結 妹背山婦女庭訓 波模様 の商品レビュー
前作の「渦」の記憶が新しいタイミングで読んだので物語の世界にスッと入ることができた。本当に前作の次の世代のストーリーだった。今回のテーマは種。なかなか芽がでなくても、実は長年水をあげたりケアしていれば、見えない所で根を張りふとしたタイミングで芽が一気に芽吹いて、周りを巻き込んで成...
前作の「渦」の記憶が新しいタイミングで読んだので物語の世界にスッと入ることができた。本当に前作の次の世代のストーリーだった。今回のテーマは種。なかなか芽がでなくても、実は長年水をあげたりケアしていれば、見えない所で根を張りふとしたタイミングで芽が一気に芽吹いて、周りを巻き込んで成長していく。自分が好きだったり興味を持ったことを楽しんで続けていきたい。 また、何かしらの浄瑠璃を見るのが今年の目標の1つになった。
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4.3 操浄瑠璃作家・近松半二を描いた「渦」の続編。 またしても、 浄瑠璃が産み出す「渦」に呑み込まれ、その地獄に堕ちた人々。 造り酒屋松屋の倅・平三郎は、近松半二の「妹背山婦女庭訓」によって操浄瑠璃に魅せられ、それを皮切りに歌舞伎にもどっぷり嵌り、とんと家業に身が入らない。...
4.3 操浄瑠璃作家・近松半二を描いた「渦」の続編。 またしても、 浄瑠璃が産み出す「渦」に呑み込まれ、その地獄に堕ちた人々。 造り酒屋松屋の倅・平三郎は、近松半二の「妹背山婦女庭訓」によって操浄瑠璃に魅せられ、それを皮切りに歌舞伎にもどっぷり嵌り、とんと家業に身が入らない。 商いそっちのけで義太夫節を語り、役者の絵を描き、道楽の道を極めんと精進する。 一方、平三郎の古い芝居見物仲間・徳蔵もまた、家業の大枡屋をほっぽらかし浄瑠璃にのめり込んだ挙句、浄瑠璃作者を志し近松半二の弟子となる。 この二人と、幼いながらも浄瑠璃に滅法通じている近松半二の娘・おきみの、 浄瑠璃地獄に生きる三人それぞれの人生模様。 「縁の糸」と終章の「硯」での、徳蔵とおきみのやりとりが、何やら切なくで涙が出た。 縁の糸が織りなす布は、 一目違えば全く違った模様になったろうに…
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直木賞受賞作『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』の続編。 前作は、歌舞伎が台頭してきつつある時代の操浄瑠璃(あやつりじょうるり:人形浄瑠璃、文楽のこと)作者・近松半二を主人公とした作品だった。 半二が、『妹背山女庭訓』という、ある種、バケモノのような作品で、浄瑠璃の巻き返しに一役買うま...
直木賞受賞作『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』の続編。 前作は、歌舞伎が台頭してきつつある時代の操浄瑠璃(あやつりじょうるり:人形浄瑠璃、文楽のこと)作者・近松半二を主人公とした作品だった。 半二が、『妹背山女庭訓』という、ある種、バケモノのような作品で、浄瑠璃の巻き返しに一役買うまでを描く。 本作では、半二ももはや晩年を迎えている。物語の主眼はむしろ、半二亡き後の世界となる。 半二の最晩年の傑作に『伊賀越道中双六』という作品がある。全十段で、渡辺数馬が姉婿・荒木又右衛門の助けを借りた実際の仇討を脚色したものである。伊賀を越える道中を双六に見立てて、ストーリーが進んでいく。仇討本懐がゴール=「あがり」である。 半二は実は、執筆途中に世を去っている。後を引き継ぎ、作品を完成させたのが近松加作。この人物は半二以上に謎の多い人物である。さて、これが誰だったのか、というのが本作の1つの目玉である。 著者インタビューによれば、前作で完了したと思っていた人形浄瑠璃の話だが、頭の中からなかなか彼らのことが去らない。けりをつけるためにすべて書ききろうと臨んだのが本作だという。 戯画作者の耳鳥斎(にちょうさい)、浄瑠璃から歌舞伎作者に転向した近松徳蔵、半二と同年代の菅専助、のちに意外な人物として戯作本で頭角を現す余七、徐々に力をつけていく柳太郎など、登場人物の多くは実在の人物で、前作での著者の下調べが生かされた形である。 それぞれ、生き生きとした人物像に仕上げられてはいる。 が、知名度が低い分、読者には「え、誰?」という戸惑いが生じる。取り上げられる数々の作品も物語を彩るが、文楽や歌舞伎をある程度知っていないと、読み手側としては少々厳しい。 一定期間、彼らを追い続けてきた著者には近しい存在だろうが、そうでないと、浄瑠璃に精通している読み手でないと、置いてきぼりをくらうのではないか。 浄瑠璃好きな人だけを想定読者にしているのならともかく、ここはもう少し、橋渡し的な工夫が欲しかったところだろう。 とはいえ、物語の軸はなかなか魅力的なストーリーラインなのである。 半二には史実の上でも娘が1人いる。本作ではおきみと呼ぶ。人物詳細についてはほとんど知られていないのだが、著者はこのおきみを、優れた浄瑠璃作者の父の血を引き、何より浄瑠璃が大好きで、見る目が肥えた、かつ一風変わった自立心を持つ娘として生き生きと描く。 葛飾北斎の娘の応為を思い出させるような。しなやかでものに動じない一個の存在として。 彼女が、史実の上でもある程度知られている登場人物たちをつなぐ鍵となる。 半二が近松門左衛門から受け継いだ形見の品が時を経て、次の世代へと渡される。それはまさに「結」というべきもので、もちろん、品物とともに渡されるのは、浄瑠璃という芸能の「魂」そのものともいえるわけである。そこにおきみが深く絡んでくる。 だが、全体に、魅力的な人物は多々いるものの、著者の熱量が少々空回りしているように感じる。 物語に入り込めれば楽しいのだが、そこまでの敷居が若干高いように思う。 浄瑠璃という芸能自体の魅力を語るのであれば、浄瑠璃初心者でもうならせるような、もうひと工夫が欲しかった。そう思うのはないものねだりだろうか。
