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くらしのアナキズム の商品レビュー

3.7

42件のお客様レビュー

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2024/04/30

アナキズムとは危険思想ではない。政治も経済も機能しなくなった世界への備えである。大震災やパンデミックを経験したからこそわかる、国家が無政府状態に陥った時のための、日頃からのコミュニティの耕しかた、民主主義の有り様など、瞠目する示唆が満載。

Posted byブクログ

2024/04/20

人類の長い歴史から見れば国家ができたのは最近。国家がなくても大混乱にはならない(マダガスカルの小さな町・エチオピアの村)。自然災害が起きると、国家の機能は一時的に機能麻痺に陥る。アナキズムは達成すべき目標ではない。しかし、身近な暮らしから(下から)公共をつくるとき、その知恵を得る...

人類の長い歴史から見れば国家ができたのは最近。国家がなくても大混乱にはならない(マダガスカルの小さな町・エチオピアの村)。自然災害が起きると、国家の機能は一時的に機能麻痺に陥る。アナキズムは達成すべき目標ではない。しかし、身近な暮らしから(下から)公共をつくるとき、その知恵を得るための出発点になる。

Posted byブクログ

2024/03/09

タイトルの印象と反して(?)、民主主義というものが何なのか自分なりに納得できた一冊。そうだよなー、多数決が民主主義だと思ってたけど、それによって切り捨てられる人たちがいるなら、全然民主主義とは言えない。そして民主主義誕生以前の未開社会がそれを乗り越える工夫を持っていたとは!という...

タイトルの印象と反して(?)、民主主義というものが何なのか自分なりに納得できた一冊。そうだよなー、多数決が民主主義だと思ってたけど、それによって切り捨てられる人たちがいるなら、全然民主主義とは言えない。そして民主主義誕生以前の未開社会がそれを乗り越える工夫を持っていたとは!という驚き。 とはいえ、本書の著者が認める通り(p.230)「複雑で厳しい現実を前にどうしたらよいのか、処方箋になる具体策」が示されているわけではないかもしれない。でも大きなヒントがあるように感じた。 個人的にはp.66あたり、オードリー・タンの引用などが印象に残る。自分なりに解釈すると「政治」の目的というのは、タンの言う「誰もが安全だと感じる居場所」を準備することだ。だから、その意味で政治の現場というのは、議会や選挙では全くない。そう考えると、先日読んだ「水車小屋のネネ」を思い出してしまって、あの登場人物たちはお互いに、みんなで「安全な居場所」を得るために懸命になっていたよな、と。本書の一つのケーススタディのようにも感じた。 本書が大きく下敷きにしたデヴィッド・グレーバーは、気になりつつまだ読んだことがないけど、どれも刺激的で面白そう。ジェームズ・スコットの『実践日々のアナキズム』も読んでみたいし、オードリー・タンや台湾の「ひまわり学生運動」のことも改めてもっと知ってみたい。

Posted byブクログ

2024/02/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

市場や国家などのシステムの外に出ることがイメージできないほど、今の暮らしは多くの人にとって効率の良いシステムの中に閉じ込められている。 それは暮らしを楽しく豊かにするのかという根源的な問題が置き去りにされていて、様々な言説や事象を通して、そのシステムの外の世界があることを示してくれている。 本全体を通して、コミュニティー、人間関係について考えさせられた。 本の至るところにハッとするような言葉があったので、また時間おいて読み直してみたい。

Posted byブクログ

2024/02/24

国家に過度に依存した日本人への処方箋を示してくれます。システムに頼り切ってしまって相互補助をするコミュニティを手放してしまった日本人ですが、災害などでそのシステムが機能しなくなる脆弱性を持っています。確かに、海外の人と接したりすると、世界的に見ても日本人がいかに家族も近所も人間関...

国家に過度に依存した日本人への処方箋を示してくれます。システムに頼り切ってしまって相互補助をするコミュニティを手放してしまった日本人ですが、災害などでそのシステムが機能しなくなる脆弱性を持っています。確かに、海外の人と接したりすると、世界的に見ても日本人がいかに家族も近所も人間関係が希薄で会話が少ないかということを実感します。 アナキズムというタイトルですが、無国家主義を主張しているわけではなく、国家の中にそういったコミュニティを持っておきましょうという現実的な提案がされています。そのコミュニティは構成員を縛って何かを強制するようなものではなく、長い時間をかけて議論を重ね、全員の合意を形成するための場であることが重要だといいます。 納得はできるのですが、一方でそんなコミュニティがなく自由に生きられる今の生活を手離したくないという人も多いのではないでしょうか。そこに対する対応策を考えていく必要がありそうだなと感じました。

Posted byブクログ

2024/02/14

意図的に国家支配から逃れるゾミアの民とエチオピアでの体験談が 中心に語られる。読解力が無いせいかもしれないが目指すべきゴールが見えない。 農村での忖度と根回しは◯だが農村を指示基盤にもつ現政権与党の忖度と根回しは✕。思いやりが大切でルールは不要だが新自由主義による規制緩和は✕。 ...

