1,800円以上の注文で送料無料

刀伊の入寇 の商品レビュー

4

17件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    13

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/07/22

「刀伊の入寇」…高校で日本史を選択していてもサラッと用語のみの説明だけで終わることも多いだろう。しかし、古代日本の外交・国防を巡る上では重要な事件である。 刀伊の入寇そのものは雑に言ってしまうと「異民族の海賊のようなものが来たので撃退した」と言うだけであまり語られる部分は少ないの...

「刀伊の入寇」…高校で日本史を選択していてもサラッと用語のみの説明だけで終わることも多いだろう。しかし、古代日本の外交・国防を巡る上では重要な事件である。 刀伊の入寇そのものは雑に言ってしまうと「異民族の海賊のようなものが来たので撃退した」と言うだけであまり語られる部分は少ないのだが、なぜ侵入が起こったのか、当時の東アジア情勢を絡めて考察している。そこからは当時の朝廷が高麗をかなり警戒していたことなどが伺える。 また国内的な意義として、天慶の乱以来の兵(後の武士)の台頭の1プロセスであること、この時律令制度は形骸化していたと言われるが実はそれが一面の見方に過ぎないことなどが書かれている。

Posted byブクログ

2024/02/01

書名から戦記物を期待すると、ちょっと肩透かしかもしれないが、教科書にほんの1ー2行ほどしかない事件も様々な角度から見ると歴史のダイナミックな動きの一端が見える好例であると思う。 奈良時代の律令という外に開かれ、中央集権、データ集積の時代を経て、次第に外に閉じて、律令のローカライズ...

書名から戦記物を期待すると、ちょっと肩透かしかもしれないが、教科書にほんの1ー2行ほどしかない事件も様々な角度から見ると歴史のダイナミックな動きの一端が見える好例であると思う。 奈良時代の律令という外に開かれ、中央集権、データ集積の時代を経て、次第に外に閉じて、律令のローカライズ、地方分権が進んだ時代へと移行していく中で起きた事件であった。 これを撃退したのは、従来型の徴兵された兵士だけでなく、藤原隆家とその私兵と思われる武士団、蝦夷から転戦してきたと思われる、軍事専門の官吏(下級貴族)などであった。 また、鎖国され情報が乏しいなかで海外に対して抱く強い劣等感と裏返しとしての優越感が増強されていくさまは安易に比較はできないが、現代にも通じるものがあると思う。 ある意味、現在もアメリカ一強の終焉、資本主義の行き詰まり、民主主義のポピュリズム化、コロナ危機を経て、鎖国ではないまでも穏やかに閉じた時代へ移行し、国内でも地方分権や民主主義の手直し、クリーン化などが行われるのだろう。 ここで興味深いのは貴族から武士の時代への変化の兆しは刀伊の襲来からも見て取れるが、武士というのが従来の権威と別に出現したのではなく、藤原隆家のような従来の権威と密接に結びついて出現したことであると思う。 地方や軍事に無関心な貴族と、その裏で地方の有力者が武装化し武士化していったというストーリーは、あまりにステレオタイプで実装と違い、軍事官僚と中央貴族との結びつきから武士が誕生したその中間がわかる事件であった。

Posted byブクログ

2022/11/28

平安時代最大の対外危機である刀伊の入寇について、内と外の視点、前と後の視点から検証し、「海の日本史」の一端として描く。 日本史の教科書の脚注にちょびっと書かれていた記憶があるだけであまり具体的なイメージを持っていなかった刀伊の入寇が、古代から中世に移り変わっていく中での、特に軍制...

平安時代最大の対外危機である刀伊の入寇について、内と外の視点、前と後の視点から検証し、「海の日本史」の一端として描く。 日本史の教科書の脚注にちょびっと書かれていた記憶があるだけであまり具体的なイメージを持っていなかった刀伊の入寇が、古代から中世に移り変わっていく中での、特に軍制史的な観点から一つのエポックメーキングな出来事であったことについて理解が深まった。また、意外と日本側の被害が甚大であったことに吃驚した。 本書で紹介されている、刀伊に連れ去られた人や捕虜になった家族を奪還するために密航した人の体験談がとても興味深かった。こういう貴重な話が今に伝わるのも、藤原実資が詳細な日記を残してくれたからであり、実に有り難いことだと思う。

