めるのは初め...
直木賞とってからさらに多くの本が出版された本屋の棚は溢れんばかりだ。手に取って読むとまた新しい違う文体で、やっぱり面白い。最初から面白いから。現代の闇を、事件を江戸時代に置き換えて描いたものが多くてわかりやすいね。箱根関所を超える物語はたくさん見てきたが、関所を守る務めるのは初めてだから、こんな役職にローテーションがあるんだ。最後にトモとの別れがあるのだが、あっさりと簡単に済ませてしまう。もっと身内が咎めを受けるとか思ったが、それは大丈夫みたいですね。関所を渡る人情噺もっと見てみたい
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西條奈加さんの描く登場人物の、対峙する人の心中を推察してその中心にあるものをなるべく大切に汲み取ろうとする様が素敵で夢中になって読んでいます。 武一の関所でのお勤めの日々、様々な問題に直面します。そのひとつひとつに心を動かし、時に怒り不貞腐れ、やきもきしたり。でもそんな日常の中で...
西條奈加さんの描く登場人物の、対峙する人の心中を推察してその中心にあるものをなるべく大切に汲み取ろうとする様が素敵で夢中になって読んでいます。 武一の関所でのお勤めの日々、様々な問題に直面します。そのひとつひとつに心を動かし、時に怒り不貞腐れ、やきもきしたり。でもそんな日常の中でも心の内で決して動かないひとつの柱として、幼なじみの騎市がいます。 忙しない日常に埋もれることない武一の心持ちは読んでいて背筋がしゃんとするような気持ちになります。
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「箱根の関所破り」である。 タイトルからして派手な冒険話になりそうだが、そうではなかった。逆に、そうではないからこそ、リアルなのかもしれない。 キャラ立てが良く、続編が出たら読みたい。
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箱根の関所役人の日常が、いつの間にか二宮金次郎やシーボルトまで登場する史実混じりの憂国の志士の物語に変わっていた。 でも、主要人物の造形が中途半端なのかイマイチ盛り上がりに欠けたなぁ。
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西條奈加の連作時代小説『せき越えぬ』を読みました。 『秋葉原先留交番ゆうれい付き』、『烏金』、『まるまるの毬』に続き、西條奈加の作品です。 -----story------------- たとえこの身に害が及んでも友を助けてみせる。 関所を巡る人間模様を描く人情時代小説。 東...
西條奈加の連作時代小説『せき越えぬ』を読みました。 『秋葉原先留交番ゆうれい付き』、『烏金』、『まるまるの毬』に続き、西條奈加の作品です。 -----story------------- たとえこの身に害が及んでも友を助けてみせる。 関所を巡る人間模様を描く人情時代小説。 東海道箱根の関所には、曰くありげな旅人が訪れる。 離縁され故郷に帰る女。 江戸から夜逃げをした夫婦……。 実直な番士武藤一之介は、親友の騎山市之助から関所に関する法外な依頼をされる。 一之介は逡巡するも決断する。 友の人生の岐路に際し何もしないのは裏切りも同然。 たとえこの身に害が及んでも必ず友を助けなければならない――。 関所をめぐる人間ドラマを描いた圧巻の人情時代小説。 ----------------------- 2019年(平成31年)に刊行… 箱根関所を舞台に、そこで働く役人、関所を越える人たちのドラマを全6篇の連作で描いた作品です。 ■せき越えぬ ■氷目付(こおりめつけ) ■涼暮撫子(すずくれなでしこ) ■相撲始末 ■瓦の州(かわらのくに) ■関を越える者 ■解説 末國善己 越すか、越さぬか―― ここは人生の峠を迎えた者に決断を迫る場所… 思わぬなりゆきから箱根の関守となった若き小田原藩士・武一、、、 東海道・箱根の関所には、今日も切実な事情を抱えた旅人がやって来る… 西国へ帰る訳ありげな兄妹、江戸から夜逃げしてきた臨月の女、そして命を賭して一人の男にこの国の未来を託そうとする人々を知ったことで、武一の身にも人生最大の岐路が訪れる。 黄昏を迎えた江戸の世で、若い関守の目に映る究極の人間ドラマ… さらに彼自身が迎える最大の岐路を鮮やかに描き出す骨太な時代小説。 箱根の関所を舞台に、そこで働く役人、関所を越える人たちのドラマを連作形式で描いた物語… ひょんなことから関所に務めることになった小田原藩の藩士・武藤一之介(通称・武一)の目線から物語は描かれています、、、 関所を舞台にした時代小説は珍しいんじゃないですかね… 旅人を関所側から見る視点が新鮮でしたね。 同じ「いちのすけ」という名を持ち、家柄は違うが、同じ道場の門下生で親友同士の武一と騎山市之助(通称・騎市)の友情や、関所の伴頭・保山の理不尽な振舞い、関所を越えようとする押し込みへの対応、関所の人見女・千野理世に対する武一の淡い恋心、関所を越える直前で産気づき女児を出産したことにより新たな手形が必要となったわけありの夫婦への対応 等々、人情モノ的なエピソードを紡ぎながら、物語は緊迫した展開へ、、、 クライマックスは、シーボルト事件と絡めた緊張感のあるエピソード… 人見女・理世の夫で改革の志を抱く巴田木米とともに西国に逃れようとする親友・騎市を救うための道を武一が切り拓きます。 テンポも切れ味も良く、読みやすい作品だったし印象には残るけど… 終盤の展開が駆け足気味であっけなかった部分が、やや物足りなかったかな。
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若者達が友人を信じ、家を超えて助け合う物語。この若者達の友情が清々しくて爽快だ。 小田原藩の軽輩の息子と重臣の息子が剣道場を通じて、身分の垣根無く付き合ってきた。この気持ちが続き、関所の足軽や関所で同様にトラブルとなった同輩達とも親しく付き合うようになる。それを通じて関所の不正を...
若者達が友人を信じ、家を超えて助け合う物語。この若者達の友情が清々しくて爽快だ。 小田原藩の軽輩の息子と重臣の息子が剣道場を通じて、身分の垣根無く付き合ってきた。この気持ちが続き、関所の足軽や関所で同様にトラブルとなった同輩達とも親しく付き合うようになる。それを通じて関所の不正を協同で質したことにより、関所の番人に抜擢される。 以前出会った女性と片想いの恋の行方も有りつつ、親友の大罪への手助けをどこまですべきか悩む主人公。やはり、家よりも友情を取った姿に感銘する。
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文庫本の表紙絵からは、時代小説の形を借りたライトノベルの様相。しかし、内容はしっかりとした小説。 思わぬことから箱根関所の番士を命じられた「武一」と、親友の「騎市」とを中心に話が進められる。 表題作の『関越えぬ』は、武一と呼ばれる若者が、出会った女性に一目惚れをする話し。 2編目...
文庫本の表紙絵からは、時代小説の形を借りたライトノベルの様相。しかし、内容はしっかりとした小説。 思わぬことから箱根関所の番士を命じられた「武一」と、親友の「騎市」とを中心に話が進められる。 表題作の『関越えぬ』は、武一と呼ばれる若者が、出会った女性に一目惚れをする話し。 2編目の『氷目付』。箱根関所の番士の武一と彼の上司の話は、現代の新入社員の物語に似通う。 関所で起こる事件ともつかぬ出来事が3,4,5編と綴られて、最終編でにわかに一転スリリングな展開となる。 関所番士の武一が、あろうことかある人物の関所破りを騎市から依頼される。命を賭けて、友を助ける友情物語は清々しい読後感をもたらす。
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