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米中対立 の商品レビュー

4.3

14件のお客様レビュー

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2024/09/05

米中対立 アメリカの戦略転換と分断される世界 著:佐橋 亮 中公新書 2650 なぜ、米中は今日のように対立するに至ったかを語る書 常に思うことであるが、アメリカにとっての重荷とは、自国民の安全を保障するとともに、同盟国のそれをも担保しなければならないことである。 始点は、...

米中対立 アメリカの戦略転換と分断される世界 著:佐橋 亮 中公新書 2650 なぜ、米中は今日のように対立するに至ったかを語る書 常に思うことであるが、アメリカにとっての重荷とは、自国民の安全を保障するとともに、同盟国のそれをも担保しなければならないことである。 始点は、1969年、中ソ国境紛争だ。 アメリカは、万が一にも、中国がソ連に敗れるようであれば、微妙なバランスを保っている冷戦構造が大きく東側に傾き、アメリカが一気に不利になるのではないか、との恐怖からだった。 そのため、1971年キッシンジャーが、1972年ニクソンが電撃的に訪中し、米中関係を早急に改善しようとした。いわゆる上海コミュニケだ。 米国が中国に期待し続けたのは、次の3つであった  中国が政治改革を進めること  市場改革を行うこと  既存の国際秩序を受け入れてその中で貢献を増していくこと 平和を守る最前の方法は、平和的解決以外の方法はあり得ないという国際環境を作り出すこと 中国の軍事的脅しを看過すれば、アメリカの同盟国への安全の約束が疑われてしまう 戦略的再保証  中国の成長を前提に、米中関係を2カ国関係の管理にとどめず、地域やグローバル課題に積極的に活かすという発想のことで、当時のジム・スタインバーグ国務副長官のドクトリンである オバマの中国戦略  オバマ政権の力点が置かれたのは、同盟国のみならず、東南アジア諸国への協力の強化である  南シナ海が中国の進出で動揺する中、重ねて東南アジアとの関係を重視するとのメッセージが発信された 一方、リーマンショックの影響でも成長を続ける中国は、アメリカの網に包囲されるという恐怖をいだいた 2014年米国防総省は、第三次オフセット戦略を提唱する  通常戦略による抑止力を、戦争の作戦レベルにまで強化するためには、最先端の科学技術においてイノベーションを起こして、それを軍事に応用することである オバマ政権後期には、中国の国際社会への貢献は期待が薄いこと、民主化への道筋も、市場化改革の後退もあって、明確な失望が中国に関する議論の主流となった 2017年トランプ政権において、アメリカの対中姿勢は一気に硬化する アメリカは中国を念頭においた、経済規制の立法化や、行政が実施された トランプの訪中に同行したマクマスター補佐官の言  習近平政権の軍民融合の方針を鄧小平以来の市場化改革の終わりを告げるものと位置づける  ここに、キッシンジャードクトリンが打ち出した中国への3つの期待は、政権トップによって放棄された アメリカの対中対立が本格化していくなかで、台湾への姿勢も変化していく  対台湾武器売却が行われた  一方 2019年から、中国の台湾海峡における軍事行動が活発化する  アメリカに中国ロビーがあるように、台湾ロビーだってある。  日本に次ぐ、外貨準備高を持つ台湾はその経済力を利用して政治家や有識者へのアメとムチを行使していく  台湾海峡周辺の海空域、東沙諸島では、人民解放軍や、海警の活動が活発化しており、対するように、米軍、台湾側の活動も増えている  台湾は、米中対立にとって、もっとも危険な発火点になる可能性がある  (本紙には触れられていないが、台湾が中国の侵攻を受けた場合、米軍には出動義務をある   結果、米中の軍事衝突が発生すれば、日本の領海内であり、かつ友軍の支援という、日米安保条約の規定により、自衛隊は有無を言わさず、参戦することとなる) 米 2021年3月公表の、国家安全保障戦略指針には  中国は、経済力、外交力、軍事力、技術力を組み合わせて、安定的で開かれた国際システムに持続的に挑戦することができる唯一の競争相手 とある 地政学的にも、日本は、米中対立の最前線に位置することは明らかだ が結論です 目次 はしがき 序章 米中対立とは何か 第1章 関与と支援―対中政策における主流派の形成 第2章 不確かなものへの恐怖―中国警戒論の胎動 第3章 高まる違和感―台頭する中国と出会ったオバマ政権 第4章 関与政策の否定へ―トランプ政権と中国 第5章 アメリカのなかの中国―関与と強硬姿勢、それぞれの原動力 第6章 米中対立をみつめる世界 第7章 今後の展望―米中対立はどこに向かうのか おわりに あとがき 主要参考文献 索引 ISBN:9784121026507 出版社:中央公論新社 判型:新書 ページ数:328ページ 定価:940円(本体) 2021年07月25日初版 2022年04月20日4版

