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文豪と感染症 の商品レビュー

3.8

11件のお客様レビュー

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2024/12/24

「感染症」を切り口に、100年前の人々の姿をみていくアンソロジー。ウイルスがただ蔓延するというだけでなく、活動の制限、家族をはじめとする人間関係への影響、作家の罹患による執筆の停滞、著名人の訃報。そういったものが折り重なって生ずる、社会全体の不安。 現代と似ていることがとても多く...

「感染症」を切り口に、100年前の人々の姿をみていくアンソロジー。ウイルスがただ蔓延するというだけでなく、活動の制限、家族をはじめとする人間関係への影響、作家の罹患による執筆の停滞、著名人の訃報。そういったものが折り重なって生ずる、社会全体の不安。 現代と似ていることがとても多くて、ウイルス一つでこんなに脅かされる人間社会って、一体なんなんだろうと思ってしまう。 与謝野晶子がどえらい格好いい。

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2023/08/30

本書は2021年8月刊行と、コロナ真っ最中の時期のもの。その頃、100年前のスパニッシュ・インフルエンザに関する著作が結構書店に積まれていて、そのうち何冊か購入したが、本書もそんな一冊。やや時期遅れとはなってしまったが、今回通読した。  印象としては、結構いろいろな作家が作品の中...

本書は2021年8月刊行と、コロナ真っ最中の時期のもの。その頃、100年前のスパニッシュ・インフルエンザに関する著作が結構書店に積まれていて、そのうち何冊か購入したが、本書もそんな一冊。やや時期遅れとはなってしまったが、今回通読した。  印象としては、結構いろいろな作家が作品の中でスペイン風邪のことを取り上げていたのだなということ。確かに文壇的には、島村抱月が急死し松井須磨子が後追い自殺するという出来事があったし、日本国内でも患者数2300万人というのだから、本人が感染しなくとも、家族や知人、友人まで含めれば、当時として、ごく身近な疾病として恐ろしさを感じたであろうことが想像される。    取り上げられた作家はみな有名作家であるが、収録作で読んだことがあったのは、谷崎潤一郎『途上』のみ。プロバビリティーを利用した犯罪を取り上げたとして良く知られている作品だが、その中で流行性感冒のことも出てきていたことを、今回再読して思い出した。  志賀直哉『流行感冒』。愛娘が感染しないよう運動会に行くことをやめさせたり、家人や女中たちにも人の多いところ行くことを禁じたりとしていた主人公だったが、禁じたにもかかわらず一人の女中が芝居を見に行ってしまい、さらに嘘をついて行ったことを否定する始末。志賀作品に良く見られるとおり、本作でも主人公は”不愉快”という感情を何回も抱く。正にコロナ禍でも同じような自粛現象があちこちで見られたとおり。  菊池寛『神の如く弱し』。久米正雄が流行性感冒に罹って死にそうになる出来事を巡るモデル小説だが、いくら親しい友人同士とは言え、こういう形で人物造形されるというのは厳しいだろうな、と久米には同情を禁じ得ない。同じく『マスク』では、感染しないようマスク着用を始め万全の予防策を取ってきた主人公であったが、ある時期からマスクをしなくなった。そんなときマスクを着けている男を見て、複雑な感情を抱く。その辺りの心の揺れを見事に描いている。  宮本百合子『伸子』。ニューヨークで感冒に罹った父の看病をしていた伸子であったが、今度は自分が感染してしまう。病気に罹ったときの症状の描写や心理状況が見事に描かれている。作品全体を読んでみたくなった。  他の作品も、当時のスペイン風邪(流行性感冒)に関していろいろと考えさせられる点が多く、100年経っても新たな疾病に対してはそれほど変わるものではないことを痛感した次第。  

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2021/12/01

感染症をテーマにした短篇集は既に他の出版社からも何冊か出ており、志賀直哉「流行感冒」や谷崎潤一郎「途上」、菊池寛「マスク」辺りが必ず収録されてるイメージです。 本書にももちろん収録されてますが、一編ごとに初心者に分かりやすい解題解説的なものがついてるのが印象的。 また、小説や随筆...

