つみびと の商品レビュー
“鬼母”と呼ばれた蓮音、蓮音の母親 琴音、蓮音の子どもモモタとモネの3つの視点で語られる、ネグレクトを題材にした物語。まさか実際の事件をもとにしていたとは。 モモがどんどん弱っていく様を見るのはつらかった。 まさに虐待の連鎖、なんだけど、それは「血」なのか「環境」なのか…蓮音が生...
“鬼母”と呼ばれた蓮音、蓮音の母親 琴音、蓮音の子どもモモタとモネの3つの視点で語られる、ネグレクトを題材にした物語。まさか実際の事件をもとにしていたとは。 モモがどんどん弱っていく様を見るのはつらかった。 まさに虐待の連鎖、なんだけど、それは「血」なのか「環境」なのか…蓮音が生まれ育った地は閉鎖的な土地なのだろう、「血縁」が重視され過ぎている点も悲しい。
Posted by
二人の幼い子どもを放置して死なせてしまった母は鬼畜と呼ばれた、でも・・・その母は不幸な生い立ちであった。ネグレクト・虐待は連鎖する。だからといって仕方ないとはならない。やっぱり今回の小説(事件)に出てくる母蓮音には同情できない。琴音から蓮音へと続く不幸の連鎖は確かに気の毒だし、そ...
二人の幼い子どもを放置して死なせてしまった母は鬼畜と呼ばれた、でも・・・その母は不幸な生い立ちであった。ネグレクト・虐待は連鎖する。だからといって仕方ないとはならない。やっぱり今回の小説(事件)に出てくる母蓮音には同情できない。琴音から蓮音へと続く不幸の連鎖は確かに気の毒だし、その影響は計り知れないとは思うけど、蓮音の身勝手さに読んでてイライラした。子どもたちがただただ可哀想。やるせないです。
Posted by
身を置く環境は大事だと思った 琴音も蓮音も、音吉や笹谷も、 それぞれ育った環境が分岐点になっているのだろうが、 みんな素直で真面目な人という印象を受けた 蓮音だけが鬼と呼ばれ非難され重い刑を受けたが、 「つみびと」は決して蓮音だけじゃないよね、と思った 育児放棄や赤ちゃんの遺体...
身を置く環境は大事だと思った 琴音も蓮音も、音吉や笹谷も、 それぞれ育った環境が分岐点になっているのだろうが、 みんな素直で真面目な人という印象を受けた 蓮音だけが鬼と呼ばれ非難され重い刑を受けたが、 「つみびと」は決して蓮音だけじゃないよね、と思った 育児放棄や赤ちゃんの遺体遺棄事件で逮捕される女性達が頭をよぎった 「逃げる」と「放り出す」は似て非なるものだと気付いた 色々な視点から糸を撚り合わせるように話が進んでいき、とても惹き込まれた 山田詠美って後味の悪い気持ちになると思ってばかりいたけど、 それと同時に読みやすいんだなと思った
Posted by
2010年7月、大阪で実際に起きた二児置き去り死事件をモチーフにしたフィクション。 23歳の蓮音(はすね)は、 幼い二人の子ら(4歳と3歳)を狭いマンションの一室に置き去りにして、自分は遊び呆けていた。そして真夏の灼熱地獄の中、幼い子供たちは、餓えと渇きで死んでいった。 テレビ...
2010年7月、大阪で実際に起きた二児置き去り死事件をモチーフにしたフィクション。 23歳の蓮音(はすね)は、 幼い二人の子ら(4歳と3歳)を狭いマンションの一室に置き去りにして、自分は遊び呆けていた。そして真夏の灼熱地獄の中、幼い子供たちは、餓えと渇きで死んでいった。 テレビのニュースやワイドショーでは「ネグレクト」だ、「鬼母」だと連日とりあげられ、世の中から糾弾され、また蓮音の周りの関係者たちも執拗に問い詰め苦しめられる。 なぜ蓮音は愛していたはずの幼な子二人をマンションに置き去りにしたのか。 この悲惨な出来事はなぜ起きてしまったのか。何が蓮音をこうさせたのか、、、。 蓮音の家族に長年続いた育児放棄や暴力の連鎖が悪い方悪い方に向かって奈落の底に堕ちていく様が深く掘り下げられる。 生い立ちや境遇のせいだけではない何かがあるんだろうと想像力を働かせながら読むけど正直、胸糞悪くてなかなか読み進まなかった。しかも文章がびっしりで、その上時系列が突然変わったり、琴音と蓮音で紛らわしい母娘の名前に頭がこんがらがった。 本当に罪深いのは誰なのか、と言われてもね。 男たちがクズすぎるし、依存する女たちもクズだし。 ただ、マスコミ報道などを鵜呑みにして母親だけを悪者にしてはいけないと思った。 (昨今のいろんな事件についても) 巻末に掲載されている、精神科医で作家の春日武彦さんとの対談がとても興味深かった。 2024/10/4読了
Posted by
「子宮に沈める」を見る勇気がなかったので、こちらを手に取った。つらいことしか書かれていないのだが、スルスル読めてしまうので、さすが山田詠美と思う。登場人物たちのバックボーンを物凄く丁寧に掘り下げている。 モモとモネっちは100%被害者だ。何せ、たった4歳と3歳の子供で、無条件に愛...