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渦の続編というか、後日譚というか。オムニバスで語り手が変わるので、前巻に比べると誰に感情移入して良いものか分からなかった感じがした。
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「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」の続編。短編集。前作主人公の近松半二の娘、おきみの周りの人間たち、その一人一人が、寄せては返す波のように、浄瑠璃に携わる物語を紡いでいく。 台詞にも文中にもそこかしこで出てくる関西弁が、リズム良く文章を読ませる。読んでいるだけで楽しい。また、物語と...
「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」の続編。短編集。前作主人公の近松半二の娘、おきみの周りの人間たち、その一人一人が、寄せては返す波のように、浄瑠璃に携わる物語を紡いでいく。 台詞にも文中にもそこかしこで出てくる関西弁が、リズム良く文章を読ませる。読んでいるだけで楽しい。また、物語としても、創作者として、一家の主人として試行錯誤する姿が胸を打つ。前作に引き続き、大変面白かった。
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前作は私は今ひとつだったけれど、今回は良かった! →https://blog.goo.ne.jp/mkdiechi/e/a2a7baee27e408f2e2bf47257b098fcd
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渦の続編。 渦ほどの熱量はないが、色んな人達が思いを繋いでいく感じ。縁の糸を結んでゆく。「結」という表題が言い得て妙。 浄瑠璃をますます観てみたい気持ちが強くなる。
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暗闇に聞こえる浄瑠璃は明るい。この浄瑠璃が、この義太夫節が、この世の闇を照らしていく。 妹背山婦女庭訓の渦に巻き込まれそこから逃れられなくなった大島さんが描く浄瑠璃の世界は圧倒的な光に満ちている。 軽やかな大阪弁に乗せられ踊るように読み続ける。松へが徳蔵が柳がすぐそばにいるようだ。 半二が残した大きな波に一度乗ったら最後、だれもが取りつかれながら浮き上がろうともがき苦しむ。でもその苦しみこそが喜びへとつながる道。 半二の娘、おきみの周りでぐるぐるまわる男たち。浄瑠璃の世界に飲み込まれた男たち。彼らの声が聞こえる。大声で、小声で、うたいながら、つぶやきながら、浄瑠璃の世界をたたえる声が聞こえる。 渦は波になり終わりのない縁として結ばれた。
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よかった!面白かった!大阪弁がすらすら流れて展開がいい。各小説の主人公に愛があって全て繋がって、おきみを取り巻く人達が面白い。浄瑠璃に魅せられた才のある人達。松への人生も素晴らしい。
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2019年の直木賞受賞作「渦 妹背山婦女庭訓魂結び」の主人公である近松半二亡き後の、半二ゆかりの人々によるスピンオフ作品。作品全体に流れる空気感は前作そのままで、前作が面白かった人なら間違いなくおススメです☆ キーパーソンは半二の娘であるおきみですが、江戸時代らしからぬ親しみやすい絵で有名な耳鳥斎さんと、近松半二とほぼ同世代の浄瑠璃作家である菅専助さんの二人がとにかく良かった♪その他、近松徳三さんや近松柳さん、近松余七さんと言ったサブのキャラクターも、主役を張れるほどの秀でた天賦の才は無いものの、それぞれが人形浄瑠璃を愛し、自分なりの人生を紡いでいくところがすごく良かったです。 ネタバレになるんでアレですが、とりあえず僕は、近松余七さんのその後がかなり衝撃的で、衰退期にはあったものの、本当にこの頃は人形浄瑠璃が日本の芸能のど真ん中にあったんだなあと感じました。あと、若かりし頃の近松徳三の言葉「おんなし嘘なら、わしはこっちの嘘のほうがええ」ってのも良かったし、おきみの旦那さんの話もすごく良かった♪
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