道具箱はささやく の商品レビュー

長岡弘樹(著者)

2023/06/27

18のショートショートストーリー。
いろんな味のおせんべいが入った、詰め合わせの箱みたいな本です。

読んだあとに気分が悪くなったり、突き放されたような気持ちになるような話はなく、どちらかというと「あー、分かる分かる」と思ったり、ちょっとしみじみしたり、なるほどねとうなづいたりするような作品が多い。
わたしが好きなのは、最後の『狩人の日曜日』。
まったく話が読めなかったし、もしあの場面を実際に目にしたらと思うと、ぞくぞくするしワクワクもする。

小中学生の頃は、星新一や阿刀田高などをよく読んだ。
ショートショートではないけど、O.Henryの短編集も大好き。
ちょっと時間があるときに気軽にさくっと読めるから、こういう本は本棚の端っこに並べておいて、忘れてしまった頃にまた読み返したいと思う。

2023/06/10

奇想天外で、あっと驚くショートショートが18作品。
犯人当てや犯行方法、動機当て、倒叙モノなど、タイプの異なるミステリーが、コンパクトに収録されています。

それぞれの作品は、最後の1行で、どんでん返しのパンチが効いています。
改めて、たった原稿用紙20枚に、これだけのストーリーが思い付きますね。凄いです。

特に、『苦い厨房』、『ヴィリプラカの微笑』、『仮面の視線』、『虚飾の闇』、『ある冬のジョーク』などは、ひねりが効いて好きです。

2023/03/19

18編のショートショートのミステリ集！
おぉっていうのもありますが、ちょっと強引というのもあります(笑)
楽しめます

■声探偵
200人超が参加するパーティに逃げ込んだ犯人を捜す出す物語。
なるほどなって思います

■リバーシブルな秋休み
離婚後一人娘を育てている女性。公園で遊んでいた娘の服を脱がしていたという怪しい男の正体は？
なんとなく、予想できる話(笑)

■苦い厨房
新メニュー開発で競争していた二人。
窃盗犯をあぶりだしたその方法とは？
ひねりが効いています。

■風水の紅
嫁姑の話。風水に基づいた化粧と姑の怪我。
これは、よくわからんかった。

■ヴィリプラカの微笑
靴屋の夫婦喧嘩をもとにした話。
これはブラックで面白い。

■仮面の視線
インドの工事現場に派遣された技術者の話。
これもブラック感があって好きです。
でも、このプロットってどこかで読んだようなきがします。

■戦争ごっこ
自宅からいなくなってしまった認知症の老人を探し出す話。
いまいちかな。

■曇った観覧車
恋愛ミステリー
ちょっと強引でいまいち。

■不義の旋律
不倫の話。男の家が放火。犯人は誰？という展開

■意中の交差点
探偵助手の女性が、最後の仕事で、令嬢に意中の相手がいるかどうかを調べる話。
うーん、いまいち

■色褪せたムンテラ
息子が入院している病院で起きた事件。
これは、いろいろ効いていて面白かった。

■遠くて近い森
ペンションに訪ねてきた女性。ペンションのオーナが渡したプレゼントとは？
なんとなくわかる展開ですが、これはよかった。

■虚飾の闇
アイドルとそのマネージャの物語。
これはブラックで面白い！

■レコーディングダイエット
自身の身の危険に迫る数々の事故。
その事故の真相にうなりますが、ちょっと強引。

■父の川
離婚騒動の中、姉妹も離ればなれに。
父親はどちらを選ぶのか？
この物語は、嫌いです。

■ある冬のジョーク
ジョークを使って、犯人を追い詰める物語。
これは正直無理がある。

■嫉妬のストラテジー
看護師の女性と医者、そして恋人の中で起きた事件。
これまたブラックで面白い

■狩人の日曜日
殺人予告をする犯人。その犯人は誰？そして犯行を止めた方法とは？
これは、ちょっと強引な展開だと思います。

ということで、いろいろてんこ盛りのショートショート集ですが、楽しめました。

お勧め！

2022/09/17

　このスタイルは、短編ではなくショートショートと言うのでしょうか。少ないページに余分なく読者の目を放さない要素が詰まっていて唸るばかりでした。
　本人の言葉を聞かずに本心を感じる根拠の数々が読み進まないと分からない。最後の一文字まで進んで納得する時と、更なるカラクリを推察するときとで読み手にも選択肢を備えてくれている気がした。
　周りには内緒で、感心して唸りたいときには長岡さんがいいです。

2022/04/30

ショートショートで読んじゃうのがもったいないような作品群。読みごたえあり、余韻あり。作家ってすごい！
「苦い厨房」「戦争ごっこ」が特によかったです。

2022/01/28

再読

順番にペットがいなくなる。なんで？　こんな感じの単一謎に単一回答が用意される作品群。実はこのベットの話しは大好きだ。

他にも、提示される主人公たちの謎の行動とその回答が素晴らしい作品がたくさんある。

京都の夜にちょうどよい物語だった。満足。

2021/10/27

18の事件のちょっとしたヒントが解決を呼ぶ。
なるほど から おもしろい まで 色々な反応をしながら読み進む 20ページに満たない短編達。いろんな道具が入ってました

2021/10/03

それぞれ味のある短編集。
読み手により、好みの分かれるところだか、何となく以前よく読んでいた、ショートショート的な雰囲気を思い出した。

2021/09/18

短編よりもさらに短いショートショート集という触れ込みだが、なかなかの充実ぶり。南谷刑事物と嫉妬のストラテジーが好み。