姫君を喰う話 の商品レビュー
官能小説ぽいといわれるとなるほど…という描写がちらほら なんというか、筆致が男性らしいな~~~~~~~と思った
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結構前から積んでたけど、そろそろと満を持して取り出した本書。平積みから買ったけど万人が手に取っていいのだろうか。 表題は意表を突かれたけど妙に納得と官能と食欲を刺激される怪作。凄い筆致で驚いた。谷崎や安部公房なんかを彷彿とさせる艶かしさ。 鯨神は芥川賞受賞作なのね。全体的には...
結構前から積んでたけど、そろそろと満を持して取り出した本書。平積みから買ったけど万人が手に取っていいのだろうか。 表題は意表を突かれたけど妙に納得と官能と食欲を刺激される怪作。凄い筆致で驚いた。谷崎や安部公房なんかを彷彿とさせる艶かしさ。 鯨神は芥川賞受賞作なのね。全体的には何となく陰鬱な雰囲気を受けるけど最後の鯨神との対話でパァーッと陽光がさすような。 花魁小桜の足。小品。うん、まぁ、といったところで過分感慨もないといったところだが。文体は少しクセになってきた。次に期待。 西洋祈りの女。ややアングラな日本映画のような情景。西洋祈りというカルトな雰囲気が深い靄をかけたように揺蕩う。幕切れの唐突さも短尺の映画感で面白い。 ズロース挽歌。性癖を晒してるおっさんを高尚な文章で語る下世話さ。もちろん褒めてるんだけど、なんかこう同人小説のような、きな臭さを感じてノスタルジックに。 リソペディオンの呪い。真景累ヶ淵のような因果応報なお話。作品の中では章立ても細かくテンポ良く読みやすい感じ。それこそ講談とか落語に出来そうな。 通して言えるのは、霞んだレンズを通して非日常をしっかりとイメージ出来る素晴らしい筆致。ただ本慣れしてない人からすると少し読みにくさは感じそう。 のちに官能小説に転じたそうなので、そっちも読んでみるのも面白いかしらね。
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どの話も変態が出てきて面白かった。 女性の足への強いこだわりは谷崎潤一郎ライク。 ネットでのレビューを見て買ったが「これが読みたかったんだよ!」って作品が並んでて楽しかった。 ちくま文庫の『猟奇文学館』シリーズだれかプレゼントしてください。
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収録されている短編全て、高貴な文体で土俗的な猥雑なことが語られる、かなりのインパクトと不思議な読後感を感じる短編集でした。
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★4.5「花魁小桜の足」 終わり方がいい! ★4.0「姫君を喰う話」「鯨神」 ★3.5「西洋祈りの女」「ズロース挽歌」「リソペディオンの呪い」
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「姫君を喰う話 宇野皇鴻一郎傑作短編集 宇野鴻一郎 新潮文庫 2021年」卒読。題名の短編だけ読んだ。食と性欲についておぞましく書いてある話。膣と肛門に親指と人差し指を入れて内臓の厚みについて書いてあるところが妙に鮮明に脳裏に焼きついた。篠田節子の解説で少し落ち着いた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
本書をどういう経緯で知ることになったのか忘れてしまった。けれど、この本はきっと面白いのだろうなという予感がして、それは裏切られなかった。 少し奇妙な感覚だと思う(のは自分だけかもしれない)けれど、例えば表題作「姫君を喰う話」や、「鯨神」、「ズロース挽歌」については、ある意味読み始める前に予想していた通りの物語だったと感じた。 本書をそういう型にはめた呼び方をしてはいけないのかもしれないけれど、純文学的な作品は、自分にとっての気晴らしや安らぎになるようなミステリーなどの小説とは違って、緊張感をはらんだ読書体験になることが多い。それは、思っていたよりも悲劇的だったり、または反対に笑えるものだったり、筋書きの面で(も)読後にショックを受けることが少なくないからだと思う。しかしこの意味では、先に挙げた短編は、むしろ、期待していた通りの展開で、期待していた通りの緊張というか、興奮を与えてくれたように思った。 例えば「鯨神」は、どうしてもあの「白鯨」のイメージを持つ読者が多いのではないか。そして筋書きとしてもそのように進行する。けれど、「白鯨」が様々な人種の関わる、世界的スケールの物語だったのに対して、「鯨神」はどこまでも土着のというか、内輪の、ある日本の漁村の神話という気がする。 解説にもあるように、「西洋祈りの女」も同じく、田舎の習俗というか濃いその場所の空気を、そこで人々がどういう息遣いをしているかまで、描くのが上手いと感じた。自分も田舎といっていい場所で育ったけれど、「鯨神」や「西洋祈りの女」を読むと、田んぼの泥とか、透き通った川とか、何がいるのかわからない山とか、幼い時の性的な関心とか体験がものすごく自分の近くにあるような感覚を思い出した。田舎では、文学のこととか本のことを考える人なんていないと思う、けんかとか性的なこととかにしか、あまり関心は払われないと思う、特に若い人たちには。というと、もちろん極論というかもはや偏見かもしれない。でも、そういう田舎のどろどろした生活や野卑な性的な関心などと、何かしらの聖性をもつものとの出会い、邂逅、昇華?というものが描かれていたように私には感じられた。それから、「がくがくする下顎と生あくびを必死でかみ殺していた」という表現が、「西洋祈りの女」にはあって、これも印象に残った。田舎では、なんというか興奮と怠惰・退屈とが、表裏になっているような気がする。 また、全く関係ない感想なのかもしれないけれど、本書では、都会よりは田舎の、現代的というよりは少し前の時代の官能的な話が収められていた。そこで感じたのだが、現代の、都会のなかの性を扱った小説は、どこか、生々しくていやである。なんでだろう…それは、自らを直視したくないということなんだろうか。本書は、やっぱりどこかフィクションの中の性として考えて読んでいたように思う。
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「姫君を喰う話」 千年の時を超えて生きる虚無僧と並び、モツ焼きを喰いながら セックス&カニバリズム談議にふけるという話 モツ焼きを食べるということが むかし愛した女を想ってするオナニーのようなものであるらしく それを指摘された虚無僧はどこかに消えてしまう 「鯨神」 明治時代初頭...