感染症をテーマにした短篇集は既に他の出版社からも何冊か出ており、志賀直哉「流行感冒」や谷崎潤一郎「途上」、菊池寛「マスク」辺りが必ず収録されてるイメージです。 本書にももちろん収録されてますが、一編ごとに初心者に分かりやすい解題解説的なものがついてるのが印象的。 また、小説や随筆だけに制限せず、日記の抜粋や手紙などを扱った文豪もあり、芥川の「友人達に宛てた書簡」、茂吉の「和歌」、秋田雨雀の「日記からの抜粋」など、スペイン風邪の時期をリアルに生きていた彼らの生の声みたいなものが感じられるものもあり、面白かった。 特に雨雀の日記は、島村抱月の弟子だけあって、そのままそれが抱月と須磨子の最後や葬儀の辺りの経緯のドキュメンタリーのようで興味深かった。

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2021/11/02

100年前に流行ったスペイン風邪、コロナのように世界的な感染だった。その頃の作家たちは、自らが罹患し日記に書いたり、小説の題材にしたりしていた。抜粋のものもあるが、興味深かった。

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2021/10/27

10月27日新着図書:【100年前に日本を襲ったスペイン風邪に直面していた文豪たちが描いた感染症の記録を日記から小説まで収録しています。是非本書を読んで見ましょう。】 タイトル:文豪と感染症 : 100年前のスペイン風邪はどう書かれたのか 請求記号:914:Na URL:htt...

10月27日新着図書:【100年前に日本を襲ったスペイン風邪に直面していた文豪たちが描いた感染症の記録を日記から小説まで収録しています。是非本書を読んで見ましょう。】 タイトル:文豪と感染症 : 100年前のスペイン風邪はどう書かれたのか 請求記号:914:Na URL:https://mylibrary.toho-u.ac.jp/webopac/BB28193943

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2021/10/09

百年程前にスペイン風邪と言われたインフルエンザのフィクションとノンフィクション。志賀直哉や谷崎潤一郎、菊池寛の小説が読めて面白かった。しかし、昔のことを見習ってコロナ禍が早く終息するかは今のところわからない。

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2021/09/23

1918年から20年にかけて流行したスペイン風邪に関する当時の文士達のアンソロジー。 その中から幾つか。 与謝野晶子「感冒の床から」「死の恐怖」  スペイン風邪第一波と第二波の中で現在の神奈川新聞の前身への寄稿文。今のコロナ禍にそのまま当てはめられる様な、人間の進歩の無さと同...

1918年から20年にかけて流行したスペイン風邪に関する当時の文士達のアンソロジー。 その中から幾つか。 与謝野晶子「感冒の床から」「死の恐怖」  スペイン風邪第一波と第二波の中で現在の神奈川新聞の前身への寄稿文。今のコロナ禍にそのまま当てはめられる様な、人間の進歩の無さと同時に晶子の不変の達観力。この本の出色。 志賀直哉「流行感冒」  白樺に掲載された私小説。感染禍の中で揺れ動く志賀の心境に共感するも良し、反面教師とするも良し。 谷崎潤一郎「途上」  ある女性の死に関するミステリー。改めて谷崎は日本ミステリーの先駆者だったと感じる。 菊池寛「マスク」  今のマスクあるあるに通じる小品随筆。菊池寛に親近感を感じる。 宮本百合子「伸子」  私小説に書かれる登場人物のモデルはやってられんな、と思う。よく当時は曲がりなりにも許されていたものだ。 喜久屋書店阿倍野店にて購入。

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2021/09/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