Posted byブクログ

2022/09/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最後まで興味深く読めた。 永井路子さんの「この世をば」でチラッと出てきた時に気になったものの、調べることもなく、今になって良い本が読めました。 日本の外交姿勢が1000年以上経ってもあまり変わらないような気がしてしまって、何といったら良いのやら。

Posted byブクログ

2022/09/08

平安時代最大の対外危機について、要因となった当時の東アジア情勢や国内の政治状況を踏まえ、武士台頭以前における王朝軍制の特質を検討する内容。内向きの対外認識の醸成過程や、武士論ともいえる内容も含み、参考になる視点も多い。

Posted byブクログ

2022/04/05

対外戦争とまでは行かないが平安期の外国からの侵入にたいしての考察。「武者の世」への視点、東アジアから見た視点など様々な考察が興味深い。

Posted byブクログ

2022/04/16

元寇以前の最大の海外からの武力侵攻である「刀伊の入寇」、日本政府(王朝政治)はどう対応したのか? 当時の東アジアの状況説明から入っている(結論から言うと、都に知らせが届いたときには既に撃退していたのだが) まあ、朝鮮半島との「ややこしい歴史」の一部というか、当時はもっと深刻にや...

元寇以前の最大の海外からの武力侵攻である「刀伊の入寇」、日本政府(王朝政治)はどう対応したのか? 当時の東アジアの状況説明から入っている(結論から言うと、都に知らせが届いたときには既に撃退していたのだが) まあ、朝鮮半島との「ややこしい歴史」の一部というか、当時はもっと深刻にややこしかったんだなとか、律令国家から弛緩したとは言え、太宰府と都の間の文書連絡は維持できていたんだなとか。 そして、刀伊を撃退した「やんごとなき武者」達は、武士として時代の中心に取って代わることになる。 最後に:刀伊とは、(≒東夷)からきてたのねと。 読みにくかった分☆一つ減

Posted byブクログ

2022/01/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

平安時代の外敵の侵攻事件を学術的に取り上げた本 平安時代における地政学といってもいいですかね。 歴史好きの理系として、単語は知っていたものの、特に気にも留めていなかった一幕であったので、マニアックな本だなぁ~と思い手に取ったところ存外に面白かった。 「小右記」(小野宮右大臣(実資のこと)の日記という意味らしい)の記載をベースに、様々な文献的考察を踏まえ、どいう経緯で起こったのか、さらに歴史の文脈の中でどう解釈されていったのかを述べていて、なんというかスタンダードな歴史研究の書という感想です。 女真族の侵攻ルートが「日本史サイエンス」で触れられていた蒙古襲来のパターンと非常に似ており、これは女真の海賊を討伐にあたっていたのが高麗軍で、元寇も高麗軍が主力だったことから、やっぱり「歴史は繰り返される」と。月並みですが。 翻ってみると、現代においても地政学的リスクは変わってないじゃんと思い立ち、地形によって民族の攻防は自動的に決まってしまい、人って進歩しないんだな、と少し気持ちが沈んで閉じました。 本は面白かったんですけどね。

Posted byブクログ

2022/01/07

平安時代に海の向こうからの進攻があった。それが「刀伊の入寇」である。九世紀の新羅進攻、十一世紀の刀伊来襲、十三世紀のモンゴル襲来が我が国が迎えた対外危機であった。刀伊は東夷であろうと言われている。高麗が女真族に圧迫を受けていた時代である。高麗から刀伊と言われていた女真族が朝鮮半島...

平安時代に海の向こうからの進攻があった。それが「刀伊の入寇」である。九世紀の新羅進攻、十一世紀の刀伊来襲、十三世紀のモンゴル襲来が我が国が迎えた対外危機であった。刀伊は東夷であろうと言われている。高麗が女真族に圧迫を受けていた時代である。高麗から刀伊と言われていた女真族が朝鮮半島を通って日本を襲撃したのだ。当時の東アジア情勢と日本の情勢を説明し、当時の人たちがこの危機にどのように対処したかを明らかにする。モンゴル来襲の前にこんなことがあったのだな。四方を海に囲まれている日本ではいつでも有りうることだったんだ。

Posted byブクログ

2021/12/04

源平のようないわゆる武士が出てくる少し前の時代がどうなっていたのか、が目新しかった。 ところどころ、文章が読みにくいなと思った。

Posted byブクログ