パワー・オブ・ザ・ドッグ の商品レビュー
映画がとても良かったので読みました。映画よりも丁寧に分かりやすく描いてくれており、作品のテーマの見え方も全然違いました。とても良かったです。
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映画を観て、これは原作を読んだらよりわかるものがあるはずだ、と手に取った。 ものすごく繊細で詳細に描かれたひとたちの、それぞれの生き様(愛)を、その歪さと純粋さを感じた、気がする。映画の余白の多い感じも好きだし、原作小説の繊細さもすき。なんだろう、常に一歩引いたような描き方だから...
映画を観て、これは原作を読んだらよりわかるものがあるはずだ、と手に取った。 ものすごく繊細で詳細に描かれたひとたちの、それぞれの生き様(愛)を、その歪さと純粋さを感じた、気がする。映画の余白の多い感じも好きだし、原作小説の繊細さもすき。なんだろう、常に一歩引いたような描き方だからなのか、詳しく書かれてるのに、それが歪さを引き立てて、逆に肝心な部分ははっきりと明確に言葉にされてなくて後半は手が止められない感じだった。(私が読み取れてない見逃してる場合もあるけども…) すごいな。 強くて弱くて攻撃的で繊細なフィルという人物を、愛しく思った。映画でも思ったけど。 映画も小説も、私はそれぞれ好きだな。 またいつか読み直したいなと思う。
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対象的な性格のフィルとジョージは裕福 な牧場主として兄弟の日々はそれぞれ 同じときを共に過ごし何も問題なく日々は 過ぎていた。 そこにある日ジョージが未亡人のローズ と結婚しフィルとジョージ夫婦三人の 生活が始まるが危うい綱渡りの様な三人の 関係がこれから何かがはしまる序章として...
対象的な性格のフィルとジョージは裕福 な牧場主として兄弟の日々はそれぞれ 同じときを共に過ごし何も問題なく日々は 過ぎていた。 そこにある日ジョージが未亡人のローズ と結婚しフィルとジョージ夫婦三人の 生活が始まるが危うい綱渡りの様な三人の 関係がこれから何かがはしまる序章として 不安を駆り立てる。 ローズの息子ピーターも弱々しくあるが 何処か不安にさせる冷静さに底知れない 闇を感じさせる。 最後の最後にはとにかく驚かれた‼︎
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ものすごい牽引力のある語りで、途中で読むのを止められなかった。 本屋で最初の数ページを立ち読みした時点で「止められないモード」となってしまい、イッキ読み。 ジェットコースターのような展開があるわけではなく、話は淡々と進んでいく。 なのに、なぜか読むのがやめられないの。続きが気に...
ものすごい牽引力のある語りで、途中で読むのを止められなかった。 本屋で最初の数ページを立ち読みした時点で「止められないモード」となってしまい、イッキ読み。 ジェットコースターのような展開があるわけではなく、話は淡々と進んでいく。 なのに、なぜか読むのがやめられないの。続きが気になって気になって。 牧場を共同経営する兄弟の片方に、ある日突然恋人ができ、・・・という、言ってみれば割とよくある家族の愛憎劇なのだけど、そういう話にありがちなメロドラマ感は全くなくて、1ページ目からずっと文章が緊張感に満ちている。読んでいる私もはりつめていて、おかげで落ち着いて本を置く隙が全くない。何かに追われるようにどんどん読んでしまう。 加えて、雇われカウボーイたちの描写がさらに独特の雰囲気を添えている。 時代設定は "Roaring 20's" と言われた1920年半ば。牧場経営はすでに時代遅れになりつつある頃。 通信販売のカタログのページを何度も眺め、書き慣れない文字と格闘しながら発注書を書き、商品の到着を待つことが娯楽の一つとなっている男たち。 一人の若いカウボーイが書きかけた手紙の「おかさん カウボーイでいるっていいだよ」という素朴な文章に象徴される、彼らの粗野で無学な様子、未来のなさ、厳しい労働環境の描写は、すべてがまるで「滅びゆく種族」に対する挽歌のように哀切で、読んでいて時々激しく胸にこみあげてくるものがあった。 