結 妹背山婦女庭訓 波模様 の商品レビュー
半二の熱い人生も良かったけれど、おきみの飄々としながらも常に浄瑠璃と関わっている人生も良いなぁ(*´ー`*)おきみの回りの人達の方が熱いのも面白い(^^;)
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『渦』の続編。大阪弁の語り口が心地よく、するすると読めてしまう。浄瑠璃の魅力、人間模様、生き方など、肩肘張らずに学び楽しみ味わえる。
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先日読んだ直木賞受賞作の続編。主には半二の死後の話で、妹背山婦女庭訓で浄瑠璃の世界に入った通称松へに絡む話。正直最初はめんどくさい話だったんだけど、中頃からこの世界に引かれてしまった。こんな訳の分からん世界の話で、なんかいい読後感を感じてしまった。見事!
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直木賞受賞『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』の続編にあたる。半二の娘のおきみや芝居小屋がひしめく道頓堀で文楽を愛する人々たちが描かれている。 専助は、きっと、どないかしてくれはりますやろ。あとは野となれ山となれ、や。『まあ、ええか。まあ、ええわ。花楓都模様、この芝居の幕はきっと開いて...
直木賞受賞『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』の続編にあたる。半二の娘のおきみや芝居小屋がひしめく道頓堀で文楽を愛する人々たちが描かれている。 専助は、きっと、どないかしてくれはりますやろ。あとは野となれ山となれ、や。『まあ、ええか。まあ、ええわ。花楓都模様、この芝居の幕はきっと開いてくれはりますやろ。愉快やなぁ、愉快や愉快や。まったく愉快な浄瑠璃地獄や。明るい闇に専助は包まれていった』と死の間際まで戯作に悩む。また一人は、“妹背山婦女庭訓”を見て人生を〝狂わされた〟平三郎。造り酒屋の跡継ぎだったが、稽古に通うようになり彼の義太夫節はプロ並みになり、寂物(さびもの)屋を開いて扇絵を売っているうちに耳鳥斎(にちょうさい)の画号を持つ絵師に。ほかにも、浄瑠璃作者を志して半二に弟子入りし、のちに歌舞伎作者となった徳蔵や、浄瑠璃作者から戯作者に転向して十返舎一九(じっぺんしゃいっく)として名をはせた余七など。 やはり、最後まで気になったのは半二の娘のおきみだった。近松加作はおきみしかいないだろう。 文楽に惹きつけられた彼らは地獄と喘ぎながらもその道を登っていくのが羨ましい。『この世の中にはなんとさまざまな人が生きているのだろうと、平三郎は感慨に浸り喜びにふるえる。さまざまな人がさまざまな思惑で、様々な事情で世の中を動き回り、こちやこちゃと生きている。平三郎は、この世は戯場だと思っている。あの世から眺めたら阿呆みたいなもんやけど、それなりの役回りで皆、一生をここで過ごしとるんやなと思って眺めている。かわいいもんやと思うのだった。なんちゅうかわいらしい生き物やろうか』。日々、こんなふうな視点で暮らせたらと羨望したくなる。 前作から受け継がれている小気味いいテンポと独特のあっけらかんさに、今回も魅了された。
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操浄瑠璃の隆盛を描く時代物っぽいけど読みやすい小説。 今回は近松半二の娘、おきみがとっても気になる。 遊びつつ才能に溢れてる松へ、おきみ、おきみに教えをこう徳蔵、たまたま縁でおきみと一緒に立役者になっちゃう柳、最後の足掻きでおきみのために命を削って浄瑠璃をかく菅専助。 それぞれの立場でそれぞれの一生懸命な思いが語られるから、別の人の視点になった時に全ての人物への親しみがグッと増して魅力的に思えてくる。 全ての人をゆるーく繋げてるのが松への懐の広い、カラッとした気質で、癒される。 十返舎一九が誕生したり、浄瑠璃の演目に雨月物語をつかうだとか、日本文学好きにはたまらない展開かもね。 最後おきみが幸せそうで良かったし、徳蔵とはすれ違ってすれ違って別々の人生になったけど、そういうのもなんだかリアルなかんじで良かった。
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『渦』の続編。今回も面白い。松へさん、実在したのですね。その世界の才のある者、才のない者。だけど「自分の中に育った種は捨てたらあかん、大事に育てたり。」ちゃんと育ててあげれば、違う場所であっても芽吹く時が必ずあるよね。半ニさん、ええこと言うなぁ。
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江戸中期の大坂の人形浄瑠璃作家・近松半二の生涯を描いた直木賞受賞作『渦』の続編、というかスピンアウトもの。 各短編で主人公(視点)を変えて、浄瑠璃や歌舞伎に魅せられのめり込んで行く人々が描かれます。 絵にも浄瑠璃の語りにも才を持ちながらプロ化せず旦那芸として生き切る"松...