意図的に国家支配から逃れるゾミアの民とエチオピアでの体験談が 中心に語られる。読解力が無いせいかもしれないが目指すべきゴールが見えない。 農村での忖度と根回しは◯だが農村を指示基盤にもつ現政権与党の忖度と根回しは✕。思いやりが大切でルールは不要だが新自由主義による規制緩和は✕。 少しずつ変えていきたいのか?革命起こしたいのか?

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2024/02/13

 秩序を保つためには「国家」がなければならない。現代社会に生きている自分たちにとって国家は自明のものだし、国家がなければ困ると考えている。  でもそれは本当なのだろうか。国に頼らずとも、自分たちで「公共」をつくり、守ることができる、それがアナキズムなのだ、と著者は言う。  そして...

 秩序を保つためには「国家」がなければならない。現代社会に生きている自分たちにとって国家は自明のものだし、国家がなければ困ると考えている。  でもそれは本当なのだろうか。国に頼らずとも、自分たちで「公共」をつくり、守ることができる、それがアナキズムなのだ、と著者は言う。  そして、モースの『贈与論』、デヴィッド・グレーバーの『アナーキスト人類学のための断章』、ジェームズ・スコットの『反穀物の人類史』『ゾミア』等の人類学的知見、宮本常一、きだみのるの日本社会に関する民俗誌などを参照しながら、生活者のできることに目を向ける「くらしのアナキズム」を考えていく。  大きな災害があれば、人はできる範囲で助け合おうとする。「市場」(しじょう)は資本主義の原理で動くが、「市場」(いちば)は非日常空間だったt  「アナキズム」というと反国家というイメージが強かったが、くらしのアナキズムであれば、誰でもがある程度のことはできるかもしれない、それを実感できた。  

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2024/10/12

私は自分の方から関係を作るのを諦めていたと思って反省した。一方、筆者のエチオピアでの体験を読んでいて、だんだんとハードルを高く設定しすぎてるのではないかとも感じた。バスなんかで隣り合った人同士はお喋りをするものという空気があって、とりあえず「タチャウト!」(楽しんで、話して)と投...

私は自分の方から関係を作るのを諦めていたと思って反省した。一方、筆者のエチオピアでの体験を読んでいて、だんだんとハードルを高く設定しすぎてるのではないかとも感じた。バスなんかで隣り合った人同士はお喋りをするものという空気があって、とりあえず「タチャウト!」(楽しんで、話して)と投げかけられるそうだ。しかし、寡黙な人は「イシ」(オーケー)と返すだけで必ずしも話が盛り上がるとは限らない。私は今日この本を読みながら電車に乗りこむと、乗客の1人が持っていた水筒からコーヒーが漏れ出たらしく、床がビシャビシャになっていた。液体を踏まないように、それでいてその発生源をジロジロ見ることもないように注意した。まるで何事もなかったかのようにエレガントに振る舞った。我々は公共空間において互いを無視し合っている。それに慣れきってしまって間抜けで愉快なハプニングに遭遇してもどう反応して良いか分からなくなった。せめて乗り込んですぐ近くの乗客と挨拶くらいできていたら、笑ったり汚れた床を一緒に拭いたりできたかもしれないのに

Posted byブクログ

2024/01/06

【関心を持った箇所】 それぞれの「くらし」に立ちもどりながら、能力に応じて貢献し、必要に応じて与えられる状況をつくること。そのために異なる意見をもつ他者とのコンヴィヴィアルな対話が求められること。 国家を暮らしのための道具とみなした上で自分たちの「くらし」を作り上げるアナキズム。

Posted byブクログ

2023/01/21

「力は自分たちのなかにある」というラストの章タイトルが印象的。対話が大切という後半の指摘も。当たり前だと思っていた多数決などの仕組みが本当に機能しているのか、自分たちにとって必要なことが生み出せているのか。生活の前提をいろいろ再考したくなる書。

Posted byブクログ