カミサマはそういない の商品レビュー
ミステリ調、ホラー調、ファンタジー調とさまざまなテイストの、しかしどれもダークさを感じさせる短篇集。閉塞した世界観、幸福感のない結末と、どんよりした気分になりますが、ラスト一作はまだ爽やかさが多少あったので救われるかも。個人的には、もちろん救いようのない物語も大好きですが(苦笑)...
ミステリ調、ホラー調、ファンタジー調とさまざまなテイストの、しかしどれもダークさを感じさせる短篇集。閉塞した世界観、幸福感のない結末と、どんよりした気分になりますが、ラスト一作はまだ爽やかさが多少あったので救われるかも。個人的には、もちろん救いようのない物語も大好きですが(苦笑)。 お気に入りは「潮風吹いて、ゴンドラ揺れる」。遊園地で出会うピエロの殺人鬼、というだけでもうわくわくしてしまいました。謎めいた展開にサスペンス、こういうの大好きです。そしてこれが一番邪悪な世界かも。 でも「見張り塔」も邪悪さでは負けていないかも。むしろこちらのほうが現実感がある分、「嫌な話」かもしれません。戦争中の狂った論理や常識というのは往々にしてあるものなので、こういうシチュエーションも起こらないとは限らないよなあ。
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短編集。 題名通り、カミサマはいないと感じてしまう。 印象に残ったのはストーカーの話。いつのまにかその世界にとりこまれてしまうところが怖い。わかった時にはもう戻れない。
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救いのない短編揃いの中で、最後の『新しい音楽、海賊ラジオ』でほんのり光を感じさせてくれて、ほっとした。 でも、それぞれの短編の中で、あえていろいろ説明されていないので、思考力が試されている感は心地よかった。
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えー、こんなこと実際にあったら怖ーい!と思う、「なさそうでありそう」な出来事が起きる物語たちが新鮮で面白かった。
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短編集。なんか恐かった。いろんな国、日本?アジアっぽいとこアメリカヨーロッパいろんなどこともわからない国、そしてちょっとずれた世界の話。異世界っていうかなんかずれてるって言ったほうがしっくりする。そしてどれもなんか救われない話。全部読むと結構疲れます、メンタルやられる。
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初読み作家さん。 色々な世界観でこれだけの短編が書けるのがすごい。明るい話ではないけれど、大人のファンタジー。
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読み終わったけど。。。。 残ったのは「深緑さん、こんな話も書くんだ」という感想だけ。 短編7作。ホラーなのかな?ダークファンタジー?ミステリー? なんだかピンときませんでした。でも、深緑さん、むしろこちらが本領なのかな。
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新しいジャンルかも知れない。単発アニメの原作として成立するネ~1伊藤が消えた:3人目のルームメイトと引き入れた伊藤は大学を卒業して就職して彼女もいるのだと言うが,家業の温泉宿を継ぐといって新幹線に乗った筈なのに帰っていない。レンタカーに息をせずに乗せられてままだった。2潮風吹いて,ゴンドラ揺れる:寂しい遊園地のゴンドラで目覚めた僕は黒焦げの死体を見つけ,いじめっ子が殺されているのを見つけ,お化け屋敷では町外れに住むロリコンが首だけになっているが,ピエロに扮装した風変わりな女の子がレイプの復讐をしているのだった。3見張り塔:隊長から見張り塔から敵を狙撃するように命じられたが何か違和感がある。どんどん戦友の数は減り,空襲も高射砲も静かなままだ。戦争は終わったらしいが,見張り塔に就いている我々だけが生き残ったらしいのだが,兵士は自殺を禁じられている。4ストーカーVS盗撮魔:ちょっとしたヒントでイタい投稿をしている奴を特定したが,盗撮魔に逆に追い詰められ,アパートの一室に閉じ込められ,投稿者を特定する仕事を押しつけられた。5饎(漢字が見つからない)奇譚:年に一度の放出の日に空腹で陽に当たると消えてしまうらしいが,それが僕の身に現実として出て来た。あの日に戻れれば,違う人生が送れるはずだ。時空を超えて正しい方向に向かわせようとするが…。6新しい音楽,海賊ラジオ:小さな陸地に閉じ込められて暮らす社会は面白くない。電波も限られていて新しい曲も年間60曲。海賊ラジオの話を聞いて,詩を書く人を見つけ,噂を聞いて海の乗り出すが,放送局は殆ど人が訪れないらしく,便乗した子供たちに歌を唱わせて放送した~本屋大賞の候補作なんだったっけ?本屋に並んでいましたが,図書館であっさり借りられた。Netflixで流れてきそう。うーん,全体的に閉塞感が漂う。超短編の「朔日晦日」(眼をカミサマに取られてしまった兄の話)を落としていた。男性なのかなぁ…調べてみたら40手前の女性だった。そういえば,描くのは少年でどろどろした性欲は表現されていなかったかも。
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現代日本の話から近未来、異世界で起きる奇妙な話を集めた短篇集。同居人が実家に帰る途中で消えた「伊藤が消えた」は話の展開が読めるが、舞台が現実とは離れて行くに従って奇妙の風味が強くなり薄気味の悪い読後感が残る。戦争中の監視塔での話「見張り塔」や異世界の中で異世界に迷い込む「饑奇譚」...
現代日本の話から近未来、異世界で起きる奇妙な話を集めた短篇集。同居人が実家に帰る途中で消えた「伊藤が消えた」は話の展開が読めるが、舞台が現実とは離れて行くに従って奇妙の風味が強くなり薄気味の悪い読後感が残る。戦争中の監視塔での話「見張り塔」や異世界の中で異世界に迷い込む「饑奇譚」での風の動きが感じられる世界の描き方でそういえば「オーブランの少女」もそうだったなと思いだした。海に侵食された世界で音楽を求める少年の小さな冒険「新しい音楽、海賊ラジオ」が世界観と未来を感じる締め方が好み。兄が魅入られたのは神様か魔か「朔日晦日」の雰囲気も好きだ。
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ミステリー、ホラー、昔話、SFなど、いろいろなジャンルの話が詰め込まれていて贅沢な短編集だった。 短い話の中に世界がぎゅっと凝縮されて面白かったです。
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