「子宮に沈める」を見る勇気がなかったので、こちらを手に取った。つらいことしか書かれていないのだが、スルスル読めてしまうので、さすが山田詠美と思う。登場人物たちのバックボーンを物凄く丁寧に掘り下げている。 モモとモネっちは100%被害者だ。何せ、たった4歳と3歳の子供で、無条件に愛されて護られるべき存在なのだから。でもそれは、琴音と蓮音が子供だった時もそうだったはずなのだ。 彼女たちは生き延びて大人になったけど、体は大人でも抱えているものは子供の頃から変わっていなくて、傷は癒えず、癒し方も分からず、癒す場所もない。 蓮音がしたことは絶対に許されないけれど、そこに至る全てが理不尽だとも思った。 なんかこう、大なり小なり、嫌な現実から目を背けてみたものの、もう一度直視するには背ける前にみつめた何倍もの勇気と気力が必要になる、あの感覚。蓮音の焦りみたいなものが、なんとなく想像できてしまうのが、また辛かった。
Posted by
実際の事件に基づいた作品だからリアリティーに溢れていて、そうだろうなというような憶測の通りに苦しい展開が丁寧に狂わずに続く。 読みたい、読んで何かしたくなる作品でも光もない。それがただただ事実が故、もどかしい気持ちでいっぱいになる。
Posted by
実在の事件を基にした作品。幼子2人を放置して死に至らしめた主人公の生い立ち。母のネグレクト。悲惨だけど、恋の描写は甘くて山田詠美の作品だということを思い出す。 母子手帳をもらった帰り一気読みした。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
大阪で起こった二児餓死事件を題材にした小説。 子どもを置いて帰らず、死なせてしまった母親の蓮音の生い立ちとその母である琴音の生い立ちと、死んでしまった子どもたちの様子とが繰り返しで語られる構成。 蓮音の母である琴音は幼い時に、継父に性的虐待を受けていた。 その後、結婚して子どもを蓮音の他に2人産むが、子どもたちを置いて家を出る。 そして長女だった蓮音は妹たちの世話をした。 その後、蓮音も結婚して子ども2人を授かるが、結婚生活は上手く行かず離婚となる。 蓮音は誰にも頼れず、なんとか子どもたちとの生活も試みていたが、力尽きたというか、母親の前に女が優先されたように見える。 もう少しどうにかならなかったのか… いつでも、人間としてのプライドが邪魔をしているような気がする。 仕方ないのか… 色々と複雑になるが、子どもだけはなんとか助けて欲しかった。 2024.6.24
Posted by
極上の読書体験。 自分が経験できない体験を、なんの代償も無しに味わえるのが読書の醍醐味なのだとしたら、最上級。 しかし、面白かったといえば、否。 内容にあまりにも救いが無い。どう足掻いても。 〈小さきものたち〉の段が丁寧語で表現されているのは、子供が自分の感情を言語化出来な...
極上の読書体験。 自分が経験できない体験を、なんの代償も無しに味わえるのが読書の醍醐味なのだとしたら、最上級。 しかし、面白かったといえば、否。 内容にあまりにも救いが無い。どう足掻いても。 〈小さきものたち〉の段が丁寧語で表現されているのは、子供が自分の感情を言語化出来ない様子を第三者視点で語らせてるようでもあり、あどけなさやいたいけなさを表しているようであり、健気。 田舎の嫌な部分を濾し出したような、『少年のアビス』にも通ずる絶望感。閉鎖環境での救いの無さ。情報の秘匿など不可能。外に出たがる者と内に留まる者。 境遇・環境・教養・教育。学歴の違いが生み出した悲劇と、そう簡単に片付けてはいけないが、登場する人物に圧倒的に足りないのは、他人に対する想像力。持ってるのは森永さんくらい。 私も、想像力を養い続ける為に本を読む。 幸も不幸も自分次第。
Posted by
2010年に大阪で起きたネグレクトによる二児餓死事件をもとにした小説。 母親、祖母、子供たちの視点から繰り返し語られるので、それぞれの事情やその時の気持ちがすれ違う様子がわかり、苦しく、読むのが辛かったです。 今もどこかで助けを求められない母親や虐待に苦しんでいても声をあげら...
2010年に大阪で起きたネグレクトによる二児餓死事件をもとにした小説。 母親、祖母、子供たちの視点から繰り返し語られるので、それぞれの事情やその時の気持ちがすれ違う様子がわかり、苦しく、読むのが辛かったです。 今もどこかで助けを求められない母親や虐待に苦しんでいても声をあげられない子供達がいるかと思うと本当に辛いです。 母親一人が処罰され責められるけれど、一人の問題ではないということを理解し、助けを求めたり助けやすい社会の仕組みがもっとできることを願うばかりです。 家庭のことだから介入が難しいことも想像できるので、そのためにはどうすればいいのだろう。 この事件から12年経つけれど、同様のネグレクトや虐待による死亡事件は無くならないのが悲しいです。
Posted by