フィルの「孤独」も切なかった。 私も小さな田舎の過疎の町で育って、文学とか抽象的なことについて語り合うような友達は大学に入るまで見つからなかったので、知に対するある種の飢餓感のようなものをずっと感じながら大きくなったのだが、そうした欲求が満たされる環境になるまでは、自分がそれをどんなに欲しがっていたかすら分かっていなかったことなどをぼんやりと思い出した。 それ以外にも、アメリカ社会の病的なまでの「男らしさ」への信頼や、世代交代における旧世代の無力さとか、人の心の奥の底知れなさとか、社会が押し付ける縛りから自由であるとはどういうことか、などなど、いろいろと考えさせられることがもりだくさんの小説だった。 読み終わった後で、映画化されていると知った。 しかも今年のアカデミー賞で監督賞受賞したって! ちょっと驚いた。小説を読んだ限りでは、このおもしろさは小説でしか表現できないものだなぁ、などと考えていたので。 きっと映画として、別のおもしろさが加わっているんだろうと思う。 別の作品として、ぜひ見たいです。 正直に言うと、フィルは私の中ではカンバーバッチのイメージではないけれど。(ちょっと品が良すぎる気が・・・)
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第94回アカデミー賞で11部門にノミネートされた同名映画(受賞は監督賞のみ)の原作本。同時期に別々の出版社から単行本と文庫本が出版された。 映画はすでに観たが、世界的に絶賛されているわりにぼくにはピンと来なくて、アカデミー賞の結果を待ってから原作を読もうと思っていた。結果、映画に...
第94回アカデミー賞で11部門にノミネートされた同名映画(受賞は監督賞のみ)の原作本。同時期に別々の出版社から単行本と文庫本が出版された。 映画はすでに観たが、世界的に絶賛されているわりにぼくにはピンと来なくて、アカデミー賞の結果を待ってから原作を読もうと思っていた。結果、映画にはない細部が山盛りで、原作のほうが断然良かった……のか、映画を観た後だから相乗効果でそう思うのか。 カンバーバッチの主演男優賞、惜しかったな。←映画の感想だって(-_-;)
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
先に映画を観て、の感想。 ピーターの静かな狂気は予想通りだったけれど、フィルの自己矛盾というかずれというか、そういうのが本の方がわかりやすかったです。 フィルの感情と行動のアンバランスさみたいなのが淡々と描かれていた。映画だとわからなかったローズの虚しさ空っぽさも本の方がわかりやすかった。自分をよく見せたいとか自分がどう思われてるかとかそういうことばっかり気にしてしまう愚かさとか。 言語化うまくできないのですが、フィルの淋しさと攻撃性と、他人(特に弟)を傷つけることでしか生を実感できず、支配していると思っていた弟がフィルから離れていくことを恐れていること、彼の生き方、愛国主義者で男らしさに囚われている彼が自分の気持ちに向き合えなかった結果と、なんでも知っていて頭の回転が早いフィルが生涯理解できなかったのは自分自身のことだけかなと思う、最後に感じた運命を最後まで運命だと思えていたのだろうか、思えていたらいい、でも頭のいいフィルのことだから自分が死ぬ原因もピーターの思惑も最後の間際に全て悟っていたのではと思う、それに気がついた時のフィルの気持ちを考えてしまう、それも運命だと思ったかもしれないし、ブロンコヘンリーと自分にしかわからなかった"山の見方"をわかってくれる存在をフィルはずっと待ってたんだろうなと思うと…彼の繊細さや感受性の豊かさや愛など誰にも理解されず自分でもそれを封じ込めて生きて、あああ〜やっぱり私はフィルが好きみたいです…(が、ここまでフィルを好きなのはベネディクトカンバーバッチが演じていたことによる影響も大きいと思うので、彼以外が演じてここまで好きになれたかはわからない) ピーターもフィルになにかしらの特別な感情はあったと思うのだけれど、それと"障害物を取り除く=母への愛"(そもそもあれは愛なのかも疑問)は別で、ピーターの中で二つとも共存していたのかなと思うけどどうなんでしょう…? ピーターの気持ちだけよくわからないままだった、わからないままのほうがいいと思うけど。 小説の最後に、"ピーターも犠牲を払った"とあるので、やっぱりフィルに対して何かしらの強い感情を抱いていたのかな…んん〜どうかなあ、、普通に神への裏切り的な意味かなあ…最後の部分だけ何回も読み直して何回も考えてるけどわからない…どうなんでしょう… ローズもピーターの計画を知っていたの?ピーターがローズに話すとは思えなかったけど話したっぽい描写があったので… 個人的にはローズは何も知らないままでいてほしい この物語のこと、ずっと考えている、ずっと考えていたい
