地中の星 の商品レビュー
門井氏の史実をもとにした小説は、当時の人たちの熱意が伝わってくる。 今回、東京に地下鉄を作ろうと奮起した人々の想いもそうなのだが、渋谷から出て一度新橋に南下するという蛇行した路線の理由もわかって面白かった。
Posted by
東京に地下鉄を通した早川徳次を描いた小説。地下鉄事業は民間感覚に進められたが、軍国主義が進む中で政府の統制が強まり、鉄道省所管の帝都高速度交通営団と半公有化されてしまった。戦後も営団地下鉄は存続し続けた。ようやく21世紀になってから株式会社になった。1940年体制の弊害である。公...
東京に地下鉄を通した早川徳次を描いた小説。地下鉄事業は民間感覚に進められたが、軍国主義が進む中で政府の統制が強まり、鉄道省所管の帝都高速度交通営団と半公有化されてしまった。戦後も営団地下鉄は存続し続けた。ようやく21世紀になってから株式会社になった。1940年体制の弊害である。公務員主導経済には怒りと呆れがある。
Posted by
書評のとおり「プロジェクトX」なテイストだった。もはや電気や水と同じように”常にそこにある”のが当たり前な地下鉄って、実はこんな風に始まったとは。登場人物からして近代史の勉強。ただ、五島慶太は知っていたが、この早川徳次は知りませんでした。今度、銀座駅に行ったときに銅像を見に行かね...
書評のとおり「プロジェクトX」なテイストだった。もはや電気や水と同じように”常にそこにある”のが当たり前な地下鉄って、実はこんな風に始まったとは。登場人物からして近代史の勉強。ただ、五島慶太は知っていたが、この早川徳次は知りませんでした。今度、銀座駅に行ったときに銅像を見に行かねば! 営団地下鉄という呼称がもう懐かしくなってしまいましたが、開戦前夜から終戦までにいろんなものが”営団”化された、という話も新鮮でした。
Posted by
「銀河鉄道の父」のように、誰もがそういう人はいたことは知っていても、人としての有り様については無知であった人物の顕彰のための本だな。 五島慶太についても、初めてその人物像を知った気がする。
Posted by
東京初、東洋初となる地下鉄を作った早川徳次のお話。 普段全く意識しないで乗ってる地下鉄にまつわる本なので、読んでいて非常に面白く読み応えがありました。
Posted by
地下鉄の歴史を知ることができました。最後は会社を取られてしまいましたが、地下鉄にかける情熱が心に届きました。そして、それを支えた市井の人々の気概にも心を打たれました。
Posted by
講談を聞いているような軽快なタッチの文章に引き込まれ、いつのまにか黙読する声が神田伯山に。「地下鉄の一番のメリットは安全、正確な運行。近代というのは時計の時代。鉄道の急所と言うべきは時刻表通りの正確な運行。安全とは、純粋に効率の問題でもある」なのに現代では、地上の電車と無理矢理結...
講談を聞いているような軽快なタッチの文章に引き込まれ、いつのまにか黙読する声が神田伯山に。「地下鉄の一番のメリットは安全、正確な運行。近代というのは時計の時代。鉄道の急所と言うべきは時刻表通りの正確な運行。安全とは、純粋に効率の問題でもある」なのに現代では、地上の電車と無理矢理結んでそのメリットを台無しに!徳次はあの世でどう思っている?
Posted by
ただ淡々と話しは進んでいく。大きな夢があるから、多くのものを巻き込み結果を出していく、死後も残る仕事になる。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『プロジェクトX』と昨年の大河ドラマ『青天を衝け』を掛け合わせたような物語。 今や通勤通学など都市部で暮らす人々にとって無くてはならない”足”のような存在の地下鉄。 そこに無いものを有るものにする。言うのは簡単だけれど、実現させる苦労は並大抵のことではないと改めて思い知った。 ロンドンなど西洋の文明国にしか存在しなかった地下鉄を、東京の地中に造る。 「地盤がゆるい、地震がこわい」誰もがそう言って反対する中で強行突破する意志の強さ。 未経験の仕事にぶつける男たちの技術者としてのプライド。 そんな熱き心が、今の日本の文明水準を押し上げたと言っても過言ではない。 それにしても、この『地中の星』というこの表題は、中島みゆきの『地上の星』を意識してのことに違いない。 お陰でずっと頭の中で中島みゆきの歌が繰り返された。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
おもしろかった。 日本の地下鉄の父、早川徳次さん山梨出身なんですね。 早川さんのみならず、実際に掘った職人の方達にも焦点を当てたお話でした。何事も一番最初に始める人達が一番苦労するのは世の常です。 やはり史実は辛い。 一度、銀座駅にある早川徳次さんの胸像を拝みに行きたいと思いました。
Posted by