妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ の商品レビュー
この新書が出たとき、よかった、と思いました。本の帯文「フェミニズムの「落とし物」がここにある。」に関しては、 落としてないでしょう!「スピリチュアル・フェミニズム」という言葉がちゃんとあるでしょう!これも立派な「女性たちの営み」なんだから分断するんじゃないよ!なんでもかんでもフ...
この新書が出たとき、よかった、と思いました。本の帯文「フェミニズムの「落とし物」がここにある。」に関しては、 落としてないでしょう!「スピリチュアル・フェミニズム」という言葉がちゃんとあるでしょう!これも立派な「女性たちの営み」なんだから分断するんじゃないよ!なんでもかんでもフェミニズムの責任にしてるんじゃないよ!これこそが男性優位主義社会の問題でしょうが!と思いましたが。 求めていた本でした。 (「集英社新書」は、ジェンダー関連については、トピックをピンポイントに捉えた「そのものズバリ」なタイトルの本を出してくれるので、手に取りやすいですし、薦めやすいです)(そのぶん、まだ、このテーマについての本は出ていないのか……このトピックについてはまだないのか……と、もどかしい思いもするのですが) なぜ宗教に”ハマって”しまうのか、なぜスピリチュアルに”ハマって”しまうのか、頭ごなしに否定するまえに、バカにするまえに、彼女たちを取り巻く環境に、目を向けてみましょうよ、彼女たちにどんな態度をとってきたか、自身を振り返ってみましょうよ、他者の信仰は尊重すべきですし、他者の拠り所を腐したりするのは失礼な態度なんですよ、……と、事あるごとに呼びかけたりしているブッククラブです。 (個人名を出すことは避けますが、さまざまな立場の著名人たち……そのひとたちを、特に週刊誌メディアがどのように扱ってきたか、メディア論の観点からも、思うところありますし) (男性優位主義社会の”被害者たち”を男性優位主義者たちが”癒す”構図は、社会の随所に見られます、政治の世界にも見られますし、差別構造を下支えする仕組みにもなっていますので、社会学的観点からも、思うところありますし) (「宗教を信仰する男性たち」「スピリチュアル・占いに頼る男性たち」「ゲンを担ぐひとびと」についての研究もゆるく探しています。オウム真理教関連事件の研究より、もうすこし普遍的な問題として、”誰にでも起こりうること”として扱う本を探しています) 「スピリチュアル」については、その取り組みがセルフケア、セルフラブに向かっているぶんには、他者がとやかく言うことではないですが、他者と過剰に比べたり、他者に対してマウントをとったり、他者を差別したり、攻撃するようになってはダメですよ、というふうに、事あるごとに説明しています。 なんでもそうですが、他者の人権を侵害する「加害行為」に発展してはダメです。 女性の「女性らしさ」を肯定して称揚して礼賛してくれる、宗教やスピリチュアル、「女神信仰」や「母胎礼賛」の、女性は女性というだけで素晴らしいんだ、生理があって、妊娠して出産する女性は、それだけで素晴らしいんだ、という考え方が、一部の傷付いた女性たちの心を癒し、救うであろうことは、想像にかたくありません。 ただし、自分自身を癒し、鼓舞するにとどまらず、他者の在り方を否定したり、子どもを産めない・産まない女性をバカにしたり、「女性らしくない」女性を攻撃したり、トランスジェンダーを差別したりするのはダメです。 他者の名誉や尊厳を毀損したり、他者の人権を侵害する言動は、批判対象です。(詳しくは日本国憲法の第12条・第13条をご参照ください) 最新の生物学によると、この世は男女二元制では、はかれない、人間の性別は男女だけではない、と明らかになっています。(たまに「生物学的に、同性愛などありえない、トランスジェンダーなどありえない」というひとがいますが、嘘です) 宗教の「教義」に基づいて、「この世の性別は男女のみ」と主張するひともいますが、男性にも女性にもあてはまらない、ノンバイナリー(Xジェンダー)という在り方は、古来から、さまざまな国・社会・文化の中に存在しています。 世の中には、科学・生物学・進化論を認めない宗教もあります。「信教の自由」「思想信条の自由」「内心の自由」は、憲法でも認められている尊重されるべき権利です。が、他者の人権を侵害する自由はありません。 この世は男性と女性のみではない、「人間らしさ」とは、もっと多様である、という「事実」が、それぞれの「人間らしさ」を尊重することに繋がるように願っています。 また、あらゆる「依存」については、それが日常生活に支障をきたしている場合、世の中にはカウンセリングなどの支援もあるので、試しに”併用”してみては、と薦めています。頼れる場所は複数あるに越したことはない、という考えです。 (こういうハナシをしたいかた、ブッククラブでお待ちしております。できれば、お手伝いしていただけると、たいへん助かります。手が足りていないです。)
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オカルト好きならお馴染みの「あの界隈」について、「はじめに」を呼んだ時点で良書と分かる、とても良い著作だった。理性的かつフェアであろうとしており、社会への鋭い眼差しがある。 女性がある程度は自身の選択で妊娠や出産をすることが可能になった世の中ではあるけれども、選択の余地があるか...
