カミサマはそういない の商品レビュー
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短編。おもろく印象的な話と、変わった世界観の話があった。 圧倒的に「潮風吹いて、ゴンドラ揺れる」が良かった!!! ・伊藤が消えた ★★★ タイトルがなんか良い! タイトル通り伊藤は殺されて消えたんやけど、伊藤含め3人で同居してて同居人達がやばい。と言うより伊藤以外の登場人物全員やばい。 主人公の信太は伊藤のお金と通帳盗むし、伊藤の彼女はその信太と浮気する。 堤は伊藤を殺すし、伊藤の父は潰れた旅館の負担を伊藤に強いろうとしてるよう。 伊藤が不憫や。 ・潮風吹いて、ゴンドラ揺れる ★★★★★ むっちゃ良かった!! バッドエンドで無限ループ。 誰もいない遊園地、ピエロに追いかけられて殺される。むっちゃワクワクなシチュエーション! ホラー映画でありそうやけど本では、あんまりないシチュエーションかも! 楽しく一気読み!! ・朔日晦日 ★★★★ 怖くないけど、ちょっとホラー要素あり。 目にゴマ粒みたいなのが出来て、見えないものが見えてだけど怖くな、なんだか楽しそう! と、思ったらその目を取りに来られるとか、嫌。 超!短くて一瞬で読めるけど、長さに対して内容が濃かった。 ・見張り塔 ★★★ 日本の戦時中の話かと思ったら、日本ではなさそう。 オチは読めたけど、バッドエンドやし話の中でもハッピー要素ゼロやし、悲しい。 ・ストーカーVS盗撮魔 ★★★★ タイトルからしてバリおもろい!! ちょっとオチが残念やったけど、ストーカーが主人公の話。 キモい男が女の人をストーカーするのではなく、ネットにある一般人の情報特定するって話。 ・饑奇譚 ★★★ 世界観を理解するのに時間かかった。 ディストピアな雰囲気で、嫌いじゃない。 始めは微妙やったけど途中から面白くなって一気読み。 ・新しい音楽、海賊ラジオ ★★★ 陸の面積が狭くなって海が広がった世界の話。 陸だった所は海に呑まれて文明ごと沈む。 物資や電波も制限され、政府に内緒でラジオから流れると噂の音楽が聴ける海賊ラジオを探す話。 前半はディストピアな雰囲気で後半はなんだか清々しい感じだった。
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私はどうもこの人の少し薄暗く昔作られた近未来の映像みたいな世界がとても好きらしい。 意味のわからない一日がある世界。陸が沈んで波音に包まれた世界。実は選ばれた人々が集められた町。好きだなー!
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書き手は同一だが短編集なので玉石混淆といった具合か。いや、そもそも玉となるものが一つもなく残念だった。 7編収録されているが (1)伊藤が消えた(2)潮風吹いて、ゴンドラ揺れる は☆1もつけたくないほど酷い。 正直、こんなのでも本として出してもらえるんだ、と別な視点で感心してしま...
書き手は同一だが短編集なので玉石混淆といった具合か。いや、そもそも玉となるものが一つもなく残念だった。 7編収録されているが (1)伊藤が消えた(2)潮風吹いて、ゴンドラ揺れる は☆1もつけたくないほど酷い。 正直、こんなのでも本として出してもらえるんだ、と別な視点で感心してしまうほど酷く、我慢して読み進めた。特に(2)は厨二病が好きそうな舞台設定(それが悪いわけではなく、むしろ私は好きな方。廃墟の遊園地とか最高に好きなのだが)、それを厨二病として片付けられない展開があるかと思ったけど、そのまんまで終了。無料投稿サイトから引っ張ってきたんじゃないかと思うほどでガッカリ。 (3)朔日晦日 はかなり短く、うーーーーっすら不気味な空気が出てきたかな?というところでおわってしまう。結局何を伝えたかったの? (4)見張り塔 はこの短編集の中では1番好みだったが、展開と結末がかなり早い段階で予想できてしまい、しかもその通りの結末… (5)ストーカーvs盗撮魔(6)饑奇譚(7)新しい音楽、海賊ラジオ 悪くはないが、かといっておもしろくもない… 短編集だから、ということなのか、総じてどの作品も薄っぺらい。ホラーとして怖さを残したいのかヒューマン物として気持ちの動きに注目させたいのか、それすらも不明。 この作者さんは短編集は向いてない、絶対に。 文章の流れ方は嫌いじゃないのでこの方の別な本を読んで仕切り直そうと思う。 この本に限定して言えば、(3)見張り塔 以外は読むのは時間の無駄だった。 とはいえ見張り塔も傑作には程遠く、正直言ってこの本はオススメできない。知人から聞かれたら、時間の無駄だったと答えるしかない。
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深緑野分は本当にどんなジャンルも書けて素晴らしいな!? 読み終わった後に嫌な余韻を引きずる分(それがクセになるからまた困る)最後に収録されてる作品が心に染みる。 希望があって良いな。 『ストーカーVS盗撮魔』の潔すぎるオチには笑ってしまった。
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現代日本、近未来、異世界ー 様々な舞台で描かれる圧倒的絶望。 この物語に救いの「カミサマ」はいるのか。 この惹句に魅かれて手に取った一冊。 常に見られていて、自分の意志を持てない管理社会。 管理されていると自覚しないまま操られている社会。 以前に読んだ吉村萬壱氏の「ボラード病...