「姫君を喰う話」 千年の時を超えて生きる虚無僧と並び、モツ焼きを喰いながら セックス&カニバリズム談議にふけるという話 モツ焼きを食べるということが むかし愛した女を想ってするオナニーのようなものであるらしく それを指摘された虚無僧はどこかに消えてしまう 「鯨神」 明治時代初頭の長崎で 巨大な鯨に親兄弟を殺された若き漁師が これに復讐をこころみる話 復讐を果たした彼は、自らも深手を負ってしまうのだが 死に際の夢の中で鯨と和解する 人を人たらしめるのは物語であり そこを離れれば人も自然界の一部にすぎないという ひとつの気づきであるが 死を目前にしなければそれを実感できないという 物悲しさもある 「花魁小桜の足」 江戸時代の長崎出島 世間知らずの花魁小桜は、天国に行けると言いくるめられ 御禁制の基督教に入信してしまう 天国に行くには、踏み絵を拒否して処刑されねばならない その日が近づくなか 小桜は足フェチおじさんの相手を言いつけられる 「西洋祈りの女」 キリスト教の祈祷師が谷間の村に呼ばれるのだが それは子連れの美しい女であった 彼女の出現と共に、村の若い男たちは なにか熱病におかされたようになってしまい ある惨劇をひきおこす 消費社会のおぞましさであるとともに ある意味では健全さと言えるだろう インターネットの現代にも似たようなことはおきる 「ズロース挽歌」 女学生の制服 とりわけ、スカートの内側にのぞくズロースへの憧れが ひとりの男を狂わせる 持病の悪化によって死期を悟った彼は 女学生誘拐の罪を犯すのだが 逮捕後、獄中から小説家に手紙を出し やがて物語となる 身寄りのない彼は、そのようにしか己の淋しさを癒せなかったのか 「リソペディオンの呪い」 とある因縁を持って生まれた侏儒の男が 孤独な少年時代を経て、ストリップ小屋に勤めるようになるが 結局すべてを失って 故郷に帰ってくるという話 運命にあらがおうと神殺しを果たしたものの その影響力からは逃れられやしない そういう悲劇である
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表題作他、「鯨神」「花魁小桜の足」「西洋祈りの女」「ズロース挽歌」「リソペディオンの呪い」6編収録。自然の美しさと厳しさ、溢れる生命力とそれが過剰故に露わになる野卑な猥雑さ、血と湿った土の匂いが漂ってくるような、圧倒的な描写が凄い。宇能鴻一郎の作品を読むと性と生と死が渾然一体とな...
表題作他、「鯨神」「花魁小桜の足」「西洋祈りの女」「ズロース挽歌」「リソペディオンの呪い」6編収録。自然の美しさと厳しさ、溢れる生命力とそれが過剰故に露わになる野卑な猥雑さ、血と湿った土の匂いが漂ってくるような、圧倒的な描写が凄い。宇能鴻一郎の作品を読むと性と生と死が渾然一体となって迫ってくるのを感じて、それは決して切り離せないものだと知る。中でも芥川賞受賞作の「鯨神」は短いながらも圧巻。また官能小説家としての顔を垣間見せる「ズロース挽歌」は移り変わる時代の悲哀すら感じさせる。表題作の「姫君を喰う話」のねっとりと絡み付くような文章もまた凄みを感じさせる。宇能鴻一郎の純文学はもっと読みたい。
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