オカルト好きならお馴染みの「あの界隈」について、「はじめに」を呼んだ時点で良書と分かる、とても良い著作だった。理性的かつフェアであろうとしており、社会への鋭い眼差しがある。 女性がある程度は自身の選択で妊娠や出産をすることが可能になった世の中ではあるけれども、選択の余地があるからこそ尚、決断には困難が伴う。そんな中で妊娠や出産が(ひいては女性の身体性を持つことが)素晴らしいことであるという確信への希求が、スピリチュアル市場」の根底にあるのではないか。というのが私なりに理解したところ。 読みたくなる参考文献も色々出てきてホクホク。 引用: したがって、「スピリチュアル市場」での妊娠・出産に関するコンテンツから透けて見えるのは、社会に対して女性たちが前向きに諦めようとする態度だとも言える。
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ホメオパシーやスピリチュアリズムと、産婦人科の関連がわかる。ジェンダーなどに疎い人でも理解できる内容。 産婦人科に限らず、代替医療や医療読み物、エビデンスなどが気になる方にオススメ。
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妊娠や出産に絡む精神性の問題をspiritualityとして議論しているが、何かピンと来ない.キーワードとして、子宮系、胎内記憶と自然なお産の3つを取り上げているが、非科学的な記述が見え隠れする本に焦点を当てて論評する形を取っており、その内容の評価は見えてこない.p182で、’’...
妊娠や出産に絡む精神性の問題をspiritualityとして議論しているが、何かピンと来ない.キーワードとして、子宮系、胎内記憶と自然なお産の3つを取り上げているが、非科学的な記述が見え隠れする本に焦点を当てて論評する形を取っており、その内容の評価は見えてこない.p182で、’’これまでの分析で明らかになったのは、「子宮系」や「胎内記憶」そして「自然なお産」のいずれでも共通しているのは、女性の身体性そのものに聖性を付与する価値観が貫かれているということである.’’ とまとめているが、これも何か的外れな感じがする.取り上げた本では、男性の存在についても無視している ようで大いに不満だ.
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スピリチュアル市場が盛り上がった時代に妊娠・出産した者としても、それを学問として扱ってくれる本書は有難い一冊でした。 男性によるスピリチュアル分析よりも当事者的で、そこが気になってた!というところに触れてくれています。 事例は少なく、傾向や分類というアプローチで、少し物足りなくも...
スピリチュアル市場が盛り上がった時代に妊娠・出産した者としても、それを学問として扱ってくれる本書は有難い一冊でした。 男性によるスピリチュアル分析よりも当事者的で、そこが気になってた!というところに触れてくれています。 事例は少なく、傾向や分類というアプローチで、少し物足りなくも感じるが、その辺りも当事者的な優しい関わりかたの現れかもしれない。嘲笑、攻撃にならないよう配慮されているように感じます。
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テーマがとても面白い。少し論の運び方が強引かな…と思ったのと、調査対象を書籍に絞っているところが不十分かと思った。が、それを余りあるテーマ設定の良さ。 命を育む不安にスピリチュアリティが入り込んでくるのは納得できるが、スピリチュアリティといっても色々あること。そしてそれらが「女...
テーマがとても面白い。少し論の運び方が強引かな…と思ったのと、調査対象を書籍に絞っているところが不十分かと思った。が、それを余りあるテーマ設定の良さ。 命を育む不安にスピリチュアリティが入り込んでくるのは納得できるが、スピリチュアリティといっても色々あること。そしてそれらが「女性」であることに肯定的な価値づけを置くこと、一方でフェミニズムが掬い切れていなかった領域でもあること。帯にある「フェミニズムの『落とし物』」という表現が絶妙。 これを読んだ後に、妊娠・出産関係のコンテンツを見ると、味わい深い…。
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とても良い本。誰も踏まないように書かれている。日本のフェミニズムが妊娠出産、子育てという不安な気持ちに寄り添ってこなかったこと、そのことについて考えさせられた。
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おもろいね。確かにいろいろあるよねー。羅列しただけで、論じてないのが残念か。それは読者に任せたということか。
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スピリチュアリティとは、新興宗教のように教団や教義によらず、個人がネットワークを通して聖性を希求する運動のこと。そのうえで大きな役割を果たしているのが、スピリチュアリティに関する情報・モノが取引される「スピリチュアル市場」だ。そこで近年台頭しているのが、妊娠出産をめぐるコンテンツ...