Posted byブクログ

2023/09/23
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※このレビューにはネタバレを含みます

関与と支援 不確かなものへの恐怖 高まる違和感 関与政策の否定 アメリカの中の中国 今後の展望 アメリカが中国に長年根拠の薄い期待を持ち続けたこと、近年急に不信や追いつかれる恐怖に支配された事は確かで、その背景はかなり独りよがりだ

Posted byブクログ

2023/09/01

米中国交正常化への過程を博士論文で扱った著者がその続編となるような本をということで、まだ現在進行形で史料は乏しいながらも同時代のアメリカの記事や論考をもとに、アメリカの対中政策の変化を書いている。 冷戦期に対立から対ソの観点から米中は接近する。これ以降、アメリカには政治改革、市場...

米中国交正常化への過程を博士論文で扱った著者がその続編となるような本をということで、まだ現在進行形で史料は乏しいながらも同時代のアメリカの記事や論考をもとに、アメリカの対中政策の変化を書いている。 冷戦期に対立から対ソの観点から米中は接近する。これ以降、アメリカには政治改革、市場化改革を進め既存の国際秩序に貢献するという3つの期待があった。90年代以降に台湾問題や技術流出等を巡って警戒感は強まりつつも、関与指示派が多数を占めていた。しかし、オバマ政権で中国の脅威が認識され、緩やかに戦略転換が始まる。トランプ政権では3つの期待への失望から関与政策が見直された。 アメリカの対中政策の見直しはかなり米国の独りよがりで変わってきているところがある。著者は米中関係が米ソ関係と違うことは認識しながらも、冷戦から参考にすべきことは多いとする。

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2023/07/05

米国の中国への態度は、対ソ連への対抗で始まり、中国側の変化を期待して関与を続けるも、その台頭を前にして失望・警戒へとシフトする。 中国への警戒が米政権にとって重要なレベルまで持ち上げられたのが、オバマ政権の後期という2010年台も半ばに差し掛かる頃と知って、かなり最近の話なのだと...

米国の中国への態度は、対ソ連への対抗で始まり、中国側の変化を期待して関与を続けるも、その台頭を前にして失望・警戒へとシフトする。 中国への警戒が米政権にとって重要なレベルまで持ち上げられたのが、オバマ政権の後期という2010年台も半ばに差し掛かる頃と知って、かなり最近の話なのだと知った。それまでの米政権は、選挙前に対中警戒を示すことはあっても政権運営するうちに現実的な対応に戻るパターンが多かったがオバマ政権でそのパターンが破られることになった。 本書はあくまで米国から見た米中対立を扱う。そのため、自分には視点が一方的過ぎる感じがしたし、米中2国間関係を扱うのに筆者は中国側資料にほとんど目を通してないように思われた。日本で外交を論じる人が本書のように米国側に立って物事を考え、経済安全保障などもそうした視座に基づいて政策形成されていることを認識した。

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2023/03/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

アメリカサイドから見た中国、およびその台頭の歴史が丁寧に解説されていた。 中国⇆アメリカ⇆世界の第三国多数は、政治・経済・文化的側面などの多面的な側面において、グローバル化の進展も寄与しながら、それぞれ複雑に関係性が絡み合っている。故に一言で対立 / 同盟関係にあるとは言えず、個別課題ごとに立場も変わる。 米中対立や第三次冷戦と表現されるように、大国同士の衝突も予測される中、日本はじめ第三国のプレゼンスそして双方の深まる分断を緩和させる取り組みが求められている。