現代日本、近未来、異世界ー 様々な舞台で描かれる圧倒的絶望。 この物語に救いの「カミサマ」はいるのか。 この惹句に魅かれて手に取った一冊。 常に見られていて、自分の意志を持てない管理社会。 管理されていると自覚しないまま操られている社会。 以前に読んだ吉村萬壱氏の「ボラード病」を思い出した。
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話が繋がってるかと思ってワクワクして読んでたが、途中で短編集だということに気づいて、、そっと閉じました。。
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こんなにはっきりと最後が報われない小説は初めて読んだ。どの物語にもカミサマがいなくて、特に「見張り塔」と「饑奇譚」はずば抜けて救われなかった。 見張り塔 最後の場面で二番が一番に「あとは頼んだ」って言ってて、一番だけでも救われるのかと期待してしまった。そんなことなかった。仲間が次々消えていってしまうのが怖かった。 饑奇譚 雰囲気がとても苦しかった。息が詰まる感じ。主人公の子が何歳くらいのかわからないけど、あの選択肢は酷だなぁって思った。カメムシのお爺さんすら救われなかった。 でも、最後の「新しい音楽、海賊ラジオ」は素敵な終わり方。海面が上昇しまくった後の世界っていう舞台がもう素敵‼︎自分の好きなことを探しに行きたい。
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どれもなかなかの絶望をもたらしてくれる、なんともいえない後味の7編を収めた短編集。 舞台が現代日本で読みやすくだんだんまさかと思わせてくれるテンポのよくキャッチーな「伊藤が消えた」を先頭に置いて、急にガラッと現代日本ではなく幻想的でアメリカホラーチックな雰囲気を醸し出す「潮風吹い...
どれもなかなかの絶望をもたらしてくれる、なんともいえない後味の7編を収めた短編集。 舞台が現代日本で読みやすくだんだんまさかと思わせてくれるテンポのよくキャッチーな「伊藤が消えた」を先頭に置いて、急にガラッと現代日本ではなく幻想的でアメリカホラーチックな雰囲気を醸し出す「潮風吹いて、ゴンドラ揺れる」が続く構成が、個人的にうまいなぁと思った。 ガラッと世界観変えてきてさあついてこれるかな?みたいな。 いろんな世界観を用意してくれているので、好みの短編が人によって分かれそうなのも面白い。 ちなみに私は「潮風吹いて、〜」と「見張り塔」が好きです。「飢奇譚」もなかなか。 基本的に全部絶望的な終わり方をしているんだけど、最後の「新しい音楽、海賊ラジオ」はある意味異色というか、ディストピアではあるんだけど、最後に相応しくどこか爽やかで希望の見える印象を与えてくれる。 ただ、最後の一文をどう解釈するかで希望があると見做せるか絶望的と見做せるかが分かれそうで…また私はこの一文がどう意味なのかよく分からなかったので、わかる人こっそり教えてください…と思っちゃう。 この最後の一文の意味次第でこのお話の印象変わりそうなんで… 備忘録がてら各話タイトル ・伊藤が消えた ・潮風吹いて、ゴンドラ揺れる ・朔日晦日(ついたちつごもり) ・見張り塔 ・ストーカーVS盗撮魔 ・飢奇譚 ・新しい音楽、海賊ラジオ
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ダークな短編集という通りどれも希望がないように感じる内容の7編。ただ狂気や恐怖の類いではなく救いがない世界ではない。幻想的な世界観だからそう感じるだけかもしれないが、「ストーカーVS盗撮魔」は現代的でゾッとする。どの作品でも主人公は望まない状況に追い込まれて絶望や諦めを受け入れざ...
ダークな短編集という通りどれも希望がないように感じる内容の7編。ただ狂気や恐怖の類いではなく救いがない世界ではない。幻想的な世界観だからそう感じるだけかもしれないが、「ストーカーVS盗撮魔」は現代的でゾッとする。どの作品でも主人公は望まない状況に追い込まれて絶望や諦めを受け入れざるを得ないように感じる。最後の「新しい音楽、海賊ラジオ」は少し違い、どうにもできない世界の中でちょっとだけ自ら進むことができたように感じた。「カミサマはそういない」のだけど少しは希望があるのかもしれない。
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