永江朗・編の文庫オリジナル。 1作家1作品では決してなく、作家ごとに編者の解説が手短に行われ、ゴシック体で判りやすい。 また取り上げられている文章の種類の多彩さ。手紙、日記、新聞への寄稿、歌集、小説、身辺雑記、 単純な感想だが、未知のものへの底知れぬ恐れ、狼狽、あたふた、分断、同調圧力、100年前も同じだったんだなー、と。  ◇永江朗 はじめに ……WWⅠは1914-1918、関東大震災は1923、そのインパクトに、スペイン風邪の流行(1918-)は隠れがち。  ■芥川龍之介『書簡』 ……「胸中の凩(こがらし)咳となりにけり」「凩や大葬ひの町を練る」。病んでも句をひねることで昇華する姿勢。  ■秋田雨雀『「秋田雨雀日記」より』 ……島村抱月の急死、松井須磨子の後追い自殺。  ■与謝野晶子『感冒の床から』   ■与謝野晶子『死の恐怖』 ……ともに新聞への寄稿。口調から、意志の強い顔が浮かぶ。  ■斎藤茂吉『「つゆじも」より』 ……歌集から抜粋。  ■永井荷風『「断腸亭日乗」より』 ……筆まめだ。  ■志賀直哉『十一月三日午後の事』 ……小説。弱った鴨と倒れた兵士が重ね合わされる。嫌な感じ。  ■志賀直哉『流行感冒』 ……私が感冒対策で禁じた芝居へ嘘をついて行った下女の石を馘にするかどうか。まだ理屈が通じない2~3歳の娘を抱えた夫婦の状況。  ■谷崎潤一郎『途上』 ……既読。江戸川乱歩が「プロバビリティーの犯罪」に先鞭をつけたという作品。先日読んだ藤子・F・不二雄「コロリころげた木の根っ子」も、また。  ■菊池寛『神の如く弱し』 ……私小説的。読むであろう友人にたいして徹頭徹尾エグくて、その筆致に笑ってしまった。たとえば、ドストエフスキーが度々言及しているユロージヴィイ(聖痴愚とか佯狂者とか)みたいなものだね、と自分が云われた時の辟易を想像したりもした。  ■菊池寛『マスク』 ……身辺雑記。マスクを巡ってはもううんざりしているので、わかる。自分が小物になった感覚。  ■宮本百合子『伸子』 ……小説。看病されて息も絶え絶えな中ロマンチックな接吻をされて。ってヲイヲイ! 「若草物語」を見ていても、猩紅熱治ってすぐ抱き合ったりしてヤバくね、という冷静なツッコミをしてしまったのを思い出す。  ■佐々木邦『嚔「女婿」より』 ……小説。結婚披露以降をコミカルに。  ■岸田國士『風邪一束』 ……回想。  ◇永江朗 おわりに ……ネーミングの問題。coldとfluの違い。  ◇岩田健太郎 解説「感染症屋」より、疫病学的見地から ……

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2021/08/25

永江朗・編『文豪と感染症 100年前のスペイン風邪はどう書かれたのか』朝日文庫。 100年前の1918年3月にアメリカで最初の患者が現れたスペイン風邪は、世界で4,000万人が亡くなり、日本国内でも38万人から45万人の命を奪ったという。しかし、スペイン風邪は2年ほどで終息する...

