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「非モテ」からはじめる男性学 の商品レビュー

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27件のお客様レビュー

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2021/11/08

周縁化された「非モテ」男性たちが、女性を「女神化」し、さらには加害に走ってしまう(場合もある)メカニズムがよく理解できた。 私は女性なので、嫌悪感を禁じえない語りもあり、著者はくり返し「加害行為を免罪するものではない」と書いているものの、加害の背景が語られると「いかなる事情があ...

周縁化された「非モテ」男性たちが、女性を「女神化」し、さらには加害に走ってしまう(場合もある)メカニズムがよく理解できた。 私は女性なので、嫌悪感を禁じえない語りもあり、著者はくり返し「加害行為を免罪するものではない」と書いているものの、加害の背景が語られると「いかなる事情があったとて被害は消えないのだ」という憤りが湧いてきてしまう。しかしそれを前面に出していては建設的な議論はできないし、女性学が女性のためにあるように、男性学は男性のためにあるべきなので、その気持ちは脇へ置いておく努力をしながら読み進めた。 「非モテ」男性が被ってきた、「からかい」や「緩い排除」は、学校の中でしばしば見受けられる現象で、彼らも語るとおり、狭い世界を生きているがゆえに、そこにしがみつかざるを得ないということが、状況を深刻にしている。学校以外にも居場所を作ること、習い事や地域のコミュニティに所属したり、インターネットで情報に触れたり、読書をして世界を広げることなども救済になりうることを知り、まずは「世界はここ(学校)だけじゃない」と知ることがすごく大切だと思った。自分が親になったとき、子どもにはなるべく多くの「世界とのつながり」を持たせたいと思う。

Posted byブクログ

2021/09/26

SNSで見かけたことをきっかけに。最近、男性の生きづらさを感じる機会が多かったこともあり、興味深く読みました。 非モテ研での語りをもとにして、男性が「非モテ」に至るプロセスが説明されています。矛盾なく納得できました。 私は女性ですが、これまで男性が虚勢を張っている姿をみて(強...

SNSで見かけたことをきっかけに。最近、男性の生きづらさを感じる機会が多かったこともあり、興味深く読みました。 非モテ研での語りをもとにして、男性が「非モテ」に至るプロセスが説明されています。矛盾なく納得できました。 私は女性ですが、これまで男性が虚勢を張っている姿をみて(強く見せたり、大げさに言ったり等)、男性の“悲哀”を大いに感じてきました。一方、女性にはそういうタイプの人は少ないように感じています。その“悲哀”の正体が少し分かったような気がしました。 そして、今まで意識していませんでしたが、私自身にもそのような側面があることに気付きました。 ざっくりまとめると「ジェンダーの問題は、社会的につくられてきた『男性像・女性像』に起因している」といったところかと。 性別とわず、生きづらさを感じずに生きていける社会がいいですね。 疑問点は、コミュニティの中心人物と周縁化されてしまう人物のあいだにはどのような差があるのか。どうすれば周縁化されないのか。 また、どうすれば「非モテ」から脱却できるのかといった対応策をより充実させていけたらよいと思います。

Posted byブクログ

2021/09/19

小田急線の事件をきっかけにこの本を買ったのだけれど、ようやく読み終わりました。 男性学の実践的な取り組みを知られてよかったものの、社会学系の本はじゃあこうしよう!みたいな端的な解決策が提示されているわけじゃなく、新たな疑問や視座がひたすらに広がっていくばかりなのでしんどくなったり...

小田急線の事件をきっかけにこの本を買ったのだけれど、ようやく読み終わりました。 男性学の実践的な取り組みを知られてよかったものの、社会学系の本はじゃあこうしよう!みたいな端的な解決策が提示されているわけじゃなく、新たな疑問や視座がひたすらに広がっていくばかりなのでしんどくなったりもする。 でもフェミニズムを知って強くなれるひとがいるのと同様、男性学を知って〈(正しく)弱くなれる〉ひともいるだろうし、そうであればいいなと思う。そしてお互いがんばろうね、の気持ち そんなわけで今度はこの本で「からかい」の邪悪性を知ったので、そもそもなぜからかい的コミュニケーションが生まれるのかが知りたくなってまた別の本を探している こうやって積読ばかりが増えていくのであった

Posted byブクログ

2021/09/15

二村ヒトシも述べている様に、異性を求める(執着する)その根底にあるものは、異性からの承認に基づく自己受容の欲求である。本書では女神化として記載されていたが、そこに至るまでの過程を研究し、深く掘り下げたという点で非常に興味深く面白く読めた。

Posted byブクログ

2021/09/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

終章での筆者の誠実性に惹かれた。 研究者であり当事者である自身の権力性に関する自覚とそれを乗り越えるための当事者達との話し合い。 分析するという行為自体が持っている権力性の問題について、特にこの男性学というテーマでは、どういう立場で語っているのかという問題が一層際立つ。 「非モテ」という言葉(スーツケースワードと本書で書かれる)を特に定義せずに使う事で当事者の語りや話の広がりを生み出しているため、呼び水のようなものであり、テーマとは少し違うかもしれない。 人間の関係性から成り立つ社会を研究するという事は研究者自身も含まれる社会の中で、本人の状況を棚上げにして問題点を指摘するという構図が生まれうる。 それでもその分析や問題意識自体の価値が無くなるとは思わないが、その分析が意図しない様々な使われ方を呼び込む時に、その権力性に対する慎重さが重要なのだと思わされた。 思わず、終章について感想を書いてしまったが、全体を通して切実な当事者の言葉と大したことのない問題として片付けられるかたちで表面上浮かび上がる「非モテ」という悩み、その内と外のコントラストが浮かび上がってくる。 悩みというのは人に認められる重さを持たなければ、それは悩みとして存在すら許されないのではないかと、周りの評価を先回りして、それをなかった事にしてしまう感覚。 そういう感覚を持ちがちな自分にとって、この非モテにまつわる構造とそこから派生する当事者の語りはとても身近なものに感じた。

Posted byブクログ

2021/08/15

男性学とあるが女性の「こじらせ」にも同様の構造があるように思う!!(ジェンダー規範・体型・見た目への囚われ・恋愛の風潮に対しての捉え方等)女性である私も若い時の自分を振り返ると当てはまることが多々あった。いやまだちょっとはあるかな…?一生あるかもな?女性もこういう「弱さ」「痛み」...

男性学とあるが女性の「こじらせ」にも同様の構造があるように思う!!(ジェンダー規範・体型・見た目への囚われ・恋愛の風潮に対しての捉え方等)女性である私も若い時の自分を振り返ると当てはまることが多々あった。いやまだちょっとはあるかな…?一生あるかもな?女性もこういう「弱さ」「痛み」についての語り合いの場を持つことが必要なのではないか。

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2021/12/31

まあ正直に語りあってみよう、みたいなのはよい方向だと思うんだけど、本当に正直になるのはむずかしいよな、みたいなのは思う。

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