江戸中期の大坂の人形浄瑠璃作家・近松半二の生涯を描いた直木賞受賞作『渦』の続編、というかスピンアウトもの。 各短編で主人公(視点)を変えて、浄瑠璃や歌舞伎に魅せられのめり込んで行く人々が描かれます。 絵にも浄瑠璃の語りにも才を持ちながらプロ化せず旦那芸として生き切る"松へ"こと耳鳥斎(にちょうさい)を描いた「水や空」。半二の弟子ながら歌舞伎作家に転向して才を伸ばす徳蔵(後の近松徳三)の「種」。一度は引退したものの次世代育成のために復帰する菅専助の「浄瑠璃地獄」。その専助の弟子ながら狷介さゆえに大阪でつまはじきされ、江戸で戯作者として成功する余七(十辺舎一九)の「月かさね」。おきみや専助の助けを受け人形浄瑠璃の作家として成功して行く柳(近松やなぎ)の「縁の糸」。そして大団円の「硯」。全編を通して絡んで来る、掴み切れない不思議な魅力を持つ半二の娘・おきみ(未完の半二作品を完成させた近松加作であるという設定)も魅力的です 『渦』を書く時に余りに魅力的な脇役が出来、『渦』の完成後も著者の中で彼らが蠢き続けた為に、書かれた作品だと思います。 『渦』と同じく全編大阪弁。水面を泳ぐ蛇のように滑らかに突き進む文体はますます磨きがかかって見事です。短編の為か"軽み"が増し、晴れ晴れとした自己肯定感も有って『渦』より好きかな。
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直木賞受賞作の続編。 前作が近松半二の浄瑠璃地獄を描いたものに対し、本作は耳鳥斎と近松加作(おきみ)を軸に、半二の作品に魅了された人々の後日談を描く連作群像物語となっています。 近松徳蔵、近松柳、菅専助、十返舎 一九などがそこにいるように感じられて、見事な続編となっていると思います。 これを読むと浄瑠璃や歌舞伎が見たくなります。
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前作「渦」の続編。 近松半二の娘おきみ、弟子の近松徳蔵、大店のぼんだった松へこと耳鳥斎など語り手を変え半二亡き後の浄瑠璃世界を描いている。全てが浄瑠璃への思い、切れない縁に、物語は育まれていくのだ。 最後の章は 「硯」で、近松門左衛門の硯で始まった前作が、ここでまるっと閉じる大団...
前作「渦」の続編。 近松半二の娘おきみ、弟子の近松徳蔵、大店のぼんだった松へこと耳鳥斎など語り手を変え半二亡き後の浄瑠璃世界を描いている。全てが浄瑠璃への思い、切れない縁に、物語は育まれていくのだ。 最後の章は 「硯」で、近松門左衛門の硯で始まった前作が、ここでまるっと閉じる大団円、お見事でした。 浄瑠璃ではないが、耳鳥斎の絵は味わい深く温かみがありヒョウヒョウとして、そんな彼をこの小説の狂言回し的な位置に据えたのが良かったです。
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近松半二とその娘おきみ、松へこと松屋平三郎、大桝屋の倅である徳蔵ら、浄瑠璃作者とその周りの人々の物語。 どこまで事実が反映されているのかは不勉強でわからないが、読みやすく、今では上演されることもなくなった浄瑠璃たちも見聞きしたくなった。
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