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淡々とストーリーが進む今作。映画の方も拝見しましたが、原作のほうが内容が詳細。 フィルは保守的な人物で人種差別や女性差別のいち面があり、1920年代の時代背景と人物の心理描写がうまいと感じた。
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翻訳者が巻末解説で書いているとおり、ぼくも「すごい本に出会ってしまった」。 1967年に本になった作品。原作者は1915生まれで2003年没。小説の背景は1920年代のモンタナ。 主人公は牧場主の兄弟。兄は、切れ者で、冷徹で、実務的で、仕事一筋。人からも尊敬されるが、...
翻訳者が巻末解説で書いているとおり、ぼくも「すごい本に出会ってしまった」。 1967年に本になった作品。原作者は1915生まれで2003年没。小説の背景は1920年代のモンタナ。 主人公は牧場主の兄弟。兄は、切れ者で、冷徹で、実務的で、仕事一筋。人からも尊敬されるが、心を表すことはあまりない。弟は、外見も内容でも兄に劣等感を感じてきたが、子連れの未亡人と結婚し家に引き入れることで、兄との間に次第に距離ができてゆく。 淡々と描かれてゆく牧場の労働者たちと経営者兄弟の日常。モンタナの美しくも厳しい自然の中で営まれる人間たちと家畜たちの日々。 短編小説をいくつも重ねたような切れ味で、エピソードが積み重ねられる中、明確なストーリーを感じずにいるのに、それでもページを繰る手が止まらない、そういう類いの小説である。 さらには、歴史小説としても読めるくらい、当時の移民・先住民・労働者などの生活や政治的経済的立場が活写されて無言の評価を作家的視点で下している点なども、かなり魅力的である。 濃縮された時間を、美しい文体と、氷のような不思議な緊張感の中で、何か不穏なものだけが感じられ、ページをきりりと締め付けているような、そんな一冊である。きりっと張りつめた空気を生み出す独特の文体も、豊かな個性で描き分けられた登場人物たちや、町の人たちの生活の活写を盛り上げられ、支えられてゆく。 小さな物語の蓄積で作られてゆく小説世界は、兄弟の生活に新しい妻と連れ子の若者が現われることで、安定を欠いてゆく。じわじわと張りつめてゆく緊張感と、三角関係から四角関係へ変容してゆく奇妙な怖さが、見えざるエンディングへの高まりを作ってゆく。 この作品は映画化され、この11月から上映館で、12月からNetflixで、公開される。こんな機会がなければ、作品が翻訳されることはなかったろう。作品の予告編はネットで観ることができる。予想通り、美しい映像である。優れた原作小説を味わった後、ぼくとしては映画館へ足を運び、この物語を再体験してみたいと思っている。 ともあれ長く埋もれていたこんな「すごい本」を読めるようになったことに、ただただ感謝! ちなみにドン・ウィンズロウの麻薬戦争三部作の第一作『犬の力』と、原文は同じタイトルであり、巻頭の引用も同じ以下のものである。 <私の魂をつるぎから、わたしのいのちを犬の力から救い出してください----『詩編』>
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緊張感が常に漂うような展開で、物語に引き込まれる。内容は巻末の説明でもある通り心理劇で、腹の探り合い的な展開で話が進む。ただ宣伝の帯の煽り文句と背表紙のあらすじは内容にそぐわない。
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