スピリチュアリティとは、新興宗教のように教団や教義によらず、個人がネットワークを通して聖性を希求する運動のこと。そのうえで大きな役割を果たしているのが、スピリチュアリティに関する情報・モノが取引される「スピリチュアル市場」だ。そこで近年台頭しているのが、妊娠出産をめぐるコンテンツだという。 生死にかかわることから、もともと宗教との結びつきが強い妊娠・出産は、近代化とともに医療の対象とされ、またフェミニズムの影響もあって、個人の自己決定に属する問題となってきた。ところが近年になってふたたび霊性と結びつく傾向が強まっているのだ。 本書は「子宮系」「体内記憶」「自然なお産」などの代表的なスピリチュアル言説をトンデモとして切り捨てるのでなく、そこに反映されている女性たちの欲望と葛藤を、フェミニズムとの関係を問うことで読みとこうとする。子宮を大切にすればすべてがうまくいく、胎児と対話ができる、男などいなくても妊娠できる…といった一見荒唐無稽な内容は、妊娠出産が選択した女性の自己責任とされ、パートナーの協力もなく過重な負担と不安に向き合わなければならない女性たちにとっての切実な希求を反映するものなのだ。 もっとも、妊娠出産や女性の身体を、近代に対置される「自然」やスピリチュアリティと結びつけること自体は、特に欧米系のフェミニズムとも親和性が高かったはず。だが日本におけるスピリチュアル言説は、自然とつながって生きていたとされる「昔の日本の女性」を現実にもとづかないかたちで称揚する点で、むしろ政治的保守主義やナショナリズムに接近する。 この点を掘り下げるため、80年代に上野千鶴子らと論争を繰り広げた青木やよひのエコフェミニズムと、2004年のベストセラー『オニババ化する女たち』で知られる三砂ちづるの言説を比較する第5章が興味深い。両者はいずれも女性の身体性とりわけ妊娠出産機能と「自然」とを不可分のものととらえる本質主義に立っており、生産性-男性性を上位に置くような近代社会の論理に女性が参画し/組み込まれることには批判的だ。ジェンダーおよび自然の社会構築性を重視するフェミニズムの立場からはいずれも批判を受けてきたが、それでも青木の論があくまで男性中心的な家父長制社会の変革をめざすフェミニズムの側に踏みとどまるのに対して、三砂は異性と性関係をもち母として家庭を主な領分として生きることにこそ女性は積極的な意味を見出せると説き、日本の純粋な文化を称揚する保守的なナショナリズム・反フェミニズムの側に立つ。 この両者の重要な分岐点は「自然」の位置づけにあると著者は指摘する。青木において女性の身体性が外部の自然と接続され、近代社会に対する批判的視点を確立する足掛かりとなるのに対して、三砂における女性と自然とのつながりは、女性個人の身体内部にとどまっており、せいぜいが日本というネイションの自然化された本質に接続するのみだ。そこには2人の視点の差以上に、この30年における妊娠出産という社会的課題の個人化、そしてそれに対抗する思想を生み出してこられなかったフェミニズムの行き詰まりが反映されている。社会に向かうよりも果てしなく自己身体のフェティッシュ化へと向かう妊娠出産のスピリチュアリティとは、つまりは生殖と身体の再生産が、世界に向かって開かれる回路を見失い、果てしなくネオリベラルな自己責任の論理へ、それもジェンダー規範の強化をともなって閉じ込められてきたことの反映なのだろう。 しかしそれでもなおわからない感じは残る。「体の声に耳を傾け、自分を大切にしよう」というメッセージそれ自体は、自己身体の自己管理を要求するネオリベラリズムと親和性が高いが、かならずしも妊娠出産と結びつく必要はないし、また必ずしも著者がくりかえし強調するような「女らしさ」と結びつく必然もないのではないか。男性の存在感が著しく薄いことも、もちろん一面においてはワンオペ育児が当然となっている多くの母親の現実を映し出しているものではあるが、女性の男性への従属を前提とする保守的家族言説からは離脱する部分が多々ある。もうすこし違う軸を導入してみると、また違ったものが見えてきそうではある。
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※このレビューにはネタバレを含みます
スピにおいては、妊娠出産月経母になることが肯定的に位置づけられている。市場で自由に調達できる。初めてあくまで個人のものとしつつ、肯定的に聖化する機会を得た。女性の意識や価値観を適切に反映させた。 ジェンダーバイアスを前向きに受け止める。身体性と向き合う。至急の状態を整えておけば、リスクの比較的少ない時期にタイミングよく妊娠出産できるかもしれないという願い。 身体性に聖性を付与する。身体のケアと内面の安定の連動。努力型と開運型。古い女性観は保管する。フェミニズムとは連携してない。 私はこの運動の直前に産んじゃったんだな。お世話になった方が出てきてびっくりしたり。
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