永江朗・編『文豪と感染症 100年前のスペイン風邪はどう書かれたのか』朝日文庫。 100年前の1918年3月にアメリカで最初の患者が現れたスペイン風邪は、世界で4,000万人が亡くなり、日本国内でも38万人から45万人の命を奪ったという。しかし、スペイン風邪は2年ほどで終息する。新型コロナウイルス感染症で世界が苦しむ現在と状況が類似する100年前のスペイン風邪の状況を日本の文豪たちが描いた文章で綴る文庫オリジナルのアンソロジー。 全く古さは感じず、現在まさに我々が直面している状況を既に100年前の文豪たちが経験していたことに驚きすら感じる。 千年に一度と言われた東日本大震災を乗り越え、一息ついたところにやって来た百年に一度の感染症によるパンデミック。新型コロナウイルス感染禍を災害レベルまで悪化させる政府や行政は最早人災と言っても過言ではない。人間はどうして過去の天災で得た教訓から学ばずに同じ過ちを繰り返すのだろうか。 芥川龍之介『書簡』。二度もスペイン風邪に感染した芥川龍之介。病の床にありながら小説を書かねばならぬと、友人知人に宛てた書簡集。 秋田雨雀『「秋田雨雀日記」より』。秋田雨雀が日記で、自らもスペイン風邪に苦しむ中で、師の島村抱月のスペイン風邪感染死と松井須磨子の後追い自殺の顛末を記録する。 与謝野晶子『感冒の床から』。まるで新型コロナウイルス感染症に苦しむ現在の日本と同じような状況が描かれていて驚く。「一人の子供が小学から伝染して来ると、家内全体が順々に伝染……」、「漸く相談会などを開いて幾日かの休校……」、「政府はなぜ逸早くこの危険を防止する為に、大子呉服店、学校、興行物、大工場、大展覧会等、多くの人間の密集する場所の休業を命じなかったのでしょうか。」などなど。与謝野晶子の強い怒りが伝わって来るようだ。まさに与謝野晶子が怒る通りで、こんな状況下で東京オリンピックを開催し、パラリンピックまで開催し、健康被害の責任を取らずに児童や生徒に観戦させるなどというのは全く狂っている。さらには新潟県でのフジロック開催や既に2校が感染で辞退した高校野球大会の開催、飲食店だけに自粛を強いて、デパートには営業自粛を要請しないという矛盾、消極的なリモートワークの推進など、100年前の教訓が活かされていない。 与謝野晶子『死の恐怖』。いよいよ流行感冒による暗殺的の死を強制されようとする中、死を恐れ、「如何に生くべきか」を考える与謝野晶子の覚悟。我々もそろそろ覚悟を決める時かも知れない。 斎藤茂吉『「つゆじも」より』。精神科医にして歌人の斎藤茂吉の歌集からの抜粋。 永井荷風『「断腸亭日乗」より』。スペイン風邪で病の床に伏した永井荷風の日記。 志賀直哉『十一月三日午後の事』。主人公が鴨を求めて田舎に行くと、行軍を続ける兵士たちが次々に倒れていくという恐ろしい光景を目撃する。倒れた兵士たちは路傍に横たわるだけ。 志賀直哉『流行感冒』。子供が病で死ぬことに人一倍恐れる主人公の暮らす我孫子にもついに流行性の感冒がやって来る。そんな状況で、あろうことか女中の一人が芝居を見に行き、主人公は怒り心頭、女中に暇を出そうとする。 谷崎潤一郎『途上』。ミステリー短編。会社員の湯河勝太郎は突然、私立探偵を名乗る安藤一郎という男に声を掛けられる。これがどうスペイン風邪と関係するのかは読んでみてのお楽しみ。 菊池寛『神の如く弱し』。二年越の恋愛事件に悩む河野は流行性感冒に罹り、困窮する。 菊池寛『マスク』。流行性感冒の感染対策としてのマスクの話。主人公は感染に怯え、極力外出を止め、妻や女中にも外出させないようにし、やむ無く外出する場合にはガーゼを沢山詰めたマスクで完全防備していたが…… 宮本百合子『伸子』。長編小説『伸子』からの一部抜粋。主人公の伸子の父親がスペイン風邪から快復すると、今度は伸子が感染する。 佐々木邦『嚔「女婿」より』。こちらも短編小説『女婿』からの一部抜粋。西班牙インフルエンザが流行る中、結婚式の当日に花嫁がくしゃみをするや、吉兆と大喜びする父親。 岸田國士『風邪一束』。スペイン風邪に罹患した経験を描いたエッセイ。 本体価格680円 ★★★★★

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2021/08/20

スペイン風邪が流行った当時の文豪な作品集。 医学書院が進歩しても、疫病が流行っている時の人間の気持ちは、そう変わるものではないのだな、と思う。

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