Posted byブクログ

2022/11/20

中国を論じる場合、中国の専門家以外の人でないと思い切ったことは書けない。 この本も、このパラドックスが見事にあてはまる内容です。 書いてある事実関係はよく整理されているが、主張に面白みがないということです。

Posted byブクログ

2022/06/22

米中対立というよりも、アメリカからみて中国に対する政治方針が行ったり来たりを説明している。中国についての対米政策は資料がないので、仕方がない。

Posted byブクログ

2022/03/23

米国が中国に対して信頼→関与→疑念→対立と変化していく様子を描いた本。冷戦下での支援に始まり、天安門や台湾海峡危機を経ても政治改革・市場改革・国際社会での責任の3つの期待を含む[経済成長による民主化論]が(産業界の後押しもあり)主流で懸念論は少なかった。オバマ政権でもG2案(マジ...

米国が中国に対して信頼→関与→疑念→対立と変化していく様子を描いた本。冷戦下での支援に始まり、天安門や台湾海峡危機を経ても政治改革・市場改革・国際社会での責任の3つの期待を含む[経済成長による民主化論]が(産業界の後押しもあり)主流で懸念論は少なかった。オバマ政権でもG2案(マジで嫌い)を始めとした関与論者が多かったが、段々と強圧的な中国の姿や中国の国際社会での無責任さ、経済の急成長によって脅威論者が増えていった。個人的に見逃せないのが2015のAIIBだ。あそこで米国は主導権を握られる怖さを感じたのではないか。トランプ政権が大転換の要因。従来の産業界・専門家は中国擁護論が多かったが、政権の中心にいる官僚・議会・米軍・福音派が反中に傾いたことが決定打となった。米台関係が米中関係と反対に動いていることにも注意。欧印韓アジアは中国の人権・軍事に懸念を示しつつも経済との損得を天秤にかけている。日台は対米傾斜を強めている(?)総裁選でどう変わるのか注意。 米中対立は今後30年程度、中国が本格的な人口減少に陥るまで続くと予想する。多国間協調が失われること(気候変動大丈夫?)や台湾問題など不安は多いが、筆者は米国の孤立主義と中国の民主化で対立が解消するかもしれないと述べている。人口推移的には根競べは米国が勝つようにできているので、中国共産党は大胆に仕掛けるインセンティブが出てくる。非常に危険かなと思う。そうならないよう多国間でデタントを定期的に起こすなどリスク管理が必要になってくるかな... 2021/9/8

Posted byブクログ

2022/03/22

アメリカと中国が、今の対立状態になるまでの流れが主にアメリカ側からの視点で述べられている。米中国交正常化(1979年)から、アメリカは中国の成長に期待し、関与してきたが、ここ10年ほどで急速に方針が変化した。自らの利益はよく見えても、脅威を及ぼす存在になる可能性を考慮することが、...

アメリカと中国が、今の対立状態になるまでの流れが主にアメリカ側からの視点で述べられている。米中国交正常化(1979年)から、アメリカは中国の成長に期待し、関与してきたが、ここ10年ほどで急速に方針が変化した。自らの利益はよく見えても、脅威を及ぼす存在になる可能性を考慮することが、欠けていたという。当然、そこにはさまざまな背景と理由があり、丁寧に説明されている。 関与を支えてきた産業界と政治家。政治家は地元の利益を代弁し、対中貿易が雇用に直結すると主張。やはり、これから発展する巨大な市場に見る夢は大きく、正しい判断が鈍る状況が続いたのか? 日本外交への提言も著されているさが、とても今の政治家を見ていると、そんなことができるとは思えない。

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2022/03/29

SNSでの話題を見て、ようやく入手しざっと一読。 米中関係について協力関係から対立構造へと移っていく米国の様子が明瞭に記されている。 文章構造も整然(序章/終章、各章の問/小括)としていて一読して把握しやすかったが、個別具体的な記述も濃厚だったように感じた。機会を見つけて再読した...

SNSでの話題を見て、ようやく入手しざっと一読。 米中関係について協力関係から対立構造へと移っていく米国の様子が明瞭に記されている。 文章構造も整然(序章/終章、各章の問/小括)としていて一読して把握しやすかったが、個別具体的な記述も濃厚だったように感じた。機会を見つけて再読したい。